45 / 48
第42話「愛ゆえに残酷」
しおりを挟む
色気と肉欲が混じる、粘ついた矯声が響いている……。
あぁ……♡
はぁぁー♡
と───。
「ぁぁぁ♡」
今日も、激しく絡み合う一組の男女……。
いつものことながら───あの3人が、かつてあったはずのあの温かい日溜まりの家の人々が、世界で一番醜悪な男に抱かれている思うと身が張り裂けそうになる。
今日は………………ミナの日だ。
「はぁはぁ……あぁ♡」
ねっとりと絡み合っているらしいその様子が、声だけでもわかる。
テンガもミナの絶技の前には果てるのが早く、余裕はないようだ。
それだけに、ローテーションの中にミナの入る確率は高い。
とはいえ、最近のテンガは本当にクラムの知る3人ばかりを抱く。
よほど、クラムが外にいるだけで違うのだろう。
その介もあってか、テンガときたら終始ご機嫌だ。
戦争そのものが、上手くいっているのもあるのだろう。
この戦いが終わり、『魔王』の首級を上げれば、彼は晴れて人類の救世主。
本国では次期国王もありうると───。
───冗談じゃない!!
悔しいが、そりゃ、シャラ達がテンガに溺れるわけだ。
未来が約束された最強の男。
顔とて悪くはない。いや、むしろ美青年。
そして、若く、富も名声も力もある……。
かたや、クラムは囚人兵。
仮に「特赦」され、自由の身になったとて───彼には、何もない。
「っあぁぁぁぁッッ──♡」
絶頂を迎えたミナの声が、天幕から派手に漏れる。
耳を塞ぎたくなるが、塞いだところで聞こえなくなるわけでもない。
「ふぅぅ………! はは、今日のミナはすげぇな!? どうしたんだ?」
同時に果てたらしく、テンガも満足気にに吐息を漏らす。
そして、しばらくのち復活して──またおっぱじめるのだ。
……もう何度もこんな日を送れば、いい加減覚える。
微塵も慣れはしないが……。
そして、インターバルを挟むためのピロートーク───ウンザリだ。
ギリリリと、槍を握り込む手に爪が突き刺さる。
もう、爪は血にまみれてボロボロだ。
ろくに爪を切る道具もないので、噛みちぎっているため──それはギザギザと尖り……容易に皮膚を破った。
「んーん。特に何も……? テンガも凄かったわよ♡ るぁぁ♡」
んー、と唇をむさぼるその姿さえ、天幕の薄い生地では影絵として映えてしまう。
「いやー誤魔化すなよ。俺はいつも通りだぜ?……激しいのはお前さ」
チュポン♡ と音を立てて離れるそれ。
わざと聞かせているとしか思えない。
いや、わざとなんだろうさ。
しかし、ふいに周囲の空気が冷えたような感覚に襲われた。
なぜかテンガの纏うそれが、劇的にかわる。
おい……───。
「話せよ……」
と、
突然、声のトーンが変わり、テンガのそれに冷徹な響きが混じった。
「ヒ………ッ」
そして、ミナの声にも脅えが、
「何を隠してる? 言えよ?」
男女のそれとは明らかに異なる動き。
テンガの手がミナの首に伸びて───。
それは、
食肉を絞めるが如く…………!
───絞る!!
「ぎ、ぐ……ィガぁ───」
あぐぐ……と、ミナが呻く。
は? な、なにしてんだよ! テンガ!
あ、ありゃ喘ぎ声じゃないぞ?
え? な、なんで?
なんでミナが首を絞められている!?
おい!!
「…………っ───」
「聞いてんだよ!」
影絵からもわかるくらい、ミナの体が痙攣している。
……くっ!
いくらなんでも、やりすぎだろう!?
───ミナに思うところがないわけじゃないが……。
少なくとも、死んで欲しいわけじゃない!
