優しい夜のうた

びぅむ

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第5章 動き始めた疑惑

鬼が棲む家

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小沢俊一の妻、小沢祥子が再婚し梶原祥子となって、2年後。カーブを曲がり切れなくて、転倒し反対車線のトラックと激突、致命傷となった……。だけど、ここで萌梨ちゃんに聞きたい。祥子さんは、普段車にはあまり乗らない人だったんじゃないか?」

坂井さんが言うと、私はドキッとして眉をしかめて頷いた。

「……うん。運転、好きじゃなかった。だから、滅多に車なんか乗らないから、事故に遭ったのかと」

「……あの車のブレーキは、切断されていたんだよ」

坂井さんが言うと、私は心臓が大きく高鳴った。

「…えっ?」

「事故の衝撃ではないかとも疑われたが、あれは前以て、切断されていた切り口だった。だから、ブレーキがかからなくて曲がり切れなかった。普段車には乗らない彼女が、車に乗るような、何かがあった。すぐに何処かに行くよう、仕向けられたとか。電車やバス、タクシーではなく、車を使わせるための策がね。そして、事故に遭ったんだ………。ブレーキのこともあって、ようやく警察の重い尻が持ち上がり、捜査室が再開された」

ドクン、ドクンと心臓が高鳴った。

気付きもしなかった。疑いも、しなかった。

パパが、殺されたなんて。お母さんの事故が、殺意的なものだったなんて…。子供だったし、突然のことで哀しかったから、疑いもしなかった。

「…でも、誰が……そんな………」

と私は言いながら、脳裏に一人の男の顔が浮かんで、息が止まりそうになった。




「………ま、まさか……!!」




私は気がついたら手が震えていて、先輩が気づいて私の手を握り締めてくれると、坂井さんも真顔で私をじっと見つめていた。

「今、君の脳裏に浮かんだ犯人像は、誰だい?」

と坂井さんが訊ねると、さらに私はドキドキして涙が溢れて頭を横に振った。

「そんな……まさか……!いくらなんでも…梶原が……!?」

私は独り言のようにそう呟くと、頭を抱えて、思わず佃島先輩の胸に顔を伏せると、先輩も驚きながら私を抱きしめてくれた。




鬼だ…!




もしそうだとしたら、あいつは本物の鬼!




怖い…!!
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