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第1章 修学旅行編
第22話 ただいま
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「だはぁぁ……疲れだぁぁ……」
疲労困憊。
玄関を開けるなりドデカい息を漏らした俺は、力尽きるように玄関先に座り込んだ。すると間もなくして、家の中からパタパタという足音が近づいてくる。
「待ってましたー!」
超が付くほどのハイテンションで登場したのは陽葵。
その天使のような、愛らしい笑みを目の当たりにした俺は。
(あ、やばい。可愛すぎてやばい)
あまりの疲れと可愛さからうっかり失神しそうになった。約4日ぶりの陽葵、マジ尊すぎて軽く100回は死ねる。
「あらー、随分と疲れていらっしゃいますなー」
「そりゃあ疲れるだろうよ。クソほど歩いたし」
「それもそっか! でっ! 陽葵のお土産は!?」
4日ぶりに兄が家に帰ってきたというのに。
おかえりよりも前にその言葉が出るんですね。
「はぁ……まあいいけどさ」
疲れすぎて突っ込む気力も起きない。
俺は言われるがまま、土産袋に手を入れて。
「ほれ、一番可愛いやつにしてやったぞ」
自信満々にマ〇クのぬいぐるみを渡した。
「お兄ちゃん陽葵の為に奮発しちゃいました」
ということで、ありがとうは?
みたいなノリで陽葵を見やれば。
「えっ、マ○ク……?」
ぬいぐるみを受け取るなり、陽葵は顔を顰めた。
この感じからして……もしかしてマ〇ク嫌だった!?
「もぉー、マ○クとか悠にぃマジでセンスなーい」
やがて陽葵はがっかり顔でそう言った。
「どうせならス○ィッチかダッ○ィーがよかったー」
追加で出たのは、お土産を渡した時に言われたら傷つく言葉ランキング堂々の第一位である『〇〇がよかった』。
これには俺も泣くを超えていっそ死にたい気分です。
「だ、だ、だって陽葵、ぬいぐるみってしか言わなかったじゃん!」
「そこは兄妹だから察して欲しかったというか。夢の国とは程遠い場所に住んでる悠にぃが、何のぬいぐるみ買ってくるか気になったっていうか」
何だよそれ……。
そんなしょうもない理由で俺ディスられてんの……?
「とにかく、マ○クはないわー」
陽葵の言葉が容赦無く俺の心に突き刺さる。
葉月には好評だったから大丈夫だと思ったのに!
「お前のワケのわからない好奇心のために、良心と推しキャラ否定されたお兄ちゃんの身にもなってみろ。悲しすぎて一曲歌えちゃいそうだよ、マ○クだけに」
「うわー、おもしろーい」
渾身のボケを棒読みで流され、いよいよ死にたい俺である。
「まあでも、悠にぃ無事に帰ってきてくれたし、それで良しとしますか!」
「陽葵……!?」
辛辣から一変。唐突に向けられたその笑顔は、闇に染まった俺の心を瞬く間に浄化した。眩しさと愛らしさを兼ね備えた彼女こそが、世界一のマイエンジェル。
「陽葵みたいな可愛くて優しい子が妹で、お兄ちゃん本当幸せもんだよ!」
あまりに神々しすぎて直視できない。
涙だらだら、鼻水ずばずばで俺は妹への愛を告げた。
ああ、神よ。
こんな素敵な子と兄妹にしてくれてありがとう。
俺は一生かけて、この天使を愛し続けることを誓——
「幸せならいつまでもそんなところ座ってないでお風呂掃除よろしくー」
「……」
下げて、上げて、そして下げるそのスタイル。
我が妹ながらなんて手厳しいんだ。
「あと、シャンプー切れてるから補充しておいてー」
ぬいぐるみを片手に去ってしまう。
もしかして俺、お土産渡したから用済み?
聞きたかったあの言葉がまだなんですけど?
「はぁ……」
思わず大きなため息がこぼれた。
こんなに命削って頑張ったのに。
お土産ディスられるし、おかえりの一言もないし。
(お兄ちゃんメンタルブレイク寸前だよ……?)
