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第二十五章 発覚
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カウンターの上に設置された古びたテレビが、昼のワイドショーを流していた。
ザラついた映像。
レポーターが立っているのは、郊外の森に囲まれた一軒家の前だった。
『……こちらは、○○県△△町。通報によって捜索されたこちらの空き家からは、
少なくとも五体以上の遺体が発見されたとのことです』
『近隣住民によると、以前この家を“アトリエ”と称して使っていた男がいたようで――』
映像が切り替わる。
軒先に立つ警察官、ブルーシートで覆われる玄関。
現場の緊迫感が、食堂の静けさをじわじわと濁らせていく。
そのカウンターの隅で、
一人の男が味噌汁の湯気をぼんやりと見つめていた。
岡部だった。
湯気が顔にかかっても、まったく動じない。
顔色ひとつ変えず、テレビの音に耳を澄ませていた。
『現場は完全に密閉されており、死体の腐敗臭に気づいた地元の中学生の通報がきっかけだったとのことです』
『警察は連続殺人事件として捜査を進めており――』
岡部の箸が止まった。
味噌汁の中の豆腐が浮かんで沈む。
彼は、ゆっくりと視線を上げた。
テレビには、以前報道写真で出回っていた碧人の顔が映っていた。
まばたきひとつせず、岡部はその画面を見つめていた。
長い沈黙のあと――箸を置いた。
音は静かだったが、重さがあった。
彼は席を立ち、レジに向かう。
「……ごちそうさま」
それだけを言い、財布から紙幣を一枚出す。
小銭の受け皿に釣り銭が落ちる音。
それを受け取らず、彼はポケットに手を入れて店のドアを押した。
チリン、と鈴が鳴る。
外はまぶしいほど晴れていた。
岡部は目を細め、
しばらく空を見上げるように立ち尽くしてから――静かに歩き出した。
(あの男が、やっぱりあの男が…)
岡部の目には、微かな焦りと、
そして何より――待ち望んでいたものが近づいた確信が浮かんでいた。
*
温室の空気は、昼よりも冷たく、澱んでいた。
夜の闇が天井の割れたガラスから差し込み、
そこに残る湿った埃と、枯れた葉の匂いを沈ませている。
遥はベンチに膝を抱えたまま、ほとんど動けずにいた。
(……今、何時なんだろう)
スマホはもう使えない。
時間の感覚もない。
体温すら、手のひらから逃げていく。
でも、恐怖だけは、はっきりとあった。
(来るかもしれない。どちらかが)
碧人かもしれない。
岡部かもしれない。
どちらでもない、“何か”かもしれない。
遠くで風が草を鳴らす。
その音が人の足音に聞こえて、遥の心拍が跳ねる。
喉が渇いて、唇がひび割れる。
それでも飲むものはない。
この場所には、何もない。
ただ、静かすぎる夜だけがあった。
遥は自分の呼吸に耳を澄ました。
(はぁ、はぁ、はぁ……)
吸って、吐いて。
その繰り返しすら、音として恐ろしかった。
(こんなに……自分の息って、うるさい?)
音を消したい。
でも、息を止めたら、死んでしまいそうだった。
ふと、温室の奥に、何かの影が動いた気がした。
一瞬で心臓が縮む。
(いた?……気のせい?)
遥は目を凝らす。
何も見えない。
けれど、闇の中には“何もない”という証明ができない。
(怖い。……でもここを出ても、もっと怖い)
ベンチの脇に置いた包丁の柄を、そっと握った。
誰かが来ても、逃げられない。
戦えるわけでもない。
それでも、“握っていないよりはマシ”。
月が雲に隠れた。
温室の中が、ほんの数秒だけ、完全な闇に包まれた。
「――っ!」
遥は声を漏らしかけて、唇を噛んだ。
空が明るさを取り戻すとき、
遥の目には、ただの枯れた木と割れた鉢だけが映った。
(幻覚……だよね?)
それでも、胸のざわめきは止まらなかった。
まるで“誰かがすでにここを見つけている”と、
本能が囁いているようだった。
(碧人か、岡部か、あるいは両方か――)
遥はもう、眠ることを諦めていた。
この夜が明けるまで、呼吸だけを頼りに、生き延びるしかなかった。
そして――月の下で、彼女は静かに息を潜め続けた。
それが、最後の夜になるかもしれないとも知らずに。
*
温室の奥。湿った空気の中、遥は膝を抱えていた。 昼と夜の境目のような曖昧な光が差し込み、空気の粒子さえも重たく感じた。
目を閉じているのに、視界の端で何かが揺れる。音もなく、空間がきしむような違和感。
(ここは……現実? 夢?) (もし碧人が来たら……わたし、どうなる……)
その想像だけで、肩が震えた。彼の姿を思い浮かべるたびに、喉が締めつけられるようだった。
「…遥」
その声が聞こえた瞬間、遥は恐怖に突き動かされるように立ち上がり、悲鳴を上げながら壁際へと飛び退いた。
目の前に――碧人がいた。
穏やかな笑顔で、懐かしい優しい雰囲気のまま。
「大丈夫。僕が、全部終わらせるから」
遥の背中が壁にぶつかる。逃げ場がない。 喉が詰まり、声が出ない。
(だめ……だめ……こないで……でも、ほんとうに碧人……?)
