脇役よ恵まれてくれ!

二鈴 照

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第一話 転生したら推しの婚約者だった

願う人と願われるモノ

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 「あれれ~大丈夫そう?おーい!おーーーい!!」

 凄く耳に響くしうるさい声と共に起きる。なんなんだ全く。こちとらぶっ倒れて……

 そこにいたのは肩までつかない赤と茶色を混ぜた髪とそれに似た目の色を持った少女。
ヒロインと同じ学年で私の一つ下。生徒会長シャルク•スモーケルの婚約者…たしか名前は___

「アンネ•マルクス……?」

 ニタァと笑う目の笑ってない顔。よく周りを見ると全体真っ白な空間。なんだここ、絶対アンネちゃんじゃないじゃん。

「惜しいね!惜しいね!エリーフェ•バレナティオ。ほぼ正解~♪」

 あーなんか思い出して来たわ…。このノリノリな感じ。私が転生前にあった人、私を転生させた張本人。
この世界の創設者。

「どうしたんですか、神サマ」
「ふふ、いやー君を転生させてから随分記憶が飛んでいたものだから。面白くてねー!なのに会った瞬間ピキーーンってww笑っちゃうでしょ」
「それ…だけですか?」
「うん!そーだよ!!あ、ねぇねぇ今さ、すっごい暇なんだよね~」
「帰ります…。」

呆れた…話を聞くよりかえってご飯食べて寝たい。

「あーまってまって!君!転生前のことちゃんと覚えてる~?」
「いえ、全く。」

転生前の話…?一体何が…

「そう、じゃあもう一度教えるね。
君は人を助けて死んだんだ。しかもその子は今後その世界におけるめっちゃ大事なピースだったんだ…それでね、こちら側一同君に恩返しをする話になったんだ。」
「は、はぃ…。」
「だ•か•ら!!君の願いを叶えることになったの!!」
「え、えーーーーーー?!!?!」

は?え?私なんて???私、何か願ったのか!!何を転生したってことはあの世界に行きたいとか?

「まあまあ、落ち着いて聞いてくれ。君は願ったんだ。『推しを幸せにしてあげたい。』ってね!」
「え…めっちゃ通常運転じゃないですか。」
「そうそう!それが面白くてwwハーッw……それに、もうこの願いは変えられない。変わらない。」
「え?じゃあもしかして絶対に推しとヒロインが結ばれるってことで?」
「それは違うんだよエリーフェくん。君はと言ったんだ。幸せにして。ではなく、してあげる…だから君はあの世界に飛ばされた。君自身最善の手を尽くして彼を幸せにさせるために」

……なるほど。幸せにしてだったら、私が転生する必要もなければ、あっ幸せになったよ!良かったねー!で終わったものを幸せにしてあげたい……いやー馬鹿ですね。これは私戦犯かも。

「いやでも、流石に幸せにして。なんてハッピーエンド見せて終わりみたいなものだろう?それってつまらなくないか?単に二次創作の漫画見せて終わりだけなんて…折角の願いだ、自分の手で彼を幸せにしてあげるチャンスが貰えたって考えれば道理にあってると思うよ。」
「なるほど?」
「だから君は彼をどんな形であれ幸せにするといい。」

 私たちの行く末を楽しく待つように、自分の楽しい玩具を見るような目で彼女?は笑った。
本来、アンネ•マルクスは明るく大人しい女の子だ。しかし、今目の前にいるアンネ•マルクスの形をしたそれ神サマは別物だと言う事を強調しているような表情を浮かべた。
少しずつ…意識が薄れていく、現実に戻っていくのがわかる。

「幸せの形は一つじゃ無いからね。」

神サマが言ったその一言と共に私は目を瞑った。
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