俺は善人にはなれない

気衒い

文字の大きさ
82 / 416
第7章 vsアスターロ教

第82話 仲間

しおりを挟む
――――――――――――――――――――

カグヤ
性別:女 種族:半鬼神 年齢:24歳

Lv 60
HP 30000/30000
MP 30000/30000
ATK 30000
DEF 30000
AGI 30000
INT 30000
LUK 30000

固有スキル
鬼神化・精神統一・背水の陣・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???

武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX

魔法
全属性魔法

装備
黒衣一式(神級)
朱の大太刀ハバキリ(覇王級)
朱の小太刀イクタチ(覇王級)

称号
闘神の加護・巡り会いし者・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・姉御肌

――――――――――――――――――――

ノエ
性別:女 種族:ハイドワーフ 年齢:18歳

Lv60
HP 30000/30000
MP 30000/30000
ATK 30000
DEF 30000
AGI 30000
INT 30000
LUK 30000

固有スキル
鍛治・鈍重・一撃必殺・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???

武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX

魔法
全属性魔法

装備
黒衣一式(神級)
銅鎚ミョルニル(覇王級)

称号
地母神の加護・囲われる者・装備の才・素材の才・鉱石の才・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・先達の教え

――――――――――――――――――――






「待てよ!」

「っ!!どうして、立てるの!?しっかりと振り抜いたはず…………」

「いや、アタシの身体に当たる直前でお前は力を緩めた…………頭では分かっていてもどうやら感情はそうでもないみたいだな」

「……………それでも、不意の攻撃は、結構効く」

「ところが事前に警戒していたとしたら、どうだ?」

「どういうこと?」

「実はな…………」

それは3日前のこと。フリーダムへと向かう直前だったシンヤはカグヤを個別で呼び出し、あることを告げた。

「カグヤ、ノエの言動には注意していてくれ。俺がいない間はお前がノエと行動を共にするからな」

「分かったよ。でも、注意ってどういうことだ?」

「詳しくは言えないんだが、ノエがいつどんな行動をしてきてもいいように常に身構えといてくれ……………例えば、お前をいきなり襲っても対応できるようにとかな」

「襲う!?何を言ってんだよ!いくら、主様といえども仲間をそんな………」

「カグヤ、頼む」

「っ!!…………わ、分かったよ」

その時のシンヤの顔があまりにも真剣味を帯びていた為、カグヤは頷かざるを得なかった。そして、当日を迎え、シンヤの言葉通りに何が起きても対応できるように常に警戒を怠らなかったのだ。仲間に対して警戒をする。これではまるでノエのことを信用していないみたいで罪悪感が湧いてくるのだが、こと今回に限っていえば、それが功を奏した形となった。ノエが立ち止まったタイミングで何か不穏な気配を察知し、咄嗟に固有スキルである"精神統一"を使ってみると直後、カグヤの身体に衝撃が走ったのである。結果、事前準備とノエの感情の揺らぎによって、ダメージは最小限で済んだが、心の方に深刻な傷を負ってしまった。

「……………」

「シンヤはこうなることを何となく分かってたみたいだが、アタシにはまだ信じられない………………なぁ、どうしてだよ?何でこんなことをした?何でそんなローブを纏ってる?何で"さようなら"なんて似合わない台詞、吐いてんだよ!!」

「………………」

「何か言えよ!!」

「ノエは……………」

そこでノエは自身の過去について、ゆっくりと拙いながらも時間をかけて語った。時々、言葉を詰まらせたり、声が震えたりしながらもそこに感情を乗せ、自身の気持ちを正直に打ち明けた。話している内にノエは自分がこれからどうしていきたいのかが段々と分かったような気がしていた。

「そうか、そんなことが……………」

「うん」

「で?今、お前はどうしたいんだ?本当の気持ちを聞かせてくれ」

「…………ノエは……………うぐっ」

ようやく見えてきた進路。しかし、それも突如、霧がかったように見えなくなってしまう。その原因はたった1つ。育ての親である組織のトップの呪縛から未だ解き放たれていないせいであった。こうしている今でも頭の中ではその男の声が聞こえてくる……………"目の前にいる者を速やかに始末せよ"と。

「うわわわああぁぁ~~!!や、やめて!!もうノエに、命令、しないで!!」

「おい、どうした!?落ち着け、ノエ!!」

そこから約数十秒程、頭を抱えて叫んでいたノエはある時を境にピタッと止まって静かになり、徐に立ち上がるとこう言った。

「全てはアスターロ教の為に…………今からお前を始末する」

――――――――――――――――――――




「おい!やめろ、ノエ!!」

「"壊鎧脆"」

「ちぃっ!聞く耳、持たねぇか…………仕方ねぇ!!"守り割き"」

洗脳でもされているのか、とても自らの意思で行っているとは思えない機械的な攻撃。動き自体は単調でなおかつ軌道は読みやすい。とは言うもののスピードが遅いという訳ではなく、一撃一撃がとても重い。それは武器の本来の性質であり、その代わり鈍重さによってスピードが落ちるという欠点があるはずなのだが、ノエにそこら辺の常識などは通用しない。目にも止まらぬ速さで振われる鎚を二振りの刀で以って受け流したり、止めたりしながら捌くカグヤはとても焦っていた。

