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第4章 背中合わせの答え
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レストランであなたは確かに私を置いて一人で逃げたけど、きっとあの人だったら、自分が危ない目に遭ったとしても私を庇って、守ってくれると思う。そういう人なの。あなたを責めてるわけじゃないわ。ただ、私にとっては、坂井さんのことが一番好きっていうことだけなんだ」
素直に認めたばかりのこの気持ちを言葉にして、言いながら自分で照れて何だか泣きそうになった。翔平は驚きながらも、正面を向いて小さなため息をつき、頭を抱えた。
「ほんと、あんな些細なきっかけで、こんなにも雪ちゃんの気持ちが離れるなんてね」
「翔平…」
「しかもあの時、坂井さんの名前を呼んでたよね」
そう、だったかな?はっきり覚えてない。夢中だったから。私は首を傾げていると、翔平は微笑んで私を見つめて、
「もう、とっくに負けてたんだな、俺は。坂井さん、本気で俺のこと怒ってた。確かにあの人なら、銃の前にさえも飛び込めるタイプかもね。雪子、雪子って…奥さんでも呼んでるみたいな声でさ。いつも大きな声を出さない雪ちゃんも、叫んでたし。…でも、ちゃんと俺のことも考えてくれてた。ありがとう。それから、ごめんね」
と優しく言うと、私は涙ぐみながら大きく頷いた。
「私こそ。ごめんね」
私と翔平は、少しの間思い出話に花を咲かせて、遅い時間まで車の中で話し込んでいた。そして、ここからは普通の同僚に戻ろうとお互いに約束して、私たちは別れた。
素直に認めたばかりのこの気持ちを言葉にして、言いながら自分で照れて何だか泣きそうになった。翔平は驚きながらも、正面を向いて小さなため息をつき、頭を抱えた。
「ほんと、あんな些細なきっかけで、こんなにも雪ちゃんの気持ちが離れるなんてね」
「翔平…」
「しかもあの時、坂井さんの名前を呼んでたよね」
そう、だったかな?はっきり覚えてない。夢中だったから。私は首を傾げていると、翔平は微笑んで私を見つめて、
「もう、とっくに負けてたんだな、俺は。坂井さん、本気で俺のこと怒ってた。確かにあの人なら、銃の前にさえも飛び込めるタイプかもね。雪子、雪子って…奥さんでも呼んでるみたいな声でさ。いつも大きな声を出さない雪ちゃんも、叫んでたし。…でも、ちゃんと俺のことも考えてくれてた。ありがとう。それから、ごめんね」
と優しく言うと、私は涙ぐみながら大きく頷いた。
「私こそ。ごめんね」
私と翔平は、少しの間思い出話に花を咲かせて、遅い時間まで車の中で話し込んでいた。そして、ここからは普通の同僚に戻ろうとお互いに約束して、私たちは別れた。
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