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第十七章 静寂の檻
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「……誰にも、見られない場所に行こう」
碧人がそう言ったのは、岡部との対峙から二日後のことだった。
遥は頷いた。彼と一緒にいること以外に、安心を感じられる場所はもうなかった。
彼の提案で、すぐに郊外にあるウィークリーマンションの一室を借りることになった。線路もビルもない、田舎道沿いの小さな住宅地。
一歩、扉を閉めると、世界が遠ざかった気がした。
「……ここ、いいね」
遥が窓から外を見ながらつぶやく。
「静かで、誰も知らなくて……。なんか、全部から逃げられた気がする」
「会社にはしばらく体調不良で連絡いれるけど、きっとクビになるね」
碧人は黙ってその後ろ姿を見つめていた。
髪に触れたい衝動を、指の先で握りつぶすようにして押し殺す。
(このまま、ずっとここで二人きりだったら……誰にも見られず、誰にも触れられず、誰にも奪われずに済むのに)
そんな想いが、喉の奥で静かに熱を持っていた。
その夜、テレビもスマホも切って、ふたりは並んで眠った。
遥が小さな寝息を立てながら、碧人の胸元に身を寄せていた。
「……安心する。こうしてると、全部忘れられる」
その言葉に、碧人はうなずく。
けれど、眠る彼女を腕の中で抱きしめながら――その背中を覆うように、腕を少しだけ強く、締めた。
(誰にも渡したくない)
その感情が、まるで毒のようにゆっくりと回ってくる。
*
―翌朝
目覚めると、遥はキッチンで簡単な朝食を作っていた。
エプロン姿。髪をまとめて、鼻歌を歌っている。
日常のワンシーンのようだった。
けれど、碧人はその姿に違和感を覚えた。
(……こんな風に笑っていても、また誰かに連れ去られるかもしれない)
(また、誰かに“見られる”かもしれない)
胸の奥に、再び不快な熱が灯る。
遥が振り返る。
「ねぇ、明日はどこか散歩しようよ。人がいないとこ、森とか湖とか……」
碧人はしばらく黙ってから、静かに言った。
「……いっそ、どこにも行かなくていい。ここで……このまま過ごせばいいじゃないか」
遥は一瞬、笑いかけたが、その笑顔が途中で止まった。
「……碧人くん?」
「ずっと、ここで。俺だけが君を見て、俺だけが君を知って、俺だけが触れられる……そうなったら、安心できるんじゃない?」
その言葉に、遥は言葉を失った。
碧人の瞳は静かだった。けれど、その奥にあるものが、“優しさ”ではないと直感で分かった。
(これは……檻)
遥の胸に、冷たい何かが流れ込んだ。
*
―その夜
烏牙は街灯の上から、遥の滞在先を静かに見下ろしていた。
彼女の死の時刻は、まだ遠く設定されている。
けれど、その時計の針は、誰かの“愛”によって少しずつ狂い始めていた。
(愛情とは、時として“拘束”に姿を変える)
死神の記録帳に、文字が一行だけ、震えるように書き加えられた。
「如月碧人、感情域境界点接近中」
*
―朝
霧が低く立ち込めた郊外の道に、鳥の声すら響かない。
遥はマンションの窓を開けた。湿った空気が、肌にまとわりついてきた。
景色は静かだった。けれど、心はどこかざわついていた。
(碧人くん……昨日、少し変だった)
彼の言葉。
“ここでずっとふたりきりでいればいい”
“俺だけが君を知って、触れられたらいい”
それが優しさではなく、“何か”の匂いを孕んでいたことを、遥の本能が感じ取っていた。
けれど、逃げるという選択肢は浮かばなかった。