碧人はゆっくりと手を差し伸べてきた。 その優しさにすがりたい思いと、凍えるような恐怖が心の中で激突する。
そのとき。
「遥ちゃん」
もう一つの声。
振り返ると、別の碧人ではなく――岡部が立っていた。
気持ち悪い笑みを浮かべた、見覚えのあるその顔。
「見つけたよ、遥ちゃん……ずっと、君を探してた」
遥は叫びそうになりながら、また一歩後ずさる。
(なに……なんで……)
「やめろ!」
怒鳴り声とともに、もう一人の岡部が現れた。 スーツの姿のまま、最初の岡部を突き飛ばす。
「遥ちゃんに近づくな……! 彼女は、俺が……守る!」
殴りかかり、もみ合いになるふたりの岡部。
(二人……? どっちが本物……?)
混乱が遥を飲み込んでいく。 世界がゆがんでいる。 音が二重に聞こえる。視界が二重にぶれている。
そのとき――
温室のガラスが砕けるような音。
割れた天井の隙間から、ひとつの影が降り立った。
そこにいたのは、包丁を手にした碧人。 血の気がない顔。笑みを貼りつけたその姿は、まさしく“あの殺人鬼”だった。
遥の脳内で、何かが破裂したように崩れた。
「遥、やっと見つけた」
碧人の声が響いた瞬間、遠くから誰かの叫ぶ声が聞こえた。
「遥!」 「どいて! 今行くから!」
由梨と和馬が駆け込んでくる。温室の入り口で、遥を見つけて駆け寄ろうとする。
だが――次の瞬間。
殺人鬼・碧人がすさまじい速さで走り出し、由梨に向かって包丁を振るった。
赤い線が彼女の喉元に刻まれ、噴水のような血が宙に舞った。
和馬が叫ぶが、次の瞬間には同じ運命を辿っていた。
遥は目の前が真っ赤になるのを見た。
倒れたふたりの体が、湿った地面に沈むように崩れる。
二人の岡部が何かを叫びながら逃げようとする。 だが、殺人鬼・碧人はその背中を容赦なく刺した。
ひとりは喉を、もうひとりは腹を。
鮮血が地面を染める。
遥の前には―― 優しい碧人と、殺人鬼の碧人。
ふたりが、遥を挟むように立っていた。 睨み合い、動かない。
「遥、こっちに」 「遥、来いよ」
真逆の声色で、ふたりの碧人が彼女に呼びかける。
遥の心が割れそうになる。 叫びたくても、声にならない。
「やめて……やめてええええええ!!」
遥は自分の頭を両手で抱え、膝に顔を埋めた。 世界が崩れる。足元から、現実が剥がれていく。
気づくと―― 遥はひとり、温室の隅に座り込んでいた。
誰もいない。 血の跡も、死体も、包丁もない。
でも――心臓の鼓動だけが、今も激しく響いていた。
(わたし……壊れてる……? いや……これが……現実……?)
