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第8章 さよならの予感
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「お父さんにも言われちゃったの。刑事なんて仕事は野蛮だって。命の危険と隣り合わせで、この先何かあった時…私が悲しむことになるって。交際を反対されたの」
「次郎が?!あのヘタレめ…!」
範子おばさんはチッと大きく舌打ちした。
「私と坂井さんもね、一緒に暮らしたいって同時に思ってて、お母さんに相談したんだけど」
「え?真波まで反対した?!」
範子おばさんは驚いて手を止めて、私を見つめた。
「反対…ではなかったけど、でも、先のことをちゃんと考えてるのかって」
「あぁ…なるほど。そうね。同棲するともなると、そういうことを視野にいれて、一緒に住んだほうがいいよね。じゃないと、いつまでもズルズルしちゃうし」
頷きながら範子おばさんが言うと、私はため息をこぼした。
「結婚て、そんなにしなきゃ駄目なこと?別にそんなのいいじゃない。お互いに好きで一緒にいたい。それだけじゃ、なんで駄目なの?いつか辛くなるなら…みたいなこと言われたって、そんなの分かんない。今、好きなだけじゃ、なんで駄目なの?子供じゃないのに」
そう言うと、私は涙が溢れてきて俯いてしまった。範子おばさんは蛇口の水を止めて、シンクの脇に掛けてあるタオルで濡れた手を拭くと、私の肩を抱き寄せてくれた。
「子供じゃないから、だよ」
「次郎が?!あのヘタレめ…!」
範子おばさんはチッと大きく舌打ちした。
「私と坂井さんもね、一緒に暮らしたいって同時に思ってて、お母さんに相談したんだけど」
「え?真波まで反対した?!」
範子おばさんは驚いて手を止めて、私を見つめた。
「反対…ではなかったけど、でも、先のことをちゃんと考えてるのかって」
「あぁ…なるほど。そうね。同棲するともなると、そういうことを視野にいれて、一緒に住んだほうがいいよね。じゃないと、いつまでもズルズルしちゃうし」
頷きながら範子おばさんが言うと、私はため息をこぼした。
「結婚て、そんなにしなきゃ駄目なこと?別にそんなのいいじゃない。お互いに好きで一緒にいたい。それだけじゃ、なんで駄目なの?いつか辛くなるなら…みたいなこと言われたって、そんなの分かんない。今、好きなだけじゃ、なんで駄目なの?子供じゃないのに」
そう言うと、私は涙が溢れてきて俯いてしまった。範子おばさんは蛇口の水を止めて、シンクの脇に掛けてあるタオルで濡れた手を拭くと、私の肩を抱き寄せてくれた。
「子供じゃないから、だよ」
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