優しい夜のうた

びぅむ

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第5章 動き始めた疑惑

美夜の反応

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美夜が少し笑みを浮かべてそう言うと、渡部は坂井を見上げた。坂井はにっこりと微笑み、

「元気そうだね。良かった。でね、君のお姉さんが熱を出したんだ。学校帰りに倒れて、ちょうど通りがかったから、病院に連れていきたかったんだけど、お姉さん、病院に行きたがらないんだ。だから、友人であるこの人、渡部さんの家に連れてきたんだ。具合がよくなるまで、預かることになるけど、いいかな?」

と優しく、分かりやすく坂井が説明をすると、美夜の笑顔は曇り、

「…お姉ちゃん、…帰ってこないの?」

と尋ねると、坂井は屈んで美夜を見た。

「うん。でね、夜ご飯、そこのお弁当屋で買ってきたんだ。毒とか入ってないよ。良かったら食べて」

そう言って、坂井は弁当が入っている袋を美夜に渡すと、玄関のドアの隙間から圭太も出て来た。

「…お姉ちゃん、大丈夫なの?」

「あぁ。心配かな?」

坂井が苦笑しながらそう言うと、美夜はにっこりと笑って、

「でも、ゆっくりしてきて。おうちのことは大丈夫。心配しないで。私がお姉ちゃんの分、頑張るから!」

と明るく言うと、坂井と渡部は驚いて目を丸くした。

そして、美夜は弁当の袋を素直に受け取ると、小さく会釈をして家に入り、ドアを閉めてしまった。坂井と渡部は、呆然として動けなかった。

「なんか…ヘンじゃなかった?」

と渡部が言うと、坂井も頷き、

「うん。うまく、かわされたというか、なんてゆーか」

と答えると、二人は再び顔を見合わせて、

「…とりあえず、帰るか」

と坂井が言うと、渡部も頷き二人は車に向かって歩き出した。
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