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第二話 学校の七不思議
作戦会議!
しおりを挟むとりあえず私は寮に戻り身支度を整えることにした。
「おかえりなさいませ。お嬢様。」
「ええ、ただいま。ミル。」
寮に着くとメイドが出迎えてくれた。選んだ専属メイドは勿論ミル。ミルは私が小さい時から面倒を見てもらってるメイドである。小さい時に町の路地裏で落ちてるのを見つけて家で引き取った、それから面倒を見てたらお家で雇わせてくれって言うもんだから。雇ったらメイドとしての有能っぷりを見せつけて私の専属メイドへと昇格したって訳だ。
「今日はフェル様と談話室でお話しするわ。すぐ、出かけるので準備して頂戴。」
「かしこまりました。」
「帰り次第夕食にするから、準備をお願いね。」
「かしこまりました。」
寮を後にして私は談話室へ向かった。寮は男女別に分かれており男女両方とも出入りできる共用スペースがある。
「エリーフェ。」
「どわっ!!」
急に後ろから呼ばれるとびっくりするッ!振り向くとフェル様が立っていた。
「急に話しかけてすまない。僕達は第4談話室だ、行こう。」
「はい。」
第4談話室に入ると既にお茶菓子が用意されていた。しまった~私も持ってくれば良かった。という微かな罪悪感を抱えつつ、部屋の内装を確認する。流石この学園監修の寮というところだろうか。煌びやかで椅子などはふかふかお菓子や紅茶を溢したら中々の値段が飛びそうだ。
「では早速、前回の続きを話そう。」
「はい!っと…そのまえに一つお聞きしたいのですが。口調変わりました?」
「嫌、だったか?」
「あ!いえ、そう言ったわけではないのですが…その少し嬉しくて。」
「頑張って君が現代の魔術の禁忌に触れるレベルのことを話してくれたのに何時までも他人行儀では申し訳ないと思ってな。まあ、しかし嬉しいならなによりだ。」
「禁忌!?!…え、アウトなんですか転生って。」
「バリバリのアウトだろう。もう一度同じ魂を繰り返せるなんて禁術にも程がある。」
「す、すみません。」
「無論、僕が話さなければいいし。君も黙っていれば知る人もいない訳だ。」
「ほっ…」
転生の術が禁忌だって事知らなかったけど、よくよく考えれば普通そうなるよな。ひぇ、使ったって知られたら普通に殺されそうなんだが?
恐ろしい事実を知ってしまったが、とりあえず転生者としての情報をフェル様に伝えよう…作戦は1人よりも2人の方がいい。
「今日はですね、簡単人物紹介をしていきたいと思います!」
「フム…。」
「まずはですね…こちら!救国の聖女、フェル様の攻略対象!リイス•クリスチャーヌです!」
「……リイス。」
メモ用紙にペンを走らせ恐らくヒロインの名前であるものを書いている。彼の目はやっと見つけた宝石でも見るかのような淡い初恋にのぼせるかような目でその名前を眺めていた。
「このリイスさんは、私達の一つ下。つまり、来年からこの学園……。えっと…」
「まさか君、学園名を忘れたんじゃ無いんだろうな。」
「マッテッ!!思い出します!」
「ラードルニア学園。」
「それです!」
「はぁ…それですじゃない。ちゃんと学園名くらい覚えておきなさい。」
「うぅ、すみません。」
「改めまして、ラードルニア学園の一年生として入学するところから物語がスタートするのです!
クリーム色の髪とピンク色のつぶらな瞳。見るものを虜にするような容姿を持っております」
「充分に承知してる。」
「でもこの話。実質ヒロインに一番最初にあったのはフェル様なんですよ?」
「!!そうなのか。」
「はい!一番乗りでした!」
「…///」
ヒロインが初めて学園に入る人にあったのがそんなに嬉しかったのか少し顔を赤らめて、褒められた子供のような表情を浮かべていた。可愛くて、大事で、何より大切で。でも、これは私に向けられる笑顔じゃないんだよなーって。
なーんて!私は応援するってもう決めたんだから関係ないっての。
「そういえば、エリーフェ。君は学園名も覚えてなかった様だが、魔術に対する知識は持っているのか?」
「あ~はい。少しは、え~。魔力属性は5種類、火、水、風、光、闇ですよね。」
「……はぁ。」
「えっ!?違いましたか?!」
フェル様は少し頭を抱えると困った様にこちらを見た。
「違う、属性は6種類。火、水、風、光、闇…そして虹だ。」
「に、虹?」
「そう、虹。聖女のみ与えられる属性、虹だ。」
「え?あの…聖女って光じゃないんですか?」
「公式に聖女と発表された場合は虹。…ただ聖女は国が欲しがる重宝もの、一般的には光属性と方をつけているだけだ。」
「は、初耳です。」
「君、本当にその漫画愛読していたのかい?知識が不十分なのでは?」
「うぐっ!」
確かにフェル様と言っていることは一理ある。愛読していた本なら、しっかりと内容を完璧に覚えていたりだとか、ましては学園名、世界構想なんて覚えていて当然だろう。
だがな!!!私別にその系の漫画これだけしか読んでないなんて言ってないし!!…忙しくて読めなくなっていたのは事実だけど。
「まあ、いい。君がある程度覚えているだけでも力になる、対した問題じゃない。」
「フェル様~♡(ニコッー」
「だがなぁ、仮にも婚約者。君の推しであるこの僕に泥を塗る…なんてことはないよなぁ。」
「ピェ……」
「これからは情報交換と共に魔術についての知識を僕が教えよう。」
「…そ、それは。勉強会ですか。」
「僕だけ情報を貰うのは些か不公平だろ。なら僕も魔術の知識を君に与えればいい。」
フェル様の企む様な表情と共に勉強会が設定された。………いつのまにかフェル様との勉強会の約束が入っている、だと??眼福極まりないが勉強会…。くっ!!フェル様の顔に泥を塗らないためにも仮婚約者として!頑張らねば!!!!
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