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第8章 さよならの予感
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「滋…、祐…」
俺は2人を見て、俯き、涙が溢れてきそうになったので、ごまかして外の景色に視線をずらした。
「知らねーな」
「誤魔化したよ、このおっさん」
「やさぐれてんなー」
祐と滋はそう言って笑い合い、俺は煙草の煙をまた吐き出して、暗くなった夜空を眺めていた。そこに圭太が凜を抱いて帰ってきて、2人は二階にいる俺たちを見上げて、
「坂井さん!みんな、ただいま!」
と笑いながら叫んで、手を振っていた。凜も無邪気に笑って、俺たちに向かって両手をブンブンと振っていた。俺はそんな2人の笑顔になんとなく癒されて、微笑みを返して手を振り返した。
雪子も、あの凜と同じなんだよ。年がうんと離れてて、子供と同じで、誰かが守らなくちゃいけないんだ。でも、俺では駄目だ。
俺ではない男と、いつか幸せな結婚をしてほしい。
その日の帰り。
俺は、滋の家から2分もかからないくらい近い雪子の自宅に、雪子を送って行った。今日は酒を飲む予定だから、車は置いてきているので、徒歩で向かっている。案の定、すぐに到着して、門の前でお互いに話のきっかけを掴めず、戸惑ってしまっていた。すると、家の中から西片麻美が飛び出してきて、
「あ!坂井さん!待ってたのよ!」
と笑って駆け寄ってくると、俺は「ゲッ!」と言って西片を見た。
俺は2人を見て、俯き、涙が溢れてきそうになったので、ごまかして外の景色に視線をずらした。
「知らねーな」
「誤魔化したよ、このおっさん」
「やさぐれてんなー」
祐と滋はそう言って笑い合い、俺は煙草の煙をまた吐き出して、暗くなった夜空を眺めていた。そこに圭太が凜を抱いて帰ってきて、2人は二階にいる俺たちを見上げて、
「坂井さん!みんな、ただいま!」
と笑いながら叫んで、手を振っていた。凜も無邪気に笑って、俺たちに向かって両手をブンブンと振っていた。俺はそんな2人の笑顔になんとなく癒されて、微笑みを返して手を振り返した。
雪子も、あの凜と同じなんだよ。年がうんと離れてて、子供と同じで、誰かが守らなくちゃいけないんだ。でも、俺では駄目だ。
俺ではない男と、いつか幸せな結婚をしてほしい。
その日の帰り。
俺は、滋の家から2分もかからないくらい近い雪子の自宅に、雪子を送って行った。今日は酒を飲む予定だから、車は置いてきているので、徒歩で向かっている。案の定、すぐに到着して、門の前でお互いに話のきっかけを掴めず、戸惑ってしまっていた。すると、家の中から西片麻美が飛び出してきて、
「あ!坂井さん!待ってたのよ!」
と笑って駆け寄ってくると、俺は「ゲッ!」と言って西片を見た。
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