異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう

文字の大きさ
27 / 103

#27 それは罪なのだろうか

しおりを挟む
「どういうことですか?」

 思わず聞き返してしまった。

「あん人ら、夜通し歩いてきたからまずは寝かせてつってずっと寝てて、夕方くらいに起きたと思ったら二人が買い物に出かけて、すぐ帰ってきて、今から急に護衛の仕事が入ったとか言って慌てて出ていって。残っていた二人も急いで起きて、すぐに行っちゃって。まあ、あたしらからしたら何もしないで明日の朝までの分のお金もらったから大歓迎なんだけどさ」

 なるほど。
 ラビツたちが夜通し徒歩でってのは、夜営の危険性とストウ村からフォーリーまでの距離とを考えると十分に想定内だった。
 そしてたとえ今日の午前中に着いていたとしても、馬車定期便は朝出発だから乗るのは明日の朝だろうと予測していた。だからこそ今夜一晩かけてフォーリーの街を探し回る予定だったんだし。
 しかし夕方に出発か……確かここから馬車で一日の距離に砦が一つあるはず。今夜もほぼ満月みたいなものだし、夜通し移動もできなくはない。

「おいおい、ちょっと待ってくれよ。今の話よく聞かせてくれよ!」

 誰かが俺の横を通り抜け、部屋の中へ入ってきた。
 聞き覚えのある声。見覚えのある服装。獣種は羊種クヌムッ

「その護衛の話はよ、俺たちが受けてたはずだったんだぜ! それもこれも全部あの犬っころのせいで」

「エルーシ! ウェスさんの前だよ! 控えな!」

 エルーシ!
 やっぱりこいつか。マドハトや俺たちが投獄されるきっかけになった三人組の。

「あ、ウェスさん、お世話になってま……」

 振り返ったエルーシは俺と目が合った。

「なんでこいつがここに! なぁ、姉ちゃん聞いてくれよ。そもそも俺が牢にぶちこまれたのってコイ」
「エルーシッ!」

 エルーシは黙り、ウェスさんの方へお辞儀をする。
 両手を組んで片膝をつく、というラトウィヂ王国では一般的なお辞儀を。

「エルーシ。この方はディナ様のお客様だ。話は全部聞いてるよ。あんたのそのご無礼を許してくださった上に、牢から出してくださったのまでディナ様だよ」

「え、こい――この方がっすか」

「謝んな」

「きったねぇよ。田舎もんのフリして俺を騙したのかよ」

「エルーシ! お前、また旅人を騙そうとしたのかい!」

「俺はっ……」

 エルーシは俺を睨みつつも、俺に対してもお辞儀をする。

「すみませんでした」

 心のこもっていない謝罪のあと、エルーシはうつむき気味のまま立ち上がる。
 その目にはうっすら涙がにじんでいるのが見える。

「すみません、できの悪い弟がとんでもないことを」

 ロズさんも一度立ち上がり、お辞儀をすると、残りの四人もそれに倣ってお辞儀をする……が、他の四人は謝罪というよりも、二の腕で胸を寄せて強調しているだけのようにも見えてしまう。

