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第11章 お仕置きです!
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「ぼ、暴力反対!」
「暴力してないだろ?!い・ま・は!」
そういって、範子さんは次郎さんの左右のこめかみを、拳で力強く挟んだ。
すげぇ、シュールな、絵が…。
俺はそう思って背筋が凍りつきそうになった。
「いででで!範子っ!はなっ…せっ…!真波…助け、ろ…!」
あの次郎さんが、早くもギブアップしている。リングのロープに手をかけて、セカンドにタオルを求める姿みたいだ。真波さんは「はあっ。もう」とため息をついて言うと、
「それくらいにしてあげて。範ちゃん」
と言うと、範子さんはようやく次郎さんから手を離した。
やっと、真波さんがリングに向かって、タオルを投げ入れた。
次郎さんと真波さんは顔を見合わせて、フッと微笑みあい、次郎さんは真波さんの肩を抱き寄せて俺を見つめた。
「…もう、とっくに分かってたんだ…。雪子は『俺たち』より大切なものを、もう見つけてしまったんだって…。それが、寂しかったんだ」
次郎さんは、何だか寂しそうにそう言って、優しい笑顔を浮かべていた。そして俺の向かい側に立つと、初めて俺をまっすぐ見つめてくれた。
「坂井くん。君の今の一番の望みはなんだい?」
「え?」
「…君たちの好きにしたら、いいんだ。もう、反対なんかできっこないからな」
「暴力してないだろ?!い・ま・は!」
そういって、範子さんは次郎さんの左右のこめかみを、拳で力強く挟んだ。
すげぇ、シュールな、絵が…。
俺はそう思って背筋が凍りつきそうになった。
「いででで!範子っ!はなっ…せっ…!真波…助け、ろ…!」
あの次郎さんが、早くもギブアップしている。リングのロープに手をかけて、セカンドにタオルを求める姿みたいだ。真波さんは「はあっ。もう」とため息をついて言うと、
「それくらいにしてあげて。範ちゃん」
と言うと、範子さんはようやく次郎さんから手を離した。
やっと、真波さんがリングに向かって、タオルを投げ入れた。
次郎さんと真波さんは顔を見合わせて、フッと微笑みあい、次郎さんは真波さんの肩を抱き寄せて俺を見つめた。
「…もう、とっくに分かってたんだ…。雪子は『俺たち』より大切なものを、もう見つけてしまったんだって…。それが、寂しかったんだ」
次郎さんは、何だか寂しそうにそう言って、優しい笑顔を浮かべていた。そして俺の向かい側に立つと、初めて俺をまっすぐ見つめてくれた。
「坂井くん。君の今の一番の望みはなんだい?」
「え?」
「…君たちの好きにしたら、いいんだ。もう、反対なんかできっこないからな」
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