薄暗いガラスの天井から、月光が降り注いでいた。
遥はその光の中で、ただ震えるしかなかった。
何時間経過した?いや5分?時間の感覚が完全に狂っている。
遥はため息をつく。 嫌な気配がして目を上げた。
温室の奥の暗がりから、足音もなく現れた人影。
烏牙だった。
無表情で遥を見下ろすと、彼は静かに言った。
「……私はもう君に何も干渉できません。アドバイスも警告も、何一つ。 私は……ただ君を見守るだけの、無能な死神なんです」
遥は彼に返す言葉も見つからなかった。 身体を動かす力も残っていない。 ただ、目を上げて、烏牙の目を見ることだけが、唯一の応答だった。
烏牙の声が、もう一度響く。
「運命は……まだ決まっていない。正しい選択が、最後の分岐を決める」
わずかに笑みのようなものを浮かべると、彼は小さくつぶやいた。
「これはアドバイスではありません。……無能な死神の、ただのひとりごとですね」
そして次の瞬間、烏牙の姿は、風に溶けるように消えていった。
薄暗いガラスの天井から、月光が降り注いでいた。
遥はその光の中で、ただ震えるしかなかった。
ザラついた映像。
レポーターが立っているのは、郊外の森に囲まれた一軒家の前だった。
『……こちらは、○○県△△町。通報によって捜索されたこちらの空き家からは、
少なくとも五体以上の遺体が発見されたとのことです』
『近隣住民によると、以前この家を“アトリエ”と称して使っていた男がいたようで――』
映像が切り替わる。
軒先に立つ警察官、ブルーシートで覆われる玄関。
現場の緊迫感が、食堂の静けさをじわじわと濁らせていく。
そのカウンターの隅で、
一人の男が味噌汁の湯気をぼんやりと見つめていた。
岡部だった。
湯気が顔にかかっても、まったく動じない。
顔色ひとつ変えず、テレビの音に耳を澄ませていた。
『現場は完全に密閉されており、死体の腐敗臭に気づいた地元の中学生の通報がきっかけだったとのことです』
『警察は連続殺人事件として捜査を進めており――』
岡部の箸が止まった。
味噌汁の中の豆腐が浮かんで沈む。
彼は、ゆっくりと視線を上げた。
テレビには、以前報道写真で出回っていた碧人の顔が映っていた。
まばたきひとつせず、岡部はその画面を見つめていた。
長い沈黙のあと――箸を置いた。
音は静かだったが、重さがあった。
彼は席を立ち、レジに向かう。
「……ごちそうさま」
それだけを言い、財布から紙幣を一枚出す。
小銭の受け皿に釣り銭が落ちる音。
それを受け取らず、彼はポケットに手を入れて店のドアを押した。
チリン、と鈴が鳴る。
外はまぶしいほど晴れていた。
岡部は目を細め、
しばらく空を見上げるように立ち尽くしてから――静かに歩き出した。
(あの男が、やっぱりあの男が…)
岡部の目には、微かな焦りと、
そして何より――待ち望んでいたものが近づいた確信が浮かんでいた。
*
温室の空気は、昼よりも冷たく、澱んでいた。
夜の闇が天井の割れたガラスから差し込み、
そこに残る湿った埃と、枯れた葉の匂いを沈ませている。
遥はベンチに膝を抱えたまま、ほとんど動けずにいた。
(……今、何時なんだろう)
スマホはもう使えない。
時間の感覚もない。
体温すら、手のひらから逃げていく。
でも、恐怖だけは、はっきりとあった。
(来るかもしれない。どちらかが)
碧人かもしれない。
岡部かもしれない。
どちらでもない、“何か”かもしれない。
遠くで風が草を鳴らす。
その音が人の足音に聞こえて、遥の心拍が跳ねる。
喉が渇いて、唇がひび割れる。
それでも飲むものはない。
この場所には、何もない。
ただ、静かすぎる夜だけがあった。
遥は自分の呼吸に耳を澄ました。
(はぁ、はぁ、はぁ……)
吸って、吐いて。
その繰り返しすら、音として恐ろしかった。
(こんなに……自分の息って、うるさい?)
音を消したい。
でも、息を止めたら、死んでしまいそうだった。
ふと、温室の奥に、何かの影が動いた気がした。
一瞬で心臓が縮む。
(いた?……気のせい?)
遥は目を凝らす。
何も見えない。
けれど、闇の中には“何もない”という証明ができない。
(怖い。……でもここを出ても、もっと怖い)
ベンチの脇に置いた包丁の柄を、そっと握った。
誰かが来ても、逃げられない。
戦えるわけでもない。
それでも、“握っていないよりはマシ”。
月が雲に隠れた。
温室の中が、ほんの数秒だけ、完全な闇に包まれた。
「――っ!」
遥は声を漏らしかけて、唇を噛んだ。
空が明るさを取り戻すとき、
遥の目には、ただの枯れた木と割れた鉢だけが映った。
(幻覚……だよね?)
それでも、胸のざわめきは止まらなかった。
まるで“誰かがすでにここを見つけている”と、
本能が囁いているようだった。
(碧人か、岡部か、あるいは両方か――)
遥はもう、眠ることを諦めていた。
この夜が明けるまで、呼吸だけを頼りに、生き延びるしかなかった。
そして――月の下で、彼女は静かに息を潜め続けた。
それが、最後の夜になるかもしれないとも知らずに。
*
温室の奥。湿った空気の中、遥は膝を抱えていた。 昼と夜の境目のような曖昧な光が差し込み、空気の粒子さえも重たく感じた。
目を閉じているのに、視界の端で何かが揺れる。音もなく、空間がきしむような違和感。
(ここは……現実? 夢?) (もし碧人が来たら……わたし、どうなる……)
その想像だけで、肩が震えた。彼の姿を思い浮かべるたびに、喉が締めつけられるようだった。
「…遥」
その声が聞こえた瞬間、遥は恐怖に突き動かされるように立ち上がり、悲鳴を上げながら壁際へと飛び退いた。
目の前に――碧人がいた。
穏やかな笑顔で、懐かしい優しい雰囲気のまま。
「大丈夫。僕が、全部終わらせるから」
遥の背中が壁にぶつかる。逃げ場がない。 喉が詰まり、声が出ない。
(だめ……だめ……こないで……でも、ほんとうに碧人……?)