(だって……私がいなければ、碧人くんが壊れてしまう)
(あの人を独りにしたら、また“あっち側”に戻ってしまう気がする)
遥は強く自分に言い聞かせた。
“私がいることで、彼を守れる”と。
しかし、彼女の知らないところで――
碧人は、裏通りの小さな雑貨店にいた。
手には南京錠と、室内ロック用のパーツ。
「防犯用」と書かれたタグがついたそれらを、彼は無言でレジに置いた。
(念のためだ。もし誰かが彼女を見つけて、連れ戻そうとしたら……)
“もし彼女が、自分から離れようとしたら”
その思考の芽は、すでに常軌を逸していた。
彼の中で、“守る”と“閉じ込める”の境目は、もう曖昧になりつつあった。
*
その頃。
薄闇の中を歩くひとりの男がいた。
岡部。
手には、小型のGPSモニターと、使い慣れたスマホ。
「……やっぱり、正解だった」
遥のスマホには、自分が仕込んだ位置情報タグがまだ生きていた。
彼は静かに車を停め、目の前の古びたマンションを見上げた。
「こんなところで、ふたりで暮らしてたんだ。……ねぇ、遥ちゃん。君、本当にあいつのこと分かってるの?」
表情は笑っていたが、その目には何も映っていなかった。
「迎えに来たよ。……君が壊れてしまう前に」
*
―夕方
帰ってきた碧人の手には、紙袋があった。
遥が不安げに問う。
「……どこ行ってたの?」
「買い出し。ほら、ここ、夜になると鍵がちょっと心配だから」
袋の中には、補助錠やチェーンロック。
「念のためだよ。俺たちを守るために」
遥は笑った。けれど、心のどこかが冷えた。
(これは……“外から守る”じゃない)
(“私を、出さないため”の鍵だ)
「碧人くん……もし、私が“ここを出たい”って言ったら、どうする?」
その問いに、碧人は一瞬、動きを止めた。
そして、微笑んだ。
「そんなこと、言わないよね?」
その笑顔は優しかった。けれど――何かが詰まった檻の中にいるようだった。
遥の中に、初めて明確な“恐れ”が芽生えた瞬間だった。
*
―夜
烏牙は遠くの街路樹の上から、静かにその部屋の窓を見つめていた。
記録帳の遥のページに、新たな書き込みが加わっていく。
「孤立化:進行」
「環境変化:外界遮断」
「精神依存度:高」
「逃走意志:未発現」
「死因傾向:感情的拘束による事故または衝突の兆候」
死の予定時刻は、徐々に前倒しされつつあった。
そしてその時。
窓の向こう、ふたりの視界に入らぬ闇の中で、ひとりの男の影が門を越える。
岡部。
その手には、電動ドリルと、古びたバールが握られていた。
彼の顔に浮かんでいたのは、穏やかな“帰還の微笑”だった。
*
夜――静かすぎるその空間に、遥は息を潜めるようにして眠っていた。
部屋の窓は閉じ切られ、カーテンの隙間も碧人が塞いだ。
時計の針の音さえ響くこの密室で、ただ彼女の寝息だけが、現実をつないでいた。
ソファに座る碧人は、眠らなかった。
天井を見上げたまま、微かに眉をしかめている。
脳裏にはあの日、岡部の発した言葉が繰り返されていた。
「君も“見てた”んだろ? そういう目を、知ってるよ」
(……俺は、あいつと違う。遥を傷つけない)
そう思っていた。
でも――本当にそう言い切れるのか、自分でも分からなかった。
そのときだった。
けたたましいモーター音と何かが破壊された音が響いた。
玄関の扉を開ける音がした。
碧人はすぐに立ち上がった。
次の瞬間――玄関ドアが激しく開いた。
(くそ……来た)
ドアの先には、いる。
“あの男”が。遥を見ていた者が。奪おうとする者が。
碧人は無言で工具箱の中からドライバーを握りしめた。
その手は震えていなかった。むしろ、異様なほど静かだった。
