優しい夜のうた

びぅむ

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最終章 優しい夜のうた

最後の奇跡

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祐は萌梨の髪を優しく撫でると、

「俺もだよ。愛してる。ずーっと、愛してる」

と囁いて静かに唇を重ねた。懐かしい萌梨の唇の感触に、涙が止まらない。炎のように熱い唇から、吐息が漏れる。萌梨もそんな祐の唇に身を任せていると、唇がゆっくりと離れて、祐はまた強く萌梨を抱きしめた。

面会時間が過ぎているため、離れがたいけれど、祐は帰らなくてはならない。仕方なく、祐は凛に上着を着せて、ベッドの上の萌梨にもう一度だけキスをして頬を撫でると、

「ゆっくりおやすみ。萌梨が目覚めたことを知ったら、みんな喜ぶよ。美夜、小学校卒業して、萌梨に感謝してた。明日、美夜を連れてくるから」

「美夜が…。うん…。そうね。また、明日」

「また、明日!」

萌梨は優しい笑顔で手を振り、ドアの隙間から見えなくなるまで、萌梨と祐は微笑み合いながら見つめ合っていた。ドアが閉まると、凜は眠そうにフラフラして、祐に抱き上げられて腕の中ですぐに眠ってしまった。祐は、熱い想いが込み上げてきて、胸がドキドキと高鳴っていた。

やっと、萌梨と生きていける。

凛と3人で。

俺たちは、悲しい運命に負けなかったんだ。やっと、切り抜けたよね。

これから、幸せな日々が始まるんだ。

祐はそう思うと、余計に涙が溢れて目の前の景色が曇って見えなくなってしまった。たまらなく嬉しくて、幸せが目に染みていた。明日からの幸せな日々を想像するだけで、涙が溢れて止まらない。


愛してる。


愛してる…!!




その奇跡が、最後の夜になるなんて思わなかったけれど………。






翌朝。


萌梨は眠ったまま、もう二度と目を覚ますことはなかった。
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