「姉ちゃんたちまで謝ることねぇ。悪いのは俺だ」

「こういうのは連帯責任なんだ。そうやって皆で助け合って私らは生きてんだよ」

「違うだろ。姉ちゃんたちのは媚を売ってるだけだ」

「エルーシ!」

「俺は嫌なんだ! 媚を売るのも体を売るのも! 俺は奪われる側じゃなく奪う側になる! 媚びへつらう側じゃなく支配する側になるんだっ!」

 それだけ吐き捨てるように叫ぶと、エルーシは部屋を飛び出した。

「愚かよねぇ。体を売ることと支配されることとは別なのに。技術を磨けばいくらでも支配できるのに」

 ソファに座り直していたデイジさんがいやらしい手つきをさせながら鼻で笑う。

「ふーん。技術がお有りなのですねぇ。でもその割には今週、私の方がたくさん貢ぎ物いただいてますけどねぇ?」

 小柄なヴァイオレさんがあごのあたりで両手を握りしめながら可愛い声を出す。
 ホルトゥスではアニメ声ってなんて言うんだろ。そういう表現はリテルの記憶の中にはない。

「ま、まだ今週は終わってないわよ」

「あーら。お仕事のお休み明けはもう来週じゃないかしらぁ?」

「ヴァイオレ! デイジをからかうんじゃないよ……さて、リテルさん。身内が失礼したね。あんたの従者にも悪いことした。お詫びってわけじゃないけどね。好きな店で好きな子たちをはべらせて遊んでいっていいよ。私はここいら二十軒の元締めだ。もちろん他の店でも、私が一声かけりゃぁ」

「いえ。俺は修行中の身ですから。まだ先に学ぶべきことが」
「あーら! いろいろ学ばせてあげるわよ。どうすりゃ女が悦ぶかとかさぁ!」

 リーリイさんには完全にロックオンされている感。
 しかし今は本当にダメだ。パイアのことが脳裏をよぎって嫌な汗が背中をつたう。

「じゃあ、せめてものお詫びだ。こちらで馬車ゥラエダを手配させとくれ。ディナ様のとこのような立派なのじゃないけどさ、定期便と同じやつを。行き先は決まっているかい? 王都に向かうにせよアイシスに向かうにせよ、行き先を変えられるほうが便利だろ? 明日の朝までに用意しておくからさ」

「ありがとうございます」

 ロズさんたちへお辞儀をすると、五人に笑われる。

「リテルさん、娼婦相手にお辞儀する人なんて初めて見たよ」

「いえ、でも、お世話になったので……」

「あらあらー? お世話しちゃってもよくってー?」

 リーリイさんが立ち上がろうとしたのを、ラークスパさんが肘で押し戻す。
 笑い声に満ちたその部屋を、ウェスさんと共に後にした。

 さっきの個室駐車場まで戻る階段を上りながら、ウェスさんがぽつりとこぼす。

「明日の朝までここに居たほうが安全かもしれんぞ?」

「いえ、ディナ様には覚悟を問われていると考えておりますので」

「もしもリテル君が呪詛にかかっていなかったとしても、彼女らの誘いを断ったか?」

 ルブルムとケティの顔が浮かぶ。

「多分」

「男色なのか?」

「い、いえ、違います。俺が好きなのは女性です」

「ではなぜ?」

「俺は……俺自身は……そういうことは、好きな人とだけしたいと考えています」

 そう答えるとしてるは昨日の朝、ケティと事に及ぼうとしてたよな。
 ケティはリテルが好きで、リテルはケティが好きで――でもとしてるは? としてる自身は、ケティのことをそんなに好きなのか?

「好きじゃない相手とすることは、お前の中では罪なのか?」

 俺の考えを読んでいたみたいなウェスさんの言葉は不意打ちだったこともあり、心に深く突き刺さった。
 罪、なのかな。
 あのときは童貞がゆえの興奮で歯止めがきかなくて盛り上がってしまったのもあったけど、そもそもはリテルが回答を保留したら、ケティがエクシあんちゃんの想いに応えざるを得なくなる危険があったから。
 俺はリテルの想いを守ろうとしたんだ――でも呪詛がなかったら、立ち止まれただろうか。
 わからない――でも今だったら、きっと。としてるは我慢できる気がする。
 だってケティはリテルの想い人で、ケティもリテルのことが好きなんだから。
 としてるはリテルの体を借りているだけだから。
 魂はつながっているけれど、リテルはリテルで、としてる利照おれで、やっぱり別々だから。

「罪……という言い方はしたくないです。それだと罪だからしないみたいじゃないですか。違うんです。自分が相手にされたら嫌なことはしたくない……ああ、これもいけない言い方ですね。また、自分の考えを押し付ける所でした。将来、自分の好きな相手ができたときに取り返しがつくように、というのが近いですかね。こんな俺なんかと、付き合ってくれる人がいたとしたら、その人とたくさん話しあって、何が嫌なことなのか、何が嬉しいことなのか、ちゃんと向き合って二人で一緒に決めていきたいです……えっと、なんか話が変わっちゃいました。すみません。今は相手が居ない状態ですから、俺一人だけの気持ちで決めるのは……」