ゆっくりと扉を開ける。
目の前に、岡部が立っていた。
「ああ……やっぱり君がいるんだね」
岡部は笑った。
手には電動ドリル。
「……泥棒の真似事か?」
「ちがうよ。ただ、彼女を“戻しに”来ただけさ。僕が知ってる遥ちゃんは、こんな暗い場所に閉じ込められる子じゃない」
碧人の眼がすっと細くなる。
「お前の知ってる遥は、幻だ。彼女は、俺の傍にいるときだけ、“本当の顔”をしてる」
「それ、君の妄想じゃないかな?」
岡部の笑顔が、ゆっくりと薄れていく。
「遥ちゃん、言ってたよ。君が“変わった”って。優しさじゃなくて、拘束になってるって」
碧人の握るドライバーに力がこもった。
「出ていけ。今なら、まだ俺の手は汚れてない」
「汚れてない? ははっ……君、自分が何を見てるか分かってる? その目だよ。その目、“殺す者”の目だ」
そのとき、背後で寝室のドアが開いた。
「碧人くん……!」
遥の声。
碧人と岡部が、同時にそちらを振り向く。
遥の目には、恐怖と混乱、そして決意があった。
「だめ……ここで何かが起きたら、もう……戻れなくなる……!」
遥は碧人の前に立った。
「お願い……やめて……!」
碧人の手が、ゆっくりとドライバーを床に落とした。
乾いた音が、静寂の部屋に響いた。
*
岡部は口元を歪めた。
「……彼女が庇うから、見逃されたんだと思えよ」
そう言い残して、彼はドアを閉めて去った。
沈黙。
遥の手が、碧人の胸に添えられる。
「……ありがとう。思いとどまってくれて……」
碧人は何も言わなかった。
ただ――その胸の奥では、静かに何かが崩れていた。
(……遥が俺を止めた)
(遥が、“俺から逃げようとした”)
その事実が、爪のように心に刺さる。
*
その夜。
死神・烏牙は、遥の死の記録帳に書き込んだ。
「殺害未遂:阻止」
「対象感情値:臨界域接近」
「次、阻止不能の可能性」
そして小さく、こう記した。
「あと、一歩だ」
碧人がそう言ったのは、岡部との対峙から二日後のことだった。
遥は頷いた。彼と一緒にいること以外に、安心を感じられる場所はもうなかった。
彼の提案で、すぐに郊外にあるウィークリーマンションの一室を借りることになった。線路もビルもない、田舎道沿いの小さな住宅地。
一歩、扉を閉めると、世界が遠ざかった気がした。
「……ここ、いいね」
遥が窓から外を見ながらつぶやく。
「静かで、誰も知らなくて……。なんか、全部から逃げられた気がする」
「会社にはしばらく体調不良で連絡いれるけど、きっとクビになるね」
碧人は黙ってその後ろ姿を見つめていた。
髪に触れたい衝動を、指の先で握りつぶすようにして押し殺す。
(このまま、ずっとここで二人きりだったら……誰にも見られず、誰にも触れられず、誰にも奪われずに済むのに)
そんな想いが、喉の奥で静かに熱を持っていた。
その夜、テレビもスマホも切って、ふたりは並んで眠った。
遥が小さな寝息を立てながら、碧人の胸元に身を寄せていた。
「……安心する。こうしてると、全部忘れられる」
その言葉に、碧人はうなずく。
けれど、眠る彼女を腕の中で抱きしめながら――その背中を覆うように、腕を少しだけ強く、締めた。
(誰にも渡したくない)
その感情が、まるで毒のようにゆっくりと回ってくる。
*
―翌朝
目覚めると、遥はキッチンで簡単な朝食を作っていた。
エプロン姿。髪をまとめて、鼻歌を歌っている。
日常のワンシーンのようだった。
けれど、碧人はその姿に違和感を覚えた。
(……こんな風に笑っていても、また誰かに連れ去られるかもしれない)
(また、誰かに“見られる”かもしれない)
胸の奥に、再び不快な熱が灯る。
遥が振り返る。
