異世界最強のセンセイ~王女の妹と令嬢達の先生になったんだが、教え子たちが可愛すぎて授業どころじゃない~

古澄典雪

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第一章

第二十五話 バレていないと思っていたのは俺だけだったのだろうか

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 今佳那に会ったら多分服が一回洗濯されていることがばれてしまうので――今日の朝も同じようなことをした気がするのだが――こそこそと城内を移動する。

 ……バレたから大変なことになる訳でもない(と思う)んだけどさ……。

 この城の中で人がいない場所と言ったらまあ――図書室かその辺だろうと思い、図書室へ向かって歩き始める。

 ……『最古ノ魔術師』か。

 あの場では特に手こずる事もなく戦闘を進めることが出来たが、俺の実力がアイツに知られてしまった以上、今度相対するときには今回ほど簡単に事を運ぶことはできないに決まっている。

「……見方によっては、俺に一番近い存在だとも思えるんだけどな……」

「誰がですか?」

「そりゃあ最……って……」

「あら、今回はすぐ気づきましたね」

「そりゃあな……そこまで集中していたわけじゃないし」

 俺の特に意味のない思考を打ち切ったのは、朝見かけた振りの時葉だった。手にはノートを持っていて……歩いている方向的に、図書室へ向かっているようだった。

「時葉はこれから勉強?」

「はい。彩希と図書室で勉強する約束をしていて。……先生は?」

「ん?俺も図書室へ行こうと思ってたんだけど……二人の邪魔をするのも悪いから、部屋に戻ろうか……って…………思って………たんだけど俺も行くよ。うん」

 強風に弄ばれる旗のように俺が意見をひらひらと翻したのは『部屋に戻ろうか……』って言った時点で時葉が頬を僅かに膨らませる仕草を見せたからだった。

 ……その表情は卑怯だと思うんだけど。こんなに強制力を持った表情はちょっと今までに見たことがない……。

 人生経験がまた一つ。

「そうですか。それはよかったです……じゃあ、行きましょうか」

「……はーい」

 ○
 図書室へと赴くと、既に彩希は到着しており、ノートと教科書に向かい合っていた。

 ……にしても、今日もがらがらだなこの図書室。別に利益をあげなくてもいいから、人が少なかったからと言って困る訳でもないのだが……。

 まあこのがらがら感が良いという意見もあるけどね。俺の中で。

「彩希、お待たせ」

「時葉ちゃん……と、兄様?」

「ああ。ちょっと調べ物があったから……」

 あと時葉にお願いされたから……。

「監視役がいた方が集中しやすいでしょう?……ね、先生」

「……もしかしなくても、俺が監視される方?」

「ええ。今日もどこかに遊びに行かれたみたいですね……」

「……え、えっと」

「それ、私も聞きたかったんです。兄様、どちらへ行かれているんですか?」

 はい……。

 佳那だけじゃなくて皆にバレてました。

 ……俺の変装、そんなに分かりやすいかな?
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