脇役よ恵まれてくれ!

二鈴 照

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第二話 学校の七不思議

彼女を探しに

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ーーーーsideフェル

 まず初めに、七不思議を思い出そう。

1、窓の外から見える青い火の玉
2、音楽室から聞こえる人を取り込む歌声
3、美術室の動く作品
4、第4談話室
5、どこまでも続く奈落の穴
6、話をするステンドグラス
7、多分なし

この7つ、エリーフェが居なくなったのは音楽室だから……2番目の音楽室から聞こえる人を取り込む歌声か。見たところ音楽室には何もないから他を当たるしかない。

 まず一つ目、1番目の『窓の外から見える青い火の玉』…、窓の外を除いてもこれと言って何も見えない。
 次に、5番の『どこまでも続く奈落の穴』これは……場所が書いてないから突発的に起きるものの可能性が高い。…どちらにしろ探しようがない。
 4番目の談話室は寮だから、戻っていたら逆に助かる。…今は学校だから確かめようが無いが。

…となると、美術室、とステンドグラス…大聖堂か。
 まずはここの音楽室から一番近い美術室に行こう。2棟3階にある美術室に足を運んだ。
 
……美術室に着くと壁一面に作品が飾られていた。絵の具やパレットいつか授業で使うであろうものが棚に並んでいる。
 見たところ七不思議の通りに作品が動く様子は無い。

「何も手がかりがなさそうだな」

 美術室を後にして大聖堂に向かうことにした。
 魔力の測定以来、僕はここに来ていない。魔力を測定するためにある石板とその背後には6人の賢者とされた人たちが描かれたステンドグラスが飾られてあった。

 6つ目の七不思議、話をするステンドグラス。
話す様子も対してないようだな…ここも違うとなると後は第4談話室か。

『聞いてくれよ、今日も1人引っかかったんだってよ』
『ハハハ、どうやらセイレーンに惑わされたらしい。』
『馬鹿馬鹿しいな…』
『にしても話をしていれば良いだけなんて楽ねぇ』

 ステンドグラスが話をしている??セイレーン…海の怪物。確か歌声で惑わせるだったっけな、引っかかった1人…もしやそれがエリーフェか。

「おい、ステンドグラス。連れ去った女は何処だ。」
『あ?こいつ聞こえてんのか、俺らの声。』
『ほほう、を持つものか。だが、残念~ワシらは良くしらんのじゃ~w、というか知ってても教えないのじゃ。』

 怪奇現象だかなんだか知らないが、彼女が居なくなったら僕の地位も、リイスを手にいれるのも難しくなる。
 だから…僕には今、彼女が必要なんだ。

「僕の物を奪うなんていい度胸じゃないか。5数えてやるその間に彼女の居場所を吐かなければ、お前らステンドグラスを壊す。」

 ポッケに忍ばせていた紙を取り出す。風圧魔術の魔法陣、強化魔術の魔法陣×3枚。強化魔術は重ねがけすればする程、身体に負担がかかるし魔力不足だと発動できないが僕なら足りる。
 
 ステンドグラスの目の前まで行き、に紙を見せつけ、カウンドダウンを開始。

「5……」
『……』
「4……」
『お、脅しなんか効かんからな!』
「3……2……」
『ひ、やめ、やめて』
「1………」
『た、助けてぇ!!』


「降参だ、フェル•ライゼントくん。」


 ふと、後ろから声が聞こえた。振り返ると、同じ制服を纏った人が手を上げて立っていた。
 少し変な前髪と長髪、水色の髪はステンドグラスに反射した月の光を浴びて煌びやかに光っていた。妖艶な雰囲気、一瞬男か女か分からない顔つき。誰だこいつ…

「どちら様ですか。」
「こんばんは、私は2年の生徒会所属、シャルク•スモーケルだよ。よく言われるんだけど、性別は君と同じさ。」
「エリーフェは何処ですか。」
「まあまあ、そんな怒った顔しないで。彼女は無事だよ。」
「何故こんなことを?」
「生徒会さ、夜の学校に入ってくるのは生徒会に許可を貰わないとだからね。違法に活動してる人を取り締まる…それがこの学校の七不思議って訳さ。」

 七不思議の正体は、怪奇現象でも自然魔法現象でもなく生徒会。何事も無くて良かったと少し思う。

「なるほど、それは失礼をしました。」
「しかしまあ、こちらも脅かし過ぎたようだね。君の大事な婚約者さんを怖がらせたことを謝罪しよう。」
「なっ!(僕とエリーフェはそんな関係じゃ)」

 ニコッと少し彼は微笑むとエリーフェがいるであろう所に案内をされた。

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