 パイアに抵抗していたときのことが脳裏を一瞬よぎる。

「怖い、です。心を許せない相手に、体を許すことが、怖い、です」

 俺は何を言っているんだろうか。
 答えになっているんだろうか。
 ウェスさんの沈黙が気になる。
 二人の足音だけが暗い階段に響く。
 長々と自分語りみたいなことしちゃったから、呆れられてしまっただろうか。
 ウェスさんが突然、立ち止まった――ああ、馬車ゥラエダのある場所まで戻ったのか。

「そうか」

 ウェスさんは灯り箱ランテルナを御者台近くに取り付けてから、御者台へとひらりと飛び乗る。

「リテル君、早く乗りたまえ」

 そう言ったときのウェスさんの口元は、少しだけ微笑んでいるように見えた。



 その後は特に会話もなくディナ先輩の屋敷へと戻ってきた。
 棘だらけの門をくぐるとき、戻ってきて良かったのかなと今更ながらに不安が増殖したが、出迎えてくれたディナ先輩とルブルムは二人とも笑顔でホッとした。
 ルブルムの笑った顔は可愛い。
 ディナ先輩も、笑うと本当に美少女だ。
 先輩とはいうけれど、俺やルブルムよりも年下なんじゃないかと感じるくらいに幼さを感じる顔立ち。

 夕食には白パンと、カボチャのポタージュ、それからゆで卵が出てきた。
 ウェスさんの手作りというが、贅沢なメニューであることを差し引いても、とても美味しい。
 そのウェスさんの獣種が蝙蝠種カマソッソッだと言うことも教えてもらった。

 食後、俺は二階の部屋へと案内された……地下牢じゃなく!
 待遇がここまで変わると逆に不安になるくらい。
 ルブルムの部屋とは階段を挟んで反対側だけど、こちらは書物がたくさんある書斎のような素敵な部屋だった。
 ベッドの類は見当たらないけれど、窓際にはすごい立派で大きな椅子があり、その前にあるシックで重厚な机には皿が置かれ、クッキーのようなものが幾つも乗っている。

「労いの気持ちをこめてな、焼き菓子を用意してみた。食後に一つどうかな?」

 なんか温泉旅館みたい。

「いただきます」

 一つつまんで口へ運ぼうとすると、甘い香りが鼻を刺激する。
 こんなことにまで反応してしまうなんて、甘い匂い自体もトラウマになってしまったのかもな。
 でもあれだけ嫌悪の嵐だったディナ先輩が、笑顔で勧めてくれたクッキーなんだよ。食べないわけにはいかないじゃないか。
 甘い香りと味を、俺は噛み砕いて飲み込んだ。

「味はどうかな?」

「はい……美味しいです」

 リテル的には焼き菓子を食べるのは人生で数えるほどしかない。
 ただ、匂いのせいでとしてるはちゃんと味わえていない。

「もっと食べるか」

 もう一枚いただこうと手を伸ばそうとしたが、何か変だ。
 思ったように動かない。

「は……」

 手にも、舌にも、全身にも、力が入らない。
 皮膚が鳥肌みたいにざわつく。

「やっぱり、お前、死ね」

 ディナ先輩は満面の笑みのままでそう言った。





● 主な登場者

有主ありす利照としてる/リテル
 猿種マンッ、十五歳。リテルの体と記憶、利照としてるの自意識と記憶とを持つ。魔術師見習い。
 呪詛に感染中の身で、呪詛の原因たるラビツ一行をルブルム、マドハトと共に追いかけている。

・ケティ
 リテルの幼馴染の女子。猿種マンッ、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
 リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。リテルが腰紐を失くしたのを目ざとく見つけた。

・ラビツ
 久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
 フォーリーではやはり娼館街を訪れていたっぽい。

・マドハト
 ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種アヌビスッの体を取り戻した。
 リテルに恩を感じついてきている。元の世界で飼っていたコーギーのハッタに似ている。街中で魔法を使い捕まった。

