優しい夜のうた

びぅむ

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第5章 動き始めた疑惑

会いたい…

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私が眠っていると、先輩は優しい手で私の頬を撫でてくれていた。

「萌梨……」

何度も何度も、そう、囁きながら…。

でも、そんな風に名前を呼ばれると、忘れかけていた人の温もりを、思い出してしまう。


『俺が、そばにいるよ』



祐……。



会いたいよ…。






坂井と渡部は、車で萌梨の家にやってきた。

渡部は少し緊張してドキドキしていて、隣の坂井を見上げた。坂井の手には、途中で買ってきたハンバーグ弁当と唐揚げ弁当が入っている袋があり、

「よし。行くぞ。父親はまだ帰宅していないはずだから」

と坂井が言うと、渡部は頷いて萌梨の自宅のインターホンを押した。少ししてから、

「…はい」

と男の子の声が聞こえてくると、渡部が、

「私、萌梨さんの高校の同級生の渡部と言いますが」

と言うと、また少し間があいて、

「……姉は、まだ帰っていませんが」

と律義に返答した。

「萌梨さん、熱を出して倒れてしまって、今私の家にいます。熱が下がるまで、萌梨さんを預からせてもらってよいでしょうか」

渡部も冷静に、丁寧にそう言うと、また間が空いてしまった。少し時間が経ち、渡部と坂井は顔を見合わせていると、玄関のドアがゆっくりと開いて、二人はハッと顔を上げた。

玄関から現れたのは、インターホンの男の子ではなく、萌梨の妹の美夜だった。

まだ小学生の低学年のはずなのに、整った顔立ちで目を引くほど綺麗な顔立ちをしている。美夜の切れ長の大きな瞳が、渡部と坂井の姿を捉えた。

だが、美夜は坂井には見覚えがあって、きつい表情が一気に緩んだ。

「おじさん…。あの時の、自転車の……!」
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