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3.海辺の王国ヴェルドニア

11.あれから……

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「ユウトさん」

本館に入るとシスティに呼び止められた

「どうした?」

「いえ、絵の続きを書きたいのですが」

「………忘れてたが、今からで大丈夫か?
忘れていた俺が言うのも何だが、そろそろ日が沈むぞ?」

システィも外をちらっと見ると

「………明日にします」

そう呟いた。そうだなそれがいい

「今から剣を描いてきますね、日の傾きがちょうど良さげなので」

えっ今から伝説となったを描くのか?

余りにも違和感がなくて、その上アリシアさんもヒーリスさんもジュリア神官も

3人とも屋敷に入る際に見たのに誰も聞いてくれなかったからな

「あっシスティ程々になー」

「はーい」

絵描き道具持って外へ出ていった

「さて…………これからどうするかな~」

結果的にまたもや錬金は後回しになった。すると暇はどうやって潰そうか?

「屋敷があるが、使用人がいないな」

使用人を雇うべきか?
でも変なやつは入れたくない

「ここは定番孤児でも拾うか?」

『それがよろしいかと』

おっと、どうしたイーリン

『いえマイマスター、ただの提案です』

そうか…で、なんで孤児がいいんだ?

『いえあの、あまりお金を使いますとクルファ様とミルファ様の入園が…』

あっ、忘れてた!

『マッマイマスター…………』

あっはははははは………はぁ、歳かな~

『いえ、ここ最近は冒険者家業でそっちばかりでしたからそのせいかと』

そう思いたい

「ユウト、今いいか?」

おっナーナンさん、どうした?

「屋敷と絵を描いていもらって、忘れていたがラドンちゃんの小屋は?」

「ーっ!?」

おっふぅ…それも忘れてた

「……………」
「……………」

見つめ合っていたが、段々とジト目さんのナーナンさんの視線が更に細くなっていく

「申し訳ございませんでした。すっかりと忘れていたことをここにお詫び申し上げます」

「ああ、私達の長距離移動用の足だからな早急に場所の確保を求む」

「了解です。今から土地をもう少し購入してきます。アーノ、行くぞ」

「はいは~い♪」

アーノ俺を抱えて仲介業者へ行きやや脅しながら屋敷周りの家の土地を購入

………アーノの稼ぎはどこから?

「アーノ金持ってるな、いつ稼いだんだ?」

元々いる人たちの生活を奪うのは許しませんよ?

「ほえ?ああ、あのね私のクラフトスキルで小物のアクセサリーを作って露天の人に売値の6割をあげるから売ってってお願いしたんだ~」

おい、売値の6割って

「おまけ程度に幸運値プラス1程度だけど、じわじわっと「今日なんかいいこと多いな」で買ってもらえてね今じゃそのおばさんの露天大人気なもんだから、ザクザク収入はいるよ?」

(苦労をかけますね…)

「ヒモになっていいですか?」

「あははは、いいよ♪」
『マイマスター、心と言葉が逆ですよ多分』

おっといけない

「プレイヤーさん、アーノには甘えていいんだよ!」

俺の腕にしがみついてくる柔らかな感触は当ててんのよ状態

「プレイヤーさんは面倒なことしてほしいことがあったらなんでもアーノに言えばいいんだよ、全部アーノが叶えてあげるから」

ほんっとお世話になりますアーノさん、でも

「あっはははは、アーノそんなの1つしかないぞ?」

「え?」

「ずっと、そばにいてほしい。ただそれだけさ