・ルブルム
 魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種マンッ
 槍を使った戦闘も得意で、知的好奇心も旺盛。リテルが悩みを聞いたことで笑うようになり、二人の距離もかなり縮まった。

・アルブム
 魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種ラタトスクッの兎亜種。
 外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。

・カエルレウム
 寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種マンッ
 ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。『解呪の呪詛』を作成中。

・ディナ
 カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌いっぽいが、感情にまかせて動いているわけではなさげ。
 カエルレウムより連絡を受けた直後から娼館街へラビツたちを探すよう依頼していた。

・ウェス
 ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種カマソッソッ
 リテルに対して貧民街シャンティ・オッピドゥムでの最低限の知識やマナーを教えてくれた。

・エルーシ
 リテルたちにちょっかいを出してきて投獄の原因を作った。羊種クヌムッ。娼館街の元締めロズは姉。
 猿種マンッ鼠種ラタトスクッの仲間がいる。奪われる側よりも奪う側になりたい。

・ロズ
 羊種クヌムッの綺麗なお姉さん。娼館街の元締め。エルーシの姉。

・リーリイ
 牛種モレクッの色っぽいお姉さん。リテルは好みのタイプっぽい。

・デイジ
 猿種マンッの色っぽいお姉さん。ラビツたちを客として引き受けたが、何もしていないと言い出した。

・ヴァイオレ
 鼠種ラタトスクッのリス亜種の色っぽい少女。客からのプレゼントはデイジよりも多い。

・ラークスパ
 猪種ヴァラーハッの色っぽい少女。けだるそう。



■ はみ出しコラム【遊具】
 ホルトゥスはラトウィヂ王国で遊ばれている遊具について説明する。

・アルマ
 ラトウィヂ王国ではとても流行っているカード遊び。
 三種類の絵柄にそれぞれミンから十《ラスタ》(十進数だと十二)までの数字が描かれた三十枚(十進数だと三十六枚)で一組のカード。
 絵柄は棍棒と盾と矢。
  棍棒は盾に勝ち、矢 に負ける。
  矢は棍棒に勝ち、盾 に負ける。
  盾は矢 に勝ち、棍棒に負ける。
 開始時の手札は六枚で、基本的には一対一で遊ぶ。
 まず、同時に手札を一枚出す。
 絵柄で勝敗が決まり、同じ絵柄の場合だけ数字が多いほうが勝ち。
 ただし同じ絵柄であれば追加で何枚でも後出ししてよく、合計して十(十進数だと十二)だと「挟み撃ち」といって絵柄を無視して勝つことができる。
 もちろん相手も「挟み撃ち」は可能だが、両者「挟み撃ち」の場合、枚数が多い方が勝ち。枚数が同じ場合は、最も大きな数字のある方が勝ち。最も大きな数字も一緒の場合、改めて絵柄で勝敗が決まる。
 勝った場合、負かした相手のカードを「戦利品」として得られる。
 手札がない場合は無条件で負け。その場合、勝者は出したカードの数字に等しい枚数、山札から「戦利品」として得られる。
 両方とも手札がなくなったら終了で、「戦利品」の枚数が最終的な勝敗となる。

※ 指アルマ
 絵柄のみを指で表現し、ジャンケンのようにして勝敗を決めるもの。
  棍棒:握り拳。ジャンケンのグーと同じ。
  盾 :手のひら。ジャンケンのパーと同じ。
  矢 :指を一本だけ出してあとは握り込む。人差し指だけ出すのが一般的。
※ 庶民の子供たちの間では「アルマ」とはこの「指アルマ」のことを指し、本来の「アルマ」は「本物アルマ」と呼ばれることが多い。

