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第四章 『アイリス』
ヘイウッド・モットレイ
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3年前 首都キャティリィ モットレイ出版社
モットレイ出版社の責任者であるヘイウッド・モットレイ子爵は、10年前に母親と父親を一気に亡くして、16歳で爵位を継いだ。
その時彼には結婚直前の姉がおり、両親の喪が明けてから姉は嫁いだので、邸には彼と彼の使用人しかいない。社交と領地管理以外に何か楽しいことを探して、彼が見つけたのは、なんと倒産寸前だったノース地区の出版社を買い取り、立て直すということだった。
これは見事に上手くいった。
出版社の社名をモットレイ出版社に変え、システムも変えた。
倒産寸前の会社が助かったのは、彼の手腕によるところも大きいが、彼はさまざまな人脈を使って話題作を自社で発表した。
例えば、中流階級でお菓子作りが得意な婦人にレシピ本を書いてもらって売り出したり、匿名の作品を募集したりと、当時珍しかったことを先駆けてやったことである。
会社を立て直して、数年経った時、モットレイ子爵はあるダンスパーティーで、ある話を小耳に挟む。それは、とある上流層の紳士が書いたラヴ・ストーリーが、令嬢たちの間に出回っていると言うものだった。
「失礼、お嬢様方。その紳士というのは、どなたのことですかな?」
ハンサムで、子爵といえど、首都に屋敷を持っているモットレイ子爵に熱を上げていた令嬢たちは当時からたくさんいた。
「あぁ、あちらのナイトの二番目のご子息のことですわ」
皆口を揃えてそう言った。
そこでモットレイ子爵が思いついたのが、その子息の恋愛小説を大々的に出版して広めることだった。
幸い、その子息はすぐに了承した。
その子息の小説を出版してからすぐのことだった。彼がとある少女に出会ったのは。
社交シーズンに入って、郊外に屋敷を持つ貴族が首都の屋敷に移ってきた頃。モットレイ子爵は出版社への道を急いでいた。急いでいた彼は、ロクレウノ・ガーデンの近くである少女とぶつかった。その時彼はいつものように紳士的な対応をした。少女も、その礼儀正しさと服装から、かなり裕福な家庭、あるいは貴族の娘だとわかった。
その時はその場で二言三言交わして別れたふたりだったが、後日再会を果たす。
デビュタントが終わって、皆がパーティーに興じる中、モットレイ子爵はある公爵のパーティーに招待された。
「ご覧になりました?あちらが、あのオルヴィス侯爵令嬢のレディ・セラフィーヌですわ」
皆が扇子で口を隠してひそひそと、侯爵令嬢の噂をする。
「今年の一番はあのご令嬢ですわね」
皆が噂をして、結婚適齢期の男性がこぞってダンスを申し込むその令嬢は、モットレイ子爵がついこの前、ロクレウノ・ガーデンでぶつかった少女だった。
ガーデンでぶつかった時、あどけなさが残っていた少女だったのに、夜のパーティーで見るその少女は女性だった。
モットレイ出版社の責任者であるヘイウッド・モットレイ子爵は、10年前に母親と父親を一気に亡くして、16歳で爵位を継いだ。
その時彼には結婚直前の姉がおり、両親の喪が明けてから姉は嫁いだので、邸には彼と彼の使用人しかいない。社交と領地管理以外に何か楽しいことを探して、彼が見つけたのは、なんと倒産寸前だったノース地区の出版社を買い取り、立て直すということだった。
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「あぁ、あちらのナイトの二番目のご子息のことですわ」
皆口を揃えてそう言った。
そこでモットレイ子爵が思いついたのが、その子息の恋愛小説を大々的に出版して広めることだった。
幸い、その子息はすぐに了承した。
その子息の小説を出版してからすぐのことだった。彼がとある少女に出会ったのは。
社交シーズンに入って、郊外に屋敷を持つ貴族が首都の屋敷に移ってきた頃。モットレイ子爵は出版社への道を急いでいた。急いでいた彼は、ロクレウノ・ガーデンの近くである少女とぶつかった。その時彼はいつものように紳士的な対応をした。少女も、その礼儀正しさと服装から、かなり裕福な家庭、あるいは貴族の娘だとわかった。
その時はその場で二言三言交わして別れたふたりだったが、後日再会を果たす。
デビュタントが終わって、皆がパーティーに興じる中、モットレイ子爵はある公爵のパーティーに招待された。
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皆が扇子で口を隠してひそひそと、侯爵令嬢の噂をする。
「今年の一番はあのご令嬢ですわね」
皆が噂をして、結婚適齢期の男性がこぞってダンスを申し込むその令嬢は、モットレイ子爵がついこの前、ロクレウノ・ガーデンでぶつかった少女だった。
ガーデンでぶつかった時、あどけなさが残っていた少女だったのに、夜のパーティーで見るその少女は女性だった。
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