「ねぇ、明日はどこか散歩しようよ。人がいないとこ、森とか湖とか……」
碧人はしばらく黙ってから、静かに言った。
「……いっそ、どこにも行かなくていい。ここで……このまま過ごせばいいじゃないか」
遥は一瞬、笑いかけたが、その笑顔が途中で止まった。
「……碧人くん?」
「ずっと、ここで。俺だけが君を見て、俺だけが君を知って、俺だけが触れられる……そうなったら、安心できるんじゃない?」
その言葉に、遥は言葉を失った。
碧人の瞳は静かだった。けれど、その奥にあるものが、“優しさ”ではないと直感で分かった。
(これは……檻)
遥の胸に、冷たい何かが流れ込んだ。
*
―その夜
烏牙は街灯の上から、遥の滞在先を静かに見下ろしていた。
彼女の死の時刻は、まだ遠く設定されている。
けれど、その時計の針は、誰かの“愛”によって少しずつ狂い始めていた。
(愛情とは、時として“拘束”に姿を変える)
死神の記録帳に、文字が一行だけ、震えるように書き加えられた。
「如月碧人、感情域境界点接近中」
*
―朝
霧が低く立ち込めた郊外の道に、鳥の声すら響かない。
遥はマンションの窓を開けた。湿った空気が、肌にまとわりついてきた。
景色は静かだった。けれど、心はどこかざわついていた。
(碧人くん……昨日、少し変だった)
彼の言葉。
“ここでずっとふたりきりでいればいい”
“俺だけが君を知って、触れられたらいい”
それが優しさではなく、“何か”の匂いを孕んでいたことを、遥の本能が感じ取っていた。
けれど、逃げるという選択肢は浮かばなかった。
(だって……私がいなければ、碧人くんが壊れてしまう)
(あの人を独りにしたら、また“あっち側”に戻ってしまう気がする)
遥は強く自分に言い聞かせた。
“私がいることで、彼を守れる”と。
しかし、彼女の知らないところで――
碧人は、裏通りの小さな雑貨店にいた。
手には南京錠と、室内ロック用のパーツ。
「防犯用」と書かれたタグがついたそれらを、彼は無言でレジに置いた。
(念のためだ。もし誰かが彼女を見つけて、連れ戻そうとしたら……)
“もし彼女が、自分から離れようとしたら”
その思考の芽は、すでに常軌を逸していた。
彼の中で、“守る”と“閉じ込める”の境目は、もう曖昧になりつつあった。
*
その頃。
薄闇の中を歩くひとりの男がいた。
岡部。
手には、小型のGPSモニターと、使い慣れたスマホ。
「……やっぱり、正解だった」
遥のスマホには、自分が仕込んだ位置情報タグがまだ生きていた。
彼は静かに車を停め、目の前の古びたマンションを見上げた。
「こんなところで、ふたりで暮らしてたんだ。……ねぇ、遥ちゃん。君、本当にあいつのこと分かってるの?」
表情は笑っていたが、その目には何も映っていなかった。
「迎えに来たよ。……君が壊れてしまう前に」
*
―夕方
帰ってきた碧人の手には、紙袋があった。
遥が不安げに問う。
「……どこ行ってたの?」
「買い出し。ほら、ここ、夜になると鍵がちょっと心配だから」
袋の中には、補助錠やチェーンロック。
「念のためだよ。俺たちを守るために」
遥は笑った。けれど、心のどこかが冷えた。
(これは……“外から守る”じゃない)
(“私を、出さないため”の鍵だ)
「碧人くん……もし、私が“ここを出たい”って言ったら、どうする?」
その問いに、碧人は一瞬、動きを止めた。
そして、微笑んだ。
「そんなこと、言わないよね?」
その笑顔は優しかった。けれど――何かが詰まった檻の中にいるようだった。
遥の中に、初めて明確な“恐れ”が芽生えた瞬間だった。
*
―夜
烏牙は遠くの街路樹の上から、静かにその部屋の窓を見つめていた。
