草稿集

藤堂Máquina

文字の大きさ
上 下
38 / 78

食欲

しおりを挟む
どこからが罪なのだろうか。
悪いという自覚はない。


誰にも。

それでも何も喉を通らないのだ。 

何かを口へ運ぶだけの時間だ。

その時間だけ酸素を吸うべきなのだ。

本能が話しかける。

食べなくても死ぬことはない。

食べるべきではない。

きっと食べなくても簡単には死なないだろう。

利き手のナイフが左手に刺さる。

それまでの記憶はない。

ベッドで倒れていたはずだ。

外はぼんやり明るい。
しおりを挟む

処理中です...