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3.海辺の王国ヴェルドニア

3.アレが無い!

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釣るぜ!今日こそ釣るぜ!たとえ卑怯であってもな!

「……じゃあ、展開するね」

アーノは指をパチンと鳴らす

「ほいっと」

『ポチャン………クイ……クイ………グイ、グンッ!』

『バシャ!』

「………」
「………」

釣れた

「魚だよな」

「うん」

……虚しい、負けた気分だ

「釣れたんだよな…なんで泣いている?」

ナーナンさんがそばに来た

「潮風が……目にしみるんだ……」

「?」

首を傾げるナーナンさん

「はぁー、まあいい満足か?」

「?」

えっと…どうゆうこと?

「満足したならこの村を出て王都へ行くぞ」

「あー」

どうしようか、とっとと出ていくか?
いや、釣ったんだから調理ぐらいはして、美味しくいただくか?

「せっかくの釣った魚だ美味しく焼いて醤油で美味しく…………」

俺はある部分で引っかかりすぐさまアイテムボックス内であるものを探す!

「ないないないないないないないないない」

「ーっ!?」

「どったのプレイヤーさん?」

おおおおぉぉぉぉぉ、なあああぁぁぁぁぁいいぃぃぃぃぃいいいいいい!

「ナーナンさん!」

「なっなんだ?」

「調味料、持ってるか?」

「ちょっ調味料?」

「スパイスの事だよ~♪」

「ああ、それならば」

ナーナンさんがアイテムポーチから調味もといスパイスを出してくれるが……………ないやっぱり無い!

「ナーナンさん、醤油、魚醤、醤(ジャン)どれか1つでもないか!?」

「聞いたことのないスパイスだな…」

「なん……だと」

膝から力が抜けて崩れ落ちる。俺は焼き魚は醤油って決まってんだ塩焼きや西京焼きその他もたしかに美味しいが…醤油が俺は大好きだし、今まさに醤油の口になっている。刺し身にも必要だし…駄目だ醤油がどうしても欲しい!

「おっおい!?」

ナーナンさんが心配して駆け寄ってくれる

「ナーナンさん、ここにも教会はあるのか!」

「あっああ、あるぞ村でも教会ぐらい」

イーリン、ナビよろしく!

『イッイエス、マイマスター』

案内の道筋が目視出来るようになると俺は走る!

「待っていろ、調味りょおおおおおおおおお」

全力ダッシュだ!

「プレイヤーさんにとっても大事な事なんだよ、じゃあ私もちょっと行ってくるね~」

「あっああ」


………………


走る走る走る走る走る、ただひたすらに走る!
ナビに従って最短の道を教会まで全力で

「おお、旅のも…」
「邪魔だどけっ!」

「はいっ!」

まったく変なタイミングで出てくるな!

「見えた!」

教会が見えたが同時に入り口にアーノがいて扉を開けてくれる

「どうぞ~」

「サンキュー!」

入ると同時に祈りのポーズを取る両膝立ちで片手の拳をもう片手で包み込み胸元に持ってくるあのポーズ

『ザーーーーーーーーー』

ちょっと膝が痛いが、祈りが最優先だ届け神に!

『お、久し振りとかのう?』

(スーーーーーーーーーーー)

『ん?どうした…』

(醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油醤油)

『おっ!?』

(ショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユショウユ)

『わかったわかったわかった!…よくわからんが何か要望があることは分かったから落ち着け!』

(幼女神様…俺は醤油が欲しいです!)

『幼女……まあよい、わかった用意してやろう』

(ありがとうございまーす)

祈りのポーズのまま笑みを浮かべる

『………で、どれにする』

(わーい、醤油だ醤油、アイテムボックス内のご飯にちょい足しが出来るな…)

『おーい…』

(あっ醤油がなかったんだ醤油味の焼肉とか食べさせたらどうなるかな?)

『なんか色々と種類があって我にはようわからんのでなー』

(うーんそれだけじゃあものたりないか?)

『豆腐用とか牡蠣用なのぅ、これはなんじゃ?』

(他にも欲しいな、みりんとか酢とかも)

『聞いてないなオヌシ……もう良いわ覚悟しろ』

(あっあとあれも欲しいチューブのワサビとか生姜とか……あれ神様聞いてます?)

『マイマスター』

(あれイーリン?幼女神様は?)

『マイマスターが散々声掛けしておいででしたがその…マイマスターが聞き流されていたので、拗ねられてしまいました』

(そ……そうか)

『なにか制作されていらっしゃるので、直ぐにではありませんが、マイマスターが欲しいものは手に入りそうですよ』

(ならば良し…としておこう)

『それがよろしいかと』

直ぐにでは無いが手に入ると言うならば……がっ我慢してやろうじゃないか

「プレイヤーさん、ひどい顔だね」

教会から出たらすぐにアーノが声をかけてくる

「そんなにひどい顔か?」

「うん、呪殺出来そうなほど眉間というかおでこ全体を使って不機嫌が現れてる」

「ほら」っといってアーノは指で俺のオデコを触る

「ここがこうなってて~ここは電波飛んでるよ~♪」

クスクスと笑いアーノはグニグニと俺のオデコを揉みほぐす

電波とは眉間のシワが縦になっているからか?
いやオデコだし横になっているから曲線のあのマークだろうか?

「クスクス、でどうだったの…って聞くまでもないのかな?」

「ああ、だめだった。いや正確には大丈夫だったんだけどすぐには用意されないんだ」

「そっかー」

「そうだだからとっとと王都へ行くか」

この漁村をすぐさま出ていく俺たちだった



ー村長ー

「行ってしまわれた」

「そうですね、村長…」

「なんの要求もせずにただ救っていただけた」

若者がどんどん王都やここよりも大きな町へ行くものが増えて、とうとう年老いたものしかいなくなった所へまさかの賊が来た。

逆らった者は見せしめにあい困り果てていた賊共は食料を求めて儂らの蓄えを考えなしに食らいつくし

ここを拠点にするといい、食料確保のために儂ら
に漁業をしろと言った。そんなところにまさかの魔物、クラーケンが現れて更に困ったことにそんな所に運悪く旅人が現れた。それが彼らだ

彼らは賊を倒してくれたが、儂らは心が狭くなっていて何を要求されるかと怯えていたが、そんな事はなく彼らは儂らと合うこともなく合っても走って何処かへといってしまう

そして今この漁村から出ていった

「村長!」

「どうした。ああ、船が奴らに壊されておったか?」

今後のために船の様子を見に行っていた者がいつの間にか戻っていた。

「いいや、船は無事だいつでも漁に出れる…そう漁に出れるんじゃ」

「なにぃ、クラーケンは?」

「それがどこにもいない、いつも出てくる位置まで海に出ても出てこなかった」

「なんと危ないことを!」

「ああ、確かに賭けじゃがおかげでおらんことが分かった」

「…そうか、それももしや彼らが」

「そうかもしれやせん」

「せめて彼らの旅の無事を祈りましょうぞ」

「「「「「彼らの旅に幸多からん事を」」」」」

漁村にいる年老いた者たちは一斉に祈りを捧げたのだった


 * * * *

確かに賊は彼らユウト…というよりもアーノが一人でやってしまったので、アーノロウティに感謝をするのは間違いではないが

クラーケンはある事のためにあの位置にいて人間を巻き込まないために一定期間、人が近寄らないようにしていただけである。偶然同じタイミングでさったに過ぎないのだが…それは知ろうと思わなければ誰も知らない真実である
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