・カラハ
 ゲーム盤は、六つのくぼみがある二列ある左右に、縦長のくぼみが一つずつある「カラハ板」と呼ばれるもの。
  ∩○○○○○○∩
  ∪○○○○○○∪
 このカラハ板以外に、主に小石を多数用意する。
 六つずつあるくぼみはフォラメン、縦長のくぼみは貯蔵庫レーポノ、小石をシーメンと呼ぶ。
 これは一対一で遊ぶゲームであり、ゲームを始める前に、各フォラメンシーメンを三つずつ入れる。
 手前の一列六つのフォラメンが自分の陣地であり、さらに左側の貯蔵庫レーポノも自分のものである。
 自分の手番が来たら、自陣のフォラメンから一つを選び、そこにあるシーメンを全て手に持つ。
 手に持ったシーメンは、そのフォラメンから「右手から左手の方向へ」いわゆる時計回りに一つずつ、フォラメンへ入れてゆく。この行為を種まきセミナンと呼ぶ。
 種まきセミナンは自陣にのみ行い、自陣のフォラメンに全て種まきセミナンしても余ったシーメンは相手陣地へはまかず、全て貯蔵庫レーポノへとまく。
 このとき、貯蔵庫レーポノにまいたシーメンが手の中の最後の一つであった場合、再び自陣の好きな穴からシーメンを全て取り、種まきセミナンを行える。
 もしも種まきセミナンの最後の一つが、自分の陣地の空きフォラメンで終わった場合、その最後にまいたシーメンと、その向かいにある相手の穴のシーメンすべてを自分の貯蔵庫レーポノへと移動できる。
 この手順を交互に繰り返し、どちらかの列のフォラメンがすべて空になった時点でゲームは終了する。
 ゲームの勝敗としては、自陣のフォラメンを先にすべて空にしたほうが勝ちの場合と、貯蔵庫レーポノに蓄えたシーメンの数で競う場合があり、後者の場合、先に空にした方が相手陣地に残るシーメンを全て手に入れられるルールを用いる場合もある。
※ シーメン精子シーメンは同じ単語であるため、性交の隠語として「カラハ」が用いられることもある。

・すごろく
 木製、石製、骨や角製、ガラス製などの各種サイコロが存在し、それを用いたすごろくもよく遊ばれている。
 サイコロについては、六面体が一般的。
 すごろくの盤面については、様々なものが製品版として富裕層向けに販売されているが、庶民に限らず自作する者も少なくない。

・チェス
 現在、地球で普及しているチェスとほぼ同じデザインのものが富裕層向けに販売されており、庶民が遊ぶことはない。
 駒のデザインや名前までほぼ同じであるため、転生者が持ち込んだと思われる。
 ただし、ビショップの駒だけは「ウィザード」という呼び名であり、手番を一回消費すると、ウィザードに隣接する自分の駒を一つ、一段回だけ昇格させることができる。ただし、この昇格が行えるのは昇格後の駒が盤上から取り除かれている場合のみであり、ゲーム中に昇格を使える回数はゲーム前に予め決められている場合が多い。
 昇格は右記の通り:ポーン→ルーク→ナイト→クイーン

・リバーシ
 現在、地球で普及しているリバーシとほぼ同じデザインのものが富裕層向けに販売されているが、板を切り抜いて片側に色を塗っただけのモノが、庶民の間ではこっそりと作られ、遊ばれている。
 ちなみに、リバーシの盤面の裏側には、地球で普及しているナイン・メンズ・モリスの盤面が用意されている場合が少なくない。

・バックギャモン
 現在、地球で普及しているバックギャモンとほぼ同じデザインのものが富裕層向けに販売されているが、板を切り抜いて色を塗っただけのモノが、庶民の間ではこっそりと作られ、遊ばれている。

・カード
 現在、地球で普及しているトランプとほぼ同じデザインのものが富裕層向けに販売されている。
 一番良く遊ばれている「ポーカー」という名前で呼ばれることもある。庶民においてはアルマが一般流通しているため、カードの方で遊ぶ者は少ない。
 ちなみに、数字札はもちろん一から十まで(十進数換算で)十二枚ある。それ以外に、ジャック、クイーン、キングがあり、スートもスペード、ハート、ダイヤ、クラブと地球同様で、基本カードは(十進数換算で)六十枚ある。

・キタヤマ
 現在、地球で普及しているダイヤモンドゲームとほぼ同じデザインのものが富裕層向けに販売されている。
 販売されてからまだそれほど経っておらず知名度はまだ高くないが、とても人気が出ている。
 チェス、リバーシ、バックギャモン、カードは地球と同じ呼称で呼ばれているが、このゲームに限っては地球とは異なる名称で呼ばれている。