碧人はゆっくりと手を差し伸べてきた。 その優しさにすがりたい思いと、凍えるような恐怖が心の中で激突する。
そのとき。
「遥ちゃん」
もう一つの声。
振り返ると、別の碧人ではなく――岡部が立っていた。
気持ち悪い笑みを浮かべた、見覚えのあるその顔。
「見つけたよ、遥ちゃん……ずっと、君を探してた」
遥は叫びそうになりながら、また一歩後ずさる。
(なに……なんで……)
「やめろ!」
怒鳴り声とともに、もう一人の岡部が現れた。 スーツの姿のまま、最初の岡部を突き飛ばす。
「遥ちゃんに近づくな……! 彼女は、俺が……守る!」
殴りかかり、もみ合いになるふたりの岡部。
(二人……? どっちが本物……?)
混乱が遥を飲み込んでいく。 世界がゆがんでいる。 音が二重に聞こえる。視界が二重にぶれている。
そのとき――
温室のガラスが砕けるような音。
割れた天井の隙間から、ひとつの影が降り立った。
そこにいたのは、包丁を手にした碧人。 血の気がない顔。笑みを貼りつけたその姿は、まさしく“あの殺人鬼”だった。
遥の脳内で、何かが破裂したように崩れた。
「遥、やっと見つけた」
碧人の声が響いた瞬間、遠くから誰かの叫ぶ声が聞こえた。
「遥!」 「どいて! 今行くから!」
由梨と和馬が駆け込んでくる。温室の入り口で、遥を見つけて駆け寄ろうとする。
だが――次の瞬間。
殺人鬼・碧人がすさまじい速さで走り出し、由梨に向かって包丁を振るった。
赤い線が彼女の喉元に刻まれ、噴水のような血が宙に舞った。
和馬が叫ぶが、次の瞬間には同じ運命を辿っていた。
遥は目の前が真っ赤になるのを見た。
倒れたふたりの体が、湿った地面に沈むように崩れる。
二人の岡部が何かを叫びながら逃げようとする。 だが、殺人鬼・碧人はその背中を容赦なく刺した。
ひとりは喉を、もうひとりは腹を。
鮮血が地面を染める。
遥の前には―― 優しい碧人と、殺人鬼の碧人。
ふたりが、遥を挟むように立っていた。 睨み合い、動かない。
「遥、こっちに」 「遥、来いよ」
真逆の声色で、ふたりの碧人が彼女に呼びかける。
遥の心が割れそうになる。 叫びたくても、声にならない。
「やめて……やめてええええええ!!」
遥は自分の頭を両手で抱え、膝に顔を埋めた。 世界が崩れる。足元から、現実が剥がれていく。
気づくと―― 遥はひとり、温室の隅に座り込んでいた。
誰もいない。 血の跡も、死体も、包丁もない。
でも――心臓の鼓動だけが、今も激しく響いていた。
(わたし……壊れてる……? いや……これが……現実……?)
薄暗いガラスの天井から、月光が降り注いでいた。
遥はその光の中で、ただ震えるしかなかった。
何時間経過した?いや5分?時間の感覚が完全に狂っている。
遥はため息をつく。 嫌な気配がして目を上げた。
温室の奥の暗がりから、足音もなく現れた人影。
烏牙だった。
無表情で遥を見下ろすと、彼は静かに言った。
「……私はもう君に何も干渉できません。アドバイスも警告も、何一つ。 私は……ただ君を見守るだけの、無能な死神なんです」
遥は彼に返す言葉も見つからなかった。 身体を動かす力も残っていない。 ただ、目を上げて、烏牙の目を見ることだけが、唯一の応答だった。
烏牙の声が、もう一度響く。
「運命は……まだ決まっていない。正しい選択が、最後の分岐を決める」
わずかに笑みのようなものを浮かべると、彼は小さくつぶやいた。
「これはアドバイスではありません。……無能な死神の、ただのひとりごとですね」
そして次の瞬間、烏牙の姿は、風に溶けるように消えていった。
薄暗いガラスの天井から、月光が降り注いでいた。
遥はその光の中で、ただ震えるしかなかった。
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