お題ショートショート【一話完結短編集】

だんぞう

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お題【何処かの世界の天気予報】

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 朝の時計代わりにつけているテレビを二度見した。
 見たことのない地図だったから。
 慌ててスマホで撮影したが、そのときは急いでいたから調べたのは帰宅してからだった。
 画像検索すると中東のとある自治区の地図だと判明した。
 地名には聞き覚えがあった。夜のニュースで爆撃について言及していたから。

 翌朝も見知らぬ地図。
 これも撮影だけして急いで出勤。詳しく調べることができたのは帰宅後の深夜。
 場所はロシアとウクライナの国境付近。
 そのときは天気予報ではなく国際情勢のニュースとして出された地図なのかなと特に深く考えなかった――画面内の赤い傘マークが気にはなっていたのに。

 翌朝、今度もまたよくわからない地図。
 それもかなり細かい。今までの二つに比べて。
 一応撮影して、昼休みに調べてみた。
 地図の中にある単語が英語っぽかったので検索してみると、どうやらアリゾナ州にある高校っぽい。
 聞いたことのない名前。誰か有名人の母校とかなのかな?
 検索しても何も出てこないまま昼休みはそこで終了。
 帰宅して念のためにもう一度検索したら、海外のニュース速報がひっかかった。
 今日、そこで銃の乱射事件があったと。
 時間を詳しく調べて時差を考慮してみたが、あの地図を撮影した時間よりも、昼休みよりも確実に後だった。
 嫌な考えが脳裏をよぎる。
 本当に「予報」なんじゃないかと。
 そして同時に胸が締め付けられる。
 もしかしたら自分が何かアクションを起こしていたら、変えられたかもしれないんじゃないかと。特に乱射事件のなんて。
 いや、なんとか調べて連絡をつけられたところで信じてもらえるだろうか。
 英語だって苦手だし。
 鬱々とした気持ちになってくる。
 その日は疲れていたし、それ以上深く考えるのをやめて寝た。

 いつもより早く起きた。
 あんまり眠れなかったのもあるが、もしも予報の内容によっては自分が誰かを助けられるんじゃないかと思ったから。
 今朝もテレビをつけた。
 いつものチャンネル。ただし、今朝はいつもと違って無音をやめた。
「では次の予報です」
 画面いっぱいに地図が表示される。今回のは地名が日本語!
「局地的に血の雨が降るでしょう」
 それ以外の部分は聞こえなかった。近所からの悲鳴で。
 一瞬、頭が真っ白になりかける。地図が、自分の家があるこのあたりだと気づいてしまったから。
 外の悲鳴とここ数日の地図と様々な事件との関連が頭の中でぐるぐるする。
「助けてっ!」
 我に返れたのは、扉を叩く音のおかげ。
 何人かの子どもの、悲痛な声が聞こえる。
 昨晩の後悔を思い出す。
 それにここは日本だ。銃ってことはないだろう。
 急いで家の中に避難させて――スマホで110をかけながら玄関へと走る。
 ドアを開け、目の前の――そこでスマホがどこかへ行った。
 何がどうなったのか一瞬わからなかったが、たぶん殴られた。
 抵抗しようにも力が入らない。痛い。しかも咬まれている。多分、これ、熊?
 玄関前の地面に引き倒され、虚ろな目の小学生くらいの子どもと目が合う。
 駆除される熊は可哀相って思ったことあったな――と思い出したところで、意識を失った。



<終>
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