草稿集

藤堂Máquina

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午後8時の憂鬱

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 酒宴だ。

 大した集まりでもない。

 極々面白みのないだけの面々で酒を酌み交わす。

 それは幼い時代を共に過ごした旧友と呼べばいいのだろうか。

 とにかくなんの生産性も持たない人間の端くれの集まりだ。

 奴らは口を開けばすぐ思い出話に浸りたがる。

 僕はさ、せっかく酒を飲みに来たのだからそんな話はしたくないのだ。

 そんなものは歳食ってからいくらでもできるだろうよ。
 

 思っても口にしないよ。

 だってそんなつまらないことに口を挟んで白けさせるほど無能になった覚えもないだからさ。
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