「テンガ!」
思わず叫ぶクラムに、
「テメェはすっこんでろ!」
ビシっ! と天幕を突き破って何か細いものが飛び出してきた。
「ガフぅ!」
肩口に刺さったそれはオードブル用の、小さな楊枝だ。
それでも、肩がはじけ飛ぶんじゃないかと思ったほどの威力。
実際、動けないほど強かに頭を打ち、あお向けにぶっ倒れる。
「ギィ………ッ───ィ───」
ミナの呼吸は途切れる───。
そのまも、肺から酸素は届かず、ミナの脳が……意識が───………落ちる。
「かは………………」
そして、糸の切れた人形のように、華奢な体がブラン……と、
「ミ……ミナぁぁ!!」
動かなくなったミナの影。
それを片手で釣り上げているテンガ。
後悔も、罪悪感も微塵も感じさせない声で───、
「あーあー……。しょんべんまで漏らしやがって、キッタねぇ……」
彼女に慮ることもなく、まるでゴミのようにドサリと───、
「ゲホゲホゲホゲホ……! オェェェ……」
あ……!
み、
「ミナ! ミナぁ!」
咳き込むミナを見て、生きていた事に安堵し、声をかける。
駆け寄りたくて、クラムはグググと起き上がろうとするも、体が言うことを───、
「すっこんでろっ、つってんだろが!」
一喝されたとて、止めるものか。
うぐおぉぉおぉ……!
今いくぞ、ミナぁ!!
「──聞き分けねぇと……こいつ殺すぞ?」
楊枝が突き破った天幕の隙間から、ミナの土気色になった顔を突きつけクラムを黙らせる。
ぐ───!
「ち……気分悪ぃぜ」
「ゴホゴホ……!」
せき込むミナに苛立ったのか、
「大げさなんだよ! ちょっと落としただけだろうが、あぁ!!」
「ひぃ!……ち、違うの。その、き、気持ちよくて──」
「はぁぁ?」
お、おいおい……!
「そ、その首を絞められて、ボーっとしちゃって……♡」
「は? あー……──ほほー。ミナぁぁ、お前Mの気があるのか? はは、こりゃいい。新しいプレイができそうだ」
途端に上機嫌になるテンガ。
そして、
「うふふ…………た、楽しみだわぁ」
そう言ってしな垂れかかるミナ。だがその顔は青ざめている。
明らかに無理をしているのがわかった。
隙間から見える細い体の線と、少女と見間違えんばかりの小さなそれは、白く美しく眩しいが───その顔は恐怖に濁っていた。
しかし、
その中にも確かに愉悦の表情もある───。
なんなんだ。
俺の……───俺の知る3人はどうなってしまったんだ!?
「でー……。もっかいだけ聞くぜ? なんで今日はそんな積極的だったんだ?」
テンガはしつこい。
いつもいつも、自分が満足するまでネチっこく女の体を貪ることからもわかるが、こいつはこういう性格なんだ。
わざわざ、囚人大隊を編成させてまで、すでに獄中にいる「恨みの根源」を断とうとするほどに、しつこく、ジメジメとネチネチとしている。
だからこそ、クラムの顔も覚えていたのだろう。
それで、こんな嫌がらせであって、かつ───その延長上にある自分の快楽へとつなげる手段を思いつく。
なるほど……屑だ。
正真正銘、人間の屑だ。
だが、そこじゃない。
クラムが気に病むのは、そこじゃないんだ───。
そう『勇者テンガ』は、紛うことなく屑だ。
それはいい。
それよりも、なぜ?
なぜなんだ?
あんな屑におちるような家族じゃなかったはず!!
なのに……なぜ、
なぜだ!
なぜ、シャラもネリスもミナもこんな奴に体を許す!?
なぜ俺の知る3人は───絶対にこんな奴に靡くはずがないというのに!!
───金や、地位や、名誉……!
そんなものに釣られるような人達じゃなかったよな?
なぁ……。
なぁ……?
