優しい夜のうた

びぅむ

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第1章 新しい家族

兄は優しかった

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祐は、意外と優しい人なんだ。でも、よかった。これで安心して、祐のこと、お兄ちゃんて、呼べるね。

自転車で住宅街を駆け抜けていく間、会話はほとんど無かった。それでも、心地よかった。緊張もなくて、具合が悪いのも、少し忘れられた。この時間が、とても嬉しかった。

二人の間にあったワダカマリの壁は、いつの間にか綺麗になくなっていて、新しくて優しい風が、吹き始めていた。

家に着いて、私はトイレに駆け込んだ。

やっぱり、保健の授業で聞いた女性としての目覚めだ。生理が、来た…とうとう私にも。周りの女の子は大体生理が始まってる人が多いから、私もそろそろだろうとは思ってた。むしろ、遅いくらいだと思う。赤い血が流されていくのを見て、私は何故か涙がぽろぽろ零れると、そこにドアがドンドンとノックされて、

「そのままそこにいるんだぞ!!」

と祐が叫ぶと、私は泣きながらドアの方を向いて便器に座った。

それから15分もしない内に、祐がバタバタと帰ってきて、

「萌梨。ここに置いとくからな。使い方、分かるよな?薬はテーブルんとこ置いとくから。恥ずかしいと思うから、俺は部屋にいる。よほど痛かったり、なんかあったら、いつでも呼べよ…。家族なんだから、恥ずかしいとか、そんなの関係ないからな!」

と力強い声だけ聞こえて、少しすると階段を上がる音がした。自分の部屋に入ってドアが閉まる音も聞こえた。私はゆっくりドアを開けると、壁際に小さな紙袋に包まれて白いナプキンが入っていた。

男の子のくせに、買ってきてくれたんだ。恥ずかしかっただろうに……。うちのクラスの男たちなら、絶対に笑ってからかってたに違いない。2つ年上でも、こうも大人なのね。

私は、そう思うと、ジン…と胸が熱くなって、ナプキンを手に取ってドアを閉めた。


ありがとう。祐。
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