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第1章 さよなら、果樹園
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父は、おそらく世界で一番愛する人との娘である私を求め、お姉ちゃんの見ている前で私を抱こうとしたんだ。
まだ子供だった私を…。
お姉ちゃんはそんな父から私を守るために、あいつを刺した。私はあの時、身の回りで起きていることや、お姉ちゃんの悲しみに初めて気付いたんだと思う。
たくさんの人が泣いた。
お姉ちゃんは明らかに正当防衛なのに、認めてくれない人もいたりして。私はそんなお姉ちゃんの名誉を守りたくて、隠し撮りされていたビデオや、自分も…されてきたことを訴えた。
そのためには、味方になってくれた人たちの心強い支援があった。
祐兄さんは、旅行会社の代理店に勤めている。パッケージ旅行などの企画課で、いつも企画を作るのに追われている。その祐兄さんが、おじいちゃんのことがあって静岡にやってきた。
病室のベッドで半分意識を失っていたおじいちゃんは、奇跡的に目を覚まして祐兄さんを見て、涙を流した。私たちはみんなで、その様子を見つめていた。
「梶原。お前のせいで、うちの家族はみんな苦しんだ。俊一くんや、祥子、萌梨…。宏子だって……。一体お前の望みはなんだったんだ?もう、苦しませないでくれよ…。頼むから…」
おじいちゃん、誰と間違えているのかな…?
ヒロコというのは、梶原守留の母親の名前だと、後で知った。おじいちゃんの悲痛な願いは、祐兄さんの優しい笑顔で打ち消されて、やがて静かに息を引き取った。
まだ子供だった私を…。
お姉ちゃんはそんな父から私を守るために、あいつを刺した。私はあの時、身の回りで起きていることや、お姉ちゃんの悲しみに初めて気付いたんだと思う。
たくさんの人が泣いた。
お姉ちゃんは明らかに正当防衛なのに、認めてくれない人もいたりして。私はそんなお姉ちゃんの名誉を守りたくて、隠し撮りされていたビデオや、自分も…されてきたことを訴えた。
そのためには、味方になってくれた人たちの心強い支援があった。
祐兄さんは、旅行会社の代理店に勤めている。パッケージ旅行などの企画課で、いつも企画を作るのに追われている。その祐兄さんが、おじいちゃんのことがあって静岡にやってきた。
病室のベッドで半分意識を失っていたおじいちゃんは、奇跡的に目を覚まして祐兄さんを見て、涙を流した。私たちはみんなで、その様子を見つめていた。
「梶原。お前のせいで、うちの家族はみんな苦しんだ。俊一くんや、祥子、萌梨…。宏子だって……。一体お前の望みはなんだったんだ?もう、苦しませないでくれよ…。頼むから…」
おじいちゃん、誰と間違えているのかな…?
ヒロコというのは、梶原守留の母親の名前だと、後で知った。おじいちゃんの悲痛な願いは、祐兄さんの優しい笑顔で打ち消されて、やがて静かに息を引き取った。
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