「"壊体心技"」

「"流導双"」

仲間であるが故にノエの強さは良く知っていた。何度も共闘をしたし、模擬戦も数え切れない程、行った。お互いの癖や弱点も分かっている。同時にそれは一緒に過ごした時間の長さや密度の濃さを意味していた。同じクランの同期であり、仲間であり、家族。出会ってから今日まで心を通わせ合ったかけがえのない日々は遠い昔のことのように懐かしく感じる。

「悪いが本気でいくぞ……………"鬼神化"!!」

しかし、それが今はどうだ。訳の分からない組織のトップに唆されて仲間割れをさせられている。確かにノエを拾い、ここまで育てたことは赤の他人が安易にできることではないし、そこにノエ自身が恩を感じ、依存心が芽生えることも理解できなくはない。だが、どうしても腑に落ちないことがあるのだ。それは………………

「ノエ、お前は本当にその男から愛されていたのか?愛情を注いでもらっていると感じ、幸せだと思ったことがあるのか!」

「っ!!」

「おそらく、ないだろう?それはそうだろ……………どこの世界に愛する子供をスパイとして利用しようとする親がいる!お前の話を聞いているとその男は初めから、ノエを組織の為に使おうとして拾い育てたとしか思えない!お前が男に対する恩や依存心から、絶対服従することまで見越した上でな」

「そ、そんな、はず…………」

「じゃあ、何でそんなに辛そうな顔をしてアタシを襲う?何で主様達といる時はあんなに楽しそうなんだ?極め付けは………………何故アタシに謝った?」

「うっ……………」

「いい加減、目を覚ませ!ノエ、お前がいるべき場所はそんな男の元じゃない!自分自身に打ち勝て!」

「ぐっ…………だ、黙れ」

「これでもまだ囚われているのか…………じゃあ、この二刀でお前のその鎖を断ち切ってやる」

「鎖………盗賊のアジトでも…………つながれてた」

「らしいな。その話もお前から聞いてるよ。で、その時は主様が斬ったんだったな?……………今、ここに主様はいない。だから、今度はアタシが斬る!!」

「ぐそっ…………舐めるな」

「今のお前は本当のノエじゃない。大注目のクランの幹部でもなければ、部下思いの良い上司でもなく、ましてや仲間と楽しそうに過ごす、あどけない1人の少女でもない!アタシから言わせれば……………ただ組織に囚われ、何も見えなくなって利用されているだけの小娘だ!!」

「黙れ!黙れ黙れ黙れ黙れ……………」

「………………鬼刀おにがたな"満開十分裂き"」

「ぐはっ!」

「はぁはぁ…………ぐっ………結構食らってるな」

瞬間、鮮血が舞いノエは倒れ伏した。実力が拮抗する者同士の戦い。両者、多数の傷を負うものの、幸い死に至る程ではなかった。一方が半ば洗脳状態となってはいたが少しずつ感情の揺らぎが出始め、そこに活路を見出したカグヤだからこそ、勝利することが出来たのだ。通常で殺り合った場合、こうはいかないが、それにしても今までの中で最も苦戦を強いられたことは間違いない。荒い息を吐きながら、ゆっくりと血を払い納刀したカグヤは深呼吸すると一言、こう言った。


「悪いな………………どうやら、一生消えないモノを負わせちまったようだ」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ハーレムキング

チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。  効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。  日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。    青年は今日も女の子を口説き回る。 「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」 「変な人!」 ※2025/6/6 完結。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜

KeyBow
ファンタジー
遡ること20年前、世界中に突如として同時に多数のダンジョンが出現し、人々を混乱に陥れた。そのダンジョンから湧き出る魔物たちは、生活を脅かし、冒険者たちの誕生を促した。 主人公、市河銀治は、最低ランクのハンターとして日々を生き抜く高校生。彼の家計を支えるため、ダンジョンに潜り続けるが、その実力は周囲から「洋梨」と揶揄されるほどの弱さだ。しかし、銀治の心には、行方不明の父親を思う強い思いがあった。 ある日、クラスメイトの春森新司からレイド戦への参加を強要され、銀治は不安を抱えながらも挑むことを決意する。しかし、待ち受けていたのは予想外の強敵と仲間たちの裏切り。絶望的な状況で、銀治は新たなスキルを手に入れ、運命を切り開くために立ち上がる。 果たして、彼は仲間たちを救い、自らの運命を変えることができるのか?友情、裏切り、そして成長を描くアクションファンタジーここに始まる!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...