なぁ!?
「えっと───その、」
ミナは背後から緩く首を絞められつつ、おずおずといった様子で答える。
「んー……早く言えよ」
「き、今日、リズを見たの───」
え?
「んんー? りず……リズぅぅ? リズリズリズ──……あーーーー! あの小さいガキか!……ま、お前よりデカいけどな」
ひゃははは、とせせら笑うテンガに、
「ちょっとぉぉ……! テンガは小さいのも好きなんでしょ?」
「おーおー、いうねぇ……お前ら3人は、いろいろ楽しめて最高だけどよ」
テンガは、何か思い出すように、
「あーリズか……。確かいい感じに熟れてきてたなー」
な!
こ……コイツ!
「あの子がいいの?──残念だけど、」
「んー? まぁ、そろそろってね──」
「───とっくに売ったわよ」
……は?
「はぁぁ? おいおいおい、確か、お前の子だろ? マジか?」
テンガをしてさすがに意外だったようで、マジマジとミナの顔を覗き込む。
途端に媚びる女の目で──
「だってー……。あの子いつまでたってもテンガに股を開こうとしないんですもの、それに、」
「おいおい……」
「あの子がいたら、テンガ。───私を捨てちゃわない?」
「………ぶはははは! ひぃーひっひっひっ! そ、それが母親の言うことかよ、ぐひゃはははは!───あー親子丼もやって見たかったんだがな~」
下種が!!
……そのままリズのことは忘れろ!
「んー? でも今日見たってのは?」
「え、えぇ…………その、」
グググっとテンガが首に力を込めている。
まったく躊躇しないその動きに、この手の詰問は初めてではないだろうと思わせる。
「囚人と歩いていたわ……」
う……。
「囚人~~?? なんでだ?」
「さぁ? 売る直前まで、言うことを聞かないし、話もしないし、頭もおかしくなってたからね……。安く売られたんじゃない?」
囚人どもの玩具として───。
と、そう告げる。
……ミナ───。
一体、どこまでが本心だ?
「あー。そりゃ壊れちまうなー。さすがに囚人のものをなー。うん、それはないわ。ばっちいしな! ぎゃははは」
そう言えば、ハレムが臭かったなーと告げるテンガ。
……なるほど、
ハレムにいた頃から、リズの扱いは酷かったのだろう。
そして───。
ミナ……。
───ミナぁぁ……!
おまえ………!
「それにしても子供を売る母親かー。ギャハハハハ、お前それ最低の奴がすることじゃねぇの?」
その言葉に一瞬だけ、ミナの顔色が暗く落ちる。
そして、隙間から覗くクラムと目が合い──反らした。
「そんな薄情じゃないわよ。死ぬような目に合わないように、性奴隷専門で売ったから」
それを聞いて、なおも笑うテンガ。
「ギャハハハハハハハハッハハ!! お前イカレてるよ。……お? なんだよ? 詰られてヤル気になってんじゃねぇかぁ!」
そういってミナを組み敷くテンガ。
醜悪な、
醜悪な宴が展開される……!
隙間から除くミナは美しい。
とても美しいが……。
この世のなによりも醜悪なそれに映る。
子供を売る。
自分の保身のために?
股を開かない?
言うことを聞かない?
………それに、
───頭がおかしくなったから?
それは、
それは、
それはぁぁぁあああ!!
「───おまえらのせいだろうが!!!!」
がぁぁぁぁ、と叫ぶクラムの声を聴いて、ますます嬌声を上げるミナと嗤うテンガ。
なんでだ?
なんでだよ!?
誰も彼も、イカレてやがる───!
リズが、
リズが……おかしくなった?
………違う。
違う違う違う違う違う違う違う!
違うだろ!!!
「──おかしいのはオマエらだろうか!」
リズは───。
リズは正常だ。
正常だから、ああなってしまったんだ!!
ああああああああああああああああ!!!