記録帳の遥のページに、新たな書き込みが加わっていく。
「孤立化:進行」
「環境変化:外界遮断」
「精神依存度:高」
「逃走意志:未発現」
「死因傾向:感情的拘束による事故または衝突の兆候」
死の予定時刻は、徐々に前倒しされつつあった。
そしてその時。
窓の向こう、ふたりの視界に入らぬ闇の中で、ひとりの男の影が門を越える。
岡部。
その手には、電動ドリルと、古びたバールが握られていた。
彼の顔に浮かんでいたのは、穏やかな“帰還の微笑”だった。
*
夜――静かすぎるその空間に、遥は息を潜めるようにして眠っていた。
部屋の窓は閉じ切られ、カーテンの隙間も碧人が塞いだ。
時計の針の音さえ響くこの密室で、ただ彼女の寝息だけが、現実をつないでいた。
ソファに座る碧人は、眠らなかった。
天井を見上げたまま、微かに眉をしかめている。
脳裏にはあの日、岡部の発した言葉が繰り返されていた。
「君も“見てた”んだろ? そういう目を、知ってるよ」
(……俺は、あいつと違う。遥を傷つけない)
そう思っていた。
でも――本当にそう言い切れるのか、自分でも分からなかった。
そのときだった。
けたたましいモーター音と何かが破壊された音が響いた。
玄関の扉を開ける音がした。
碧人はすぐに立ち上がった。
次の瞬間――玄関ドアが激しく開いた。
(くそ……来た)
ドアの先には、いる。
“あの男”が。遥を見ていた者が。奪おうとする者が。
碧人は無言で工具箱の中からドライバーを握りしめた。
その手は震えていなかった。むしろ、異様なほど静かだった。
ゆっくりと扉を開ける。
目の前に、岡部が立っていた。
「ああ……やっぱり君がいるんだね」
岡部は笑った。
手には電動ドリル。
「……泥棒の真似事か?」
「ちがうよ。ただ、彼女を“戻しに”来ただけさ。僕が知ってる遥ちゃんは、こんな暗い場所に閉じ込められる子じゃない」
碧人の眼がすっと細くなる。
「お前の知ってる遥は、幻だ。彼女は、俺の傍にいるときだけ、“本当の顔”をしてる」
「それ、君の妄想じゃないかな?」
岡部の笑顔が、ゆっくりと薄れていく。
「遥ちゃん、言ってたよ。君が“変わった”って。優しさじゃなくて、拘束になってるって」
碧人の握るドライバーに力がこもった。
「出ていけ。今なら、まだ俺の手は汚れてない」
「汚れてない? ははっ……君、自分が何を見てるか分かってる? その目だよ。その目、“殺す者”の目だ」
そのとき、背後で寝室のドアが開いた。
「碧人くん……!」
遥の声。
碧人と岡部が、同時にそちらを振り向く。
遥の目には、恐怖と混乱、そして決意があった。
「だめ……ここで何かが起きたら、もう……戻れなくなる……!」
遥は碧人の前に立った。
「お願い……やめて……!」
碧人の手が、ゆっくりとドライバーを床に落とした。
乾いた音が、静寂の部屋に響いた。
*
岡部は口元を歪めた。
「……彼女が庇うから、見逃されたんだと思えよ」
そう言い残して、彼はドアを閉めて去った。
沈黙。
遥の手が、碧人の胸に添えられる。
「……ありがとう。思いとどまってくれて……」
碧人は何も言わなかった。
ただ――その胸の奥では、静かに何かが崩れていた。
(……遥が俺を止めた)
(遥が、“俺から逃げようとした”)
その事実が、爪のように心に刺さる。
*
その夜。
死神・烏牙は、遥の死の記録帳に書き込んだ。
「殺害未遂:阻止」
「対象感情値:臨界域接近」
「次、阻止不能の可能性」
そして小さく、こう記した。
「あと、一歩だ」
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