優しい夜のうた

びぅむ

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第5章 動き始めた疑惑

圭太は全て知っていた

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すると、そこに再び玄関のドアが開く音がして、坂井と渡部は気がついて振り向いた。

「…あの!」

さっき、ちらっと現れた圭太だ。

「あの……!お兄さん、もしかして…」

と圭太は言いかけると、坂井は渡部と顔を見合わせたが、すぐにまた圭太を見つめると、圭太はぎゅっと拳を固めて、

「お姉さんは、うちにいないほうがいい。それと、美夜も!僕は、知ってるんだ。なにもかも、知ってる。悪いのは、お父さんで…だから!」

そう言いながら、少年は涙ぐんでいる。萌梨と同じ、怯えるようにして泣いている。渡部は眉をひそめて圭太を見つめてから隣の坂井を見上げて袖を摘んだ。坂井は渡部を見つめて頷き、胸ポケットから小さな名刺を取り出して圭太に歩み寄ると、

「君の気持ちを、無駄にはしないよ」

と言って圭太に渡すと、圭太は名刺を見つめてしっかりと頷いた。

「君のお兄さん、いつ帰ってくるんだい?」

「お兄ちゃんは、……分からないんだ」

「なんで?」

「半年くらい前から、連絡がつかなくて。いなくなったとか、よく分からないんだ。お父さんも捜してるみたいなんだけど」

そこにまた玄関のドアが開くと、

「圭ちゃん!」

と美夜が呼んでいる。圭太はハッとして振り返ると、

「もう、行くね。お姉さんを、よろしくお願いします!」

と言って深く頭を下げると、再び玄関に戻りドアを閉めてしまった。坂井と渡部は、再び顔を見合わせて、どちらともなく頷きあい、同時に車に乗り込んだ。



その日は渡部雪子は家に帰り、佃島は萌梨の看病をしたいと言い張り、坂井の部屋に泊まった。もちろん、坂井が男だから、という心配もあったけれど…。





翌朝。

私は目を覚ますと、傍らに佃島先輩が顔を伏せて眠っていて、私は驚いて起き上がった。

ここは…!

私…!?

朝……?

帰ってないの?!
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