くそったれ!!!
こんな世界……………滅びてしまえ!!!
あぁ……♡
はぁぁー♡
と───。
「ぁぁぁ♡」
今日も、激しく絡み合う一組の男女……。
いつものことながら───あの3人が、かつてあったはずのあの温かい日溜まりの家の人々が、世界で一番醜悪な男に抱かれている思うと身が張り裂けそうになる。
今日は………………ミナの日だ。
「はぁはぁ……あぁ♡」
ねっとりと絡み合っているらしいその様子が、声だけでもわかる。
テンガもミナの絶技の前には果てるのが早く、余裕はないようだ。
それだけに、ローテーションの中にミナの入る確率は高い。
とはいえ、最近のテンガは本当にクラムの知る3人ばかりを抱く。
よほど、クラムが外にいるだけで違うのだろう。
その介もあってか、テンガときたら終始ご機嫌だ。
戦争そのものが、上手くいっているのもあるのだろう。
この戦いが終わり、『魔王』の首級を上げれば、彼は晴れて人類の救世主。
本国では次期国王もありうると───。
───冗談じゃない!!
悔しいが、そりゃ、シャラ達がテンガに溺れるわけだ。
未来が約束された最強の男。
顔とて悪くはない。いや、むしろ美青年。
そして、若く、富も名声も力もある……。
かたや、クラムは囚人兵。
仮に「特赦」され、自由の身になったとて───彼には、何もない。
「っあぁぁぁぁッッ──♡」
絶頂を迎えたミナの声が、天幕から派手に漏れる。
耳を塞ぎたくなるが、塞いだところで聞こえなくなるわけでもない。
「ふぅぅ………! はは、今日のミナはすげぇな!? どうしたんだ?」
同時に果てたらしく、テンガも満足気にに吐息を漏らす。
そして、しばらくのち復活して──またおっぱじめるのだ。
……もう何度もこんな日を送れば、いい加減覚える。
微塵も慣れはしないが……。
そして、インターバルを挟むためのピロートーク───ウンザリだ。
ギリリリと、槍を握り込む手に爪が突き刺さる。
もう、爪は血にまみれてボロボロだ。
ろくに爪を切る道具もないので、噛みちぎっているため──それはギザギザと尖り……容易に皮膚を破った。
「んーん。特に何も……? テンガも凄かったわよ♡ るぁぁ♡」
んー、と唇をむさぼるその姿さえ、天幕の薄い生地では影絵として映えてしまう。
「いやー誤魔化すなよ。俺はいつも通りだぜ?……激しいのはお前さ」
チュポン♡ と音を立てて離れるそれ。
わざと聞かせているとしか思えない。
いや、わざとなんだろうさ。
しかし、ふいに周囲の空気が冷えたような感覚に襲われた。
なぜかテンガの纏うそれが、劇的にかわる。
おい……───。
「話せよ……」
と、
突然、声のトーンが変わり、テンガのそれに冷徹な響きが混じった。
「ヒ………ッ」
そして、ミナの声にも脅えが、
「何を隠してる? 言えよ?」
男女のそれとは明らかに異なる動き。
テンガの手がミナの首に伸びて───。
それは、
食肉を絞めるが如く…………!
───絞る!!
「ぎ、ぐ……ィガぁ───」
あぐぐ……と、ミナが呻く。
は? な、なにしてんだよ! テンガ!
あ、ありゃ喘ぎ声じゃないぞ?
え? な、なんで?
なんでミナが首を絞められている!?
おい!!
「…………っ───」
「聞いてんだよ!」
影絵からもわかるくらい、ミナの体が痙攣している。
……くっ!
いくらなんでも、やりすぎだろう!?
───ミナに思うところがないわけじゃないが……。
少なくとも、死んで欲しいわけじゃない!