・魔法対決
 三角形の平べったい駒の裏に以下の種類のいずれかが書かれており、自分の陣地にいったん配置した後、交互に一つの駒を隣接する一マスへ動かして遊ぶ。
 自分の駒があるマスへは移動することができないが、隣接する自分の駒同士であれば位置の入れ替えが可能。
 相手の駒があるマスに移動した場合は「判定」が発生する。駒自身に設定された強さにより「判定」の勝敗が決まる。
 システムとしては地球の軍人将棋に近いが、勝利条件である「魔術師または使い魔が宝物庫へたどり着く」には、その前に「鍵」を入手しなければならない。また、魔術師が死亡した場合、その時点で魔術師を失った側が負けとなる。
 通常はプレイヤー二人と、どちらの駒が強いかの判定役一人の計三人で遊ぶが、判定役が居ない場合、「判定」の瞬間だけ互いに駒を見せ合うルールが一般的。

●ゲーム盤

 □ 宝物庫 □
 □□□□□□
 □□□□□□
 □□□□□□
  □  □  ←橋
 □□□□□□
 □□□□□□
 □□□□□□
 □ 宝物庫 □

●駒
 最初の配置時、また位置の入れ替えにおいて、橋マスや橋に隣接するマスへ動けない駒を置いてはいけない。
 同じ駒同士で「判定」となった場合は相打ち。

 魔術師(一個):毒、傭兵にのみ負ける。爆発罠、魔術師とは相打ち。
 虹魔石イーリスゴーレム(一個):魔術師と鍵の番人にのみ負ける。爆発罠とは相打ち。
 紅魔石ポイニクスゴーレム(一個):魔術師と鍵の番人、自分よりも上位のゴーレムにのみ負ける。爆発罠とは相打ち。
 白魔石レウコンゴーレム(一個):魔術師と鍵の番人、自分よりも上位のゴーレムにのみ負ける。爆発罠とは相打ち。
 紫魔石モヴゴーレム(二個):魔術師と鍵の番人、自分よりも上位のゴーレムにのみ負ける。爆発罠とは相打ち。
 濁り魔石メイグマゴーレム(二個):魔術師と鍵の番人、自分よりも上位のゴーレム、使い魔に負ける。爆発罠とは相打ち。
 使い魔(二個):毒薬、鍵の番人、濁り魔石メイグマゴーレムにだけ勝てる。爆発罠とは相打ち。
 魔法代償プレチウム切れ(二個):動けない。ゴーレムにのみ勝てる。
 爆発罠(二個):動けない。「判定」相手もろとも盤上より取り除かれる。
 毒薬(二個):動けない。魔術師にのみ勝てる。
 傭兵(一個):魔術師にのみ勝てる。動けるが、宝物庫へは入れない。
 鍵の番人(一個):自陣からは出られない。ゴーレムには全勝。魔術師か使い魔に負けると「鍵」となる。

 ローカルルールとして、「すり抜け」というルールがある。「すり抜け」を用いると、自陣の宝物庫に隣接する任意の一マスからまた別の一マスへ移動が可能となる。これは、通常の駒を一つ動かす代わりに行うことができる。「すり抜け」が可能なのは、毒薬、爆発罠、傭兵以外。「すり抜け」を許可しないゲームにおいては、宝物庫への立ち入りは禁止される。

※ こちらもキタヤマと同じ販売者が最近になって販売し始めたもの。

・ヌームム・シアクターレ
 ヌームムとは鋳造貨のことで、ヌームム・シアクターレとはいわゆるコイン投げのこと。
 銅貨エクス銀貨スアー金貨ミールム大金貨プリームムなど、使用するのはどの鋳造貨でもよい。
 ラトウィヂ王国の鋳造貨ヌームムにおいては、表には王の顔、裏には王の獣種を表す動物の図柄が刻まれている。王が変わった場合、先代と同じ獣種であっても図柄は変わる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

処理中です...