なんて、独り病み散らかしていると。
リビング手前で陽葵は立ち止まり、振り返った。
「ん、どうした?」
俺が聞けば、やがて陽葵の真顔が崩れる。
代わりに優しくて愛らしい笑みを浮かべた。
「おかえり、悠にぃ」
そして陽葵が口にしたのは、俺が最も欲していた言葉だった。それを耳にしたその瞬間、俺の胸の内に様々な感情が溢れ、満ちる。
無事我が家に帰って来たという安心感。
そして修学旅行を終えたという達成感。
ようやく、ようやく今実感した。
俺は今、一つのイベントを乗り越えてここにいる。
自分の力で、努力で、あの4日間を乗り切った。
そう思うと――
「ああ、ただいま」
今までとは少し違う自分になれた、そんな気がした。
疲労困憊。
玄関を開けるなりドデカい息を漏らした俺は、力尽きるように玄関先に座り込んだ。すると間もなくして、家の中からパタパタという足音が近づいてくる。
「待ってましたー!」
超が付くほどのハイテンションで登場したのは陽葵。
その天使のような、愛らしい笑みを目の当たりにした俺は。
(あ、やばい。可愛すぎてやばい)
あまりの疲れと可愛さからうっかり失神しそうになった。約4日ぶりの陽葵、マジ尊すぎて軽く100回は死ねる。
「あらー、随分と疲れていらっしゃいますなー」
「そりゃあ疲れるだろうよ。クソほど歩いたし」
「それもそっか! でっ! 陽葵のお土産は!?」
4日ぶりに兄が家に帰ってきたというのに。
おかえりよりも前にその言葉が出るんですね。
「はぁ……まあいいけどさ」
疲れすぎて突っ込む気力も起きない。
俺は言われるがまま、土産袋に手を入れて。
「ほれ、一番可愛いやつにしてやったぞ」
自信満々にマ〇クのぬいぐるみを渡した。
「お兄ちゃん陽葵の為に奮発しちゃいました」
ということで、ありがとうは?
みたいなノリで陽葵を見やれば。
「えっ、マ○ク……?」
ぬいぐるみを受け取るなり、陽葵は顔を顰めた。
この感じからして……もしかしてマ〇ク嫌だった!?
「もぉー、マ○クとか悠にぃマジでセンスなーい」
やがて陽葵はがっかり顔でそう言った。
「どうせならス○ィッチかダッ○ィーがよかったー」
追加で出たのは、お土産を渡した時に言われたら傷つく言葉ランキング堂々の第一位である『〇〇がよかった』。
これには俺も泣くを超えていっそ死にたい気分です。
「だ、だ、だって陽葵、ぬいぐるみってしか言わなかったじゃん!」
「そこは兄妹だから察して欲しかったというか。夢の国とは程遠い場所に住んでる悠にぃが、何のぬいぐるみ買ってくるか気になったっていうか」
何だよそれ……。
そんなしょうもない理由で俺ディスられてんの……?
「とにかく、マ○クはないわー」
陽葵の言葉が容赦無く俺の心に突き刺さる。
葉月には好評だったから大丈夫だと思ったのに!
「お前のワケのわからない好奇心のために、良心と推しキャラ否定されたお兄ちゃんの身にもなってみろ。悲しすぎて一曲歌えちゃいそうだよ、マ○クだけに」
「うわー、おもしろーい」
渾身のボケを棒読みで流され、いよいよ死にたい俺である。
「まあでも、悠にぃ無事に帰ってきてくれたし、それで良しとしますか!」
「陽葵……!?」
辛辣から一変。唐突に向けられたその笑顔は、闇に染まった俺の心を瞬く間に浄化した。眩しさと愛らしさを兼ね備えた彼女こそが、世界一のマイエンジェル。
「陽葵みたいな可愛くて優しい子が妹で、お兄ちゃん本当幸せもんだよ!」
あまりに神々しすぎて直視できない。
涙だらだら、鼻水ずばずばで俺は妹への愛を告げた。
ああ、神よ。
こんな素敵な子と兄妹にしてくれてありがとう。
俺は一生かけて、この天使を愛し続けることを誓——
「幸せならいつまでもそんなところ座ってないでお風呂掃除よろしくー」
「……」
下げて、上げて、そして下げるそのスタイル。
我が妹ながらなんて手厳しいんだ。
「あと、シャンプー切れてるから補充しておいてー」
ぬいぐるみを片手に去ってしまう。
もしかして俺、お土産渡したから用済み?
聞きたかったあの言葉がまだなんですけど?
「はぁ……」
思わず大きなため息がこぼれた。
こんなに命削って頑張ったのに。
お土産ディスられるし、おかえりの一言もないし。
(お兄ちゃんメンタルブレイク寸前だよ……?)
なんて、独り病み散らかしていると。
リビング手前で陽葵は立ち止まり、振り返った。
「ん、どうした?」
俺が聞けば、やがて陽葵の真顔が崩れる。
代わりに優しくて愛らしい笑みを浮かべた。
「おかえり、悠にぃ」
そして陽葵が口にしたのは、俺が最も欲していた言葉だった。それを耳にしたその瞬間、俺の胸の内に様々な感情が溢れ、満ちる。
無事我が家に帰って来たという安心感。
そして修学旅行を終えたという達成感。
ようやく、ようやく今実感した。
俺は今、一つのイベントを乗り越えてここにいる。
自分の力で、努力で、あの4日間を乗り切った。
そう思うと――
「ああ、ただいま」
今までとは少し違う自分になれた、そんな気がした。
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