俺は善人にはなれない

気衒い

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〜After story〜

第12話:商業ギルド

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「何故ですかっ!?何で分かってくれないんですか!?」

「そうよっ!酷くない!?」

現在、俺は応接室にて、非常に頭を悩ませていた。原因は目の前の馬鹿、2人。何故か、採用されてうちに入ったリョーデック馬鹿と元魔王のモロク馬鹿であった。

「おい、ティア。お前の采配にも焼きが回ったな……………こんな馬鹿を採用するなんて」

傍のティアに話しかけると彼女は苦笑いでこう答えた。

「あはは……………ちゃんと更生もしているみたいですし、特に害がないと思ったもので」

「その更生が問題なんだよ。あと、害がないのはお前らに対してだけな?俺には大アリだ」

「うはっ!その冷たい視線と罵倒………………ありがとうございます!!」

「いいなぁ~リョーデックだけ、ずるい~」

勝手に恍惚の笑みを浮かべるリョーデックとそれを見て、羨ましそうにするモロク。それによって、俺はさらなる頭痛に襲われた。

「これだよ、これ。モロクだけにしたって、普段から"蹴って下さい"だの、"罵倒して下さい"だのとしつこいのにそこへさらに同じようなのを追加してどうするんだよ」

「あははは…………」

さらに苦笑いを続けるティア。そのタイミングでどこかへトリップした状態だったリョーデックが復活し、話しかけてきた。

「あ、それで答えはOKでしたよね?」

「お前の頭はどれだけ都合がいいんだ!今、駄目だと言っただろ!」

「シンヤ様~。本当に駄目なの?私達はただ、このクラン内に"シンヤ様に蹴られ隊"という部隊を作らせて欲しいって言ってるだけじゃない」

「さも当然のように言うな。どこの世界に自らを死地に追いやるような爆弾の製作を許可する奴がいる」

「でも、同志は多数いますし、署名だって………………ほら、こんなに」

「………………おい、ティア。今更なんだが、うちはいつから、こうなったんだ?」

「う~ん……………どうなんでしょう。実は前々から、そのような願望があり、それを隠して生活していた者がいるとか」

「そう言われると時々、変な視線を感じることがあったような気がするが……………まぁ、そんなことはどうだっていい」

俺はそこで一旦、仕切り直すと今度はニヤリとした笑みを浮かべて、こう言った。

「しかし、ちょうどいい機会だ。お前達とその同志とやらは俺の計画に付き合ってもらうぞ」

「「えっ!?」」

「そして、もしもお前達が目標を達成した暁には……………お前達のその要望とやらを叶えてやる」

「「ええっ!?」」







「お、サクヤ。呼び出して悪いな」

「いえいえ!それでどうかしましたか?」

「少し頼みたいことがあるんだが」

「はい。何でしょう?」

「突然で悪いんだが、ここにいるリョーデック達とその同志、それから新人達を連れて商業ギルドに向かってくれ」

「へ?商業ギルド……………ですか?」

「ああ。それで全員を登録させて欲しい。そして、できればクランも設立して欲しい。あ、クランマスターはサクヤで頼む」

「え、ええっ!?」

「急で悪いな」

「いえいえ!でも、何故?」

「今はみんなが交代で事業を回してるだろ?だったら、いっそ商業ギルドに登録して、クランを作り、そこから従業員を出していけばいいんじゃないかと思ってな。どうせ新人も従業員としての経験は積む訳だしな」

「でも、クランを設立するにはランクが高くないと駄目なのでは?それといきなり、大勢で押しかけても大丈夫でしょうか?」

「そこはちゃんと話を通してあるから、大丈夫だ。今から行っても受け入れてくれるだろうし、クランの設立も今の事業が成功していることから、特例でOKだそうだ」

「へぇ~そうなんですか」

「ああ」

「……………あれ?ちょっと待って下さい。クランマスターが誰っていいましたっけ?」

「うん?サクヤだが?」

「ええっ!?そんな大役、私が引き受けちゃってもいいんでしょうか?」

「……………お前は以前、俺を目指していると言ったな?」

「は、はい」

「それに加えて、この間の宣言。それから、最近のお前の頑張り……………それらを加味した結果、この役はお前しかいないと思ったんだ」

「シンヤ……………さん」

「それと俺がもしも、後継者を選ぶとするのならば……………サクヤ、それはお前だ」

「う、うえええっ!?」

「不可能ではないと思うぞ……………いずれはな」

「………………」

「で、引き受けてくれるか?」

「ずるいですよ。そんなこと言われたら、"はい"って言うしかないじゃないですか」

「そうか。ありがとな」

「いえいえ」

「あ、それと」

そこで一旦、言葉を切った俺は再び口を開くとこう言った。

「もしも、商業ギルド内において"世界一のクラン"となった場合はお前らの望みを何でも叶えてやる」
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