独り立ちしたい姉は、令嬢ながらにお金を稼いでた

子猫文学

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第五章 社交シーズン(セラフィーヌ)

ディキンソン卿

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 公園にはあちこちにろうそくが脇に並べられた道ができており、そこを抜ければ公園の自然のダンスホールだった。

 公園の入り口、門の辺りまでたどり着いた四人組は奥から漂って聴こえてくる音楽に耳を澄ませる。

 「セラフィーヌ嬢?セラフィーヌ嬢でありませんか」

 右側から聞こえてきたその声にセラフィーヌが反応してそちらを向くと、なんとそこにはディキンソン卿がいた。 

 「まぁ!」

 会ったのはついこの間だが、セラフィーヌはディキンソン卿の顔を見て、少し緊張してしまった。

 「これから公園へ向かうのですか?」

 「えぇ」

 そう二言三言交わして、セラフィーヌは後ろにいた三人の存在を思い出した。うっかり忘れてしまうほど、ディキンソン卿に集中してしまっていたのだ。

 そこでその場にいた者を紹介しようと思い立つ。セラフィーヌは背後にいる3人とディキンソン卿が言葉を交わしているのを見たことがなかったし、交流しているという話も聞いたこともなかった。

 「あの、こちらルクリア・ネビュラ伯爵夫人、ネビュラ伯爵、そして、モットレイ子爵ですわ。
  こちら、ディキンソン卿です」

 「えぇ、夫人とは一度話したことがありますが、伯爵と子爵ははじめましてですね」

 と、ディキンソン卿。

 それぞれバーナビーとヘイウッドはディキンソン卿に対して軽く会釈をする。

 「ご一緒しませんか?お連れはいらっしゃるの?」

 ルクリアが聞くと、ディキンソン卿が答える。

 「えぇ、兄夫婦と来たのですが、はぐれてしまって今探しているんです」

 「あら、お兄様を探し続けますか?」

 「いえ、兄は夫婦二人で水入らずに過ごしてもらいますよ。よろしければ、ご一緒しても?」

 「えぇ」

 ルクリアが代表して、返事をした。

 そうして、ディキンソン卿が4人に加わることになった。

 皆ゆっくりと歩を進めて公園中心部の道を辿る。

 人だかりを避けながら歩いていたら、いつしかバーナビーとルクリアが一行からはぐれてしまっていた。

 「ルクリアとバーナビーがいませんね」

 セラフィーヌが言うと、ヘイウッドが答える。

 「大丈夫でしょう。向かってる場所は同じですから」

 そこから3人は歩きながら、話を始めた。社交辞令のような、当たり障りのない話ばかりで、セラフィーヌは少し窮屈な思いだった。

 「ディキンソン卿は毎年夜祭りに来るのですか?」

と、ヘイウッド。

 「いえ、いつもは来ません。ですが、今年は気が向いたので。
  セラフィーヌ嬢は毎年参加していたのですか?」

 「えぇ、このお祭りのレモネードは絶品ですから」

 「セラフィーヌ嬢は毎年美味しそうに飲んでいらっしゃる」

 笑みを絶やさずに、ヘイウッドが言うと、ディキンソン卿が間髪を入れずにセラフィーヌに言った。

 「それでは、わたしは来年も参加しましょう」

 「今から来年の話をするのは、早過ぎますわ」

 セラフィーヌの言葉を最後に、3人は黙ってしまい、再び一番気まずい思いをしたのは、セラフィーヌだった。
 
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