「テンガ!」
思わず叫ぶクラムに、
「テメェはすっこんでろ!」
ビシっ! と天幕を突き破って何か細いものが飛び出してきた。
「ガフぅ!」
肩口に刺さったそれはオードブル用の、小さな楊枝だ。
それでも、肩がはじけ飛ぶんじゃないかと思ったほどの威力。
実際、動けないほど強かに頭を打ち、あお向けにぶっ倒れる。
「ギィ………ッ───ィ───」
ミナの呼吸は途切れる───。
そのまも、肺から酸素は届かず、ミナの脳が……意識が───………落ちる。
「かは………………」
そして、糸の切れた人形のように、華奢な体がブラン……と、
「ミ……ミナぁぁ!!」
動かなくなったミナの影。
それを片手で釣り上げているテンガ。
後悔も、罪悪感も微塵も感じさせない声で───、
「あーあー……。しょんべんまで漏らしやがって、キッタねぇ……」
彼女に慮ることもなく、まるでゴミのようにドサリと───、
「ゲホゲホゲホゲホ……! オェェェ……」
あ……!
み、
「ミナ! ミナぁ!」
咳き込むミナを見て、生きていた事に安堵し、声をかける。
駆け寄りたくて、クラムはグググと起き上がろうとするも、体が言うことを───、
「すっこんでろっ、つってんだろが!」
一喝されたとて、止めるものか。
うぐおぉぉおぉ……!
今いくぞ、ミナぁ!!
「──聞き分けねぇと……こいつ殺すぞ?」
楊枝が突き破った天幕の隙間から、ミナの土気色になった顔を突きつけクラムを黙らせる。
ぐ───!
「ち……気分悪ぃぜ」
「ゴホゴホ……!」
せき込むミナに苛立ったのか、
「大げさなんだよ! ちょっと落としただけだろうが、あぁ!!」
「ひぃ!……ち、違うの。その、き、気持ちよくて──」
「はぁぁ?」
お、おいおい……!
「そ、その首を絞められて、ボーっとしちゃって……♡」
「は? あー……──ほほー。ミナぁぁ、お前Mの気があるのか? はは、こりゃいい。新しいプレイができそうだ」
途端に上機嫌になるテンガ。
そして、
「うふふ…………た、楽しみだわぁ」
そう言ってしな垂れかかるミナ。だがその顔は青ざめている。
明らかに無理をしているのがわかった。
隙間から見える細い体の線と、少女と見間違えんばかりの小さなそれは、白く美しく眩しいが───その顔は恐怖に濁っていた。
しかし、
その中にも確かに愉悦の表情もある───。
なんなんだ。
俺の……───俺の知る3人はどうなってしまったんだ!?
「でー……。もっかいだけ聞くぜ? なんで今日はそんな積極的だったんだ?」
テンガはしつこい。
いつもいつも、自分が満足するまでネチっこく女の体を貪ることからもわかるが、こいつはこういう性格なんだ。
わざわざ、囚人大隊を編成させてまで、すでに獄中にいる「恨みの根源」を断とうとするほどに、しつこく、ジメジメとネチネチとしている。
だからこそ、クラムの顔も覚えていたのだろう。
それで、こんな嫌がらせであって、かつ───その延長上にある自分の快楽へとつなげる手段を思いつく。
なるほど……屑だ。
正真正銘、人間の屑だ。
だが、そこじゃない。
クラムが気に病むのは、そこじゃないんだ───。
そう『勇者テンガ』は、紛うことなく屑だ。
それはいい。
それよりも、なぜ?
なぜなんだ?
あんな屑におちるような家族じゃなかったはず!!
なのに……なぜ、
なぜだ!
なぜ、シャラもネリスもミナもこんな奴に体を許す!?
なぜ俺の知る3人は───絶対にこんな奴に靡くはずがないというのに!!
───金や、地位や、名誉……!
そんなものに釣られるような人達じゃなかったよな?
なぁ……。
なぁ……?
なぁ!?
「えっと───その、」
ミナは背後から緩く首を絞められつつ、おずおずといった様子で答える。
「んー……早く言えよ」
「き、今日、リズを見たの───」
え?
「んんー? りず……リズぅぅ? リズリズリズ──……あーーーー! あの小さいガキか!……ま、お前よりデカいけどな」
ひゃははは、とせせら笑うテンガに、
「ちょっとぉぉ……! テンガは小さいのも好きなんでしょ?」
「おーおー、いうねぇ……お前ら3人は、いろいろ楽しめて最高だけどよ」
テンガは、何か思い出すように、
「あーリズか……。確かいい感じに熟れてきてたなー」
な!
こ……コイツ!
「あの子がいいの?──残念だけど、」
「んー? まぁ、そろそろってね──」
「───とっくに売ったわよ」
……は?
「はぁぁ? おいおいおい、確か、お前の子だろ? マジか?」
テンガをしてさすがに意外だったようで、マジマジとミナの顔を覗き込む。
途端に媚びる女の目で──
「だってー……。あの子いつまでたってもテンガに股を開こうとしないんですもの、それに、」
「おいおい……」
「あの子がいたら、テンガ。───私を捨てちゃわない?」
「………ぶはははは! ひぃーひっひっひっ! そ、それが母親の言うことかよ、ぐひゃはははは!───あー親子丼もやって見たかったんだがな~」
下種が!!
……そのままリズのことは忘れろ!
「んー? でも今日見たってのは?」
「え、えぇ…………その、」
グググっとテンガが首に力を込めている。
まったく躊躇しないその動きに、この手の詰問は初めてではないだろうと思わせる。
「囚人と歩いていたわ……」
う……。
「囚人~~?? なんでだ?」
「さぁ? 売る直前まで、言うことを聞かないし、話もしないし、頭もおかしくなってたからね……。安く売られたんじゃない?」
囚人どもの玩具として───。
と、そう告げる。
……ミナ───。
一体、どこまでが本心だ?
「あー。そりゃ壊れちまうなー。さすがに囚人のものをなー。うん、それはないわ。ばっちいしな! ぎゃははは」
そう言えば、ハレムが臭かったなーと告げるテンガ。
……なるほど、
ハレムにいた頃から、リズの扱いは酷かったのだろう。
そして───。
ミナ……。
───ミナぁぁ……!
おまえ………!
「それにしても子供を売る母親かー。ギャハハハハ、お前それ最低の奴がすることじゃねぇの?」
その言葉に一瞬だけ、ミナの顔色が暗く落ちる。
そして、隙間から覗くクラムと目が合い──反らした。
「そんな薄情じゃないわよ。死ぬような目に合わないように、性奴隷専門で売ったから」
それを聞いて、なおも笑うテンガ。
「ギャハハハハハハハハッハハ!! お前イカレてるよ。……お? なんだよ? 詰られてヤル気になってんじゃねぇかぁ!」
そういってミナを組み敷くテンガ。
醜悪な、
醜悪な宴が展開される……!
隙間から除くミナは美しい。
とても美しいが……。
この世のなによりも醜悪なそれに映る。
子供を売る。
自分の保身のために?
股を開かない?
言うことを聞かない?
………それに、
───頭がおかしくなったから?
それは、
それは、
それはぁぁぁあああ!!
「───おまえらのせいだろうが!!!!」
がぁぁぁぁ、と叫ぶクラムの声を聴いて、ますます嬌声を上げるミナと嗤うテンガ。
なんでだ?
なんでだよ!?
誰も彼も、イカレてやがる───!
リズが、
リズが……おかしくなった?
………違う。
違う違う違う違う違う違う違う!
違うだろ!!!
「──おかしいのはオマエらだろうか!」
リズは───。
リズは正常だ。
正常だから、ああなってしまったんだ!!
ああああああああああああああああ!!!
くそったれ!!!
こんな世界……………滅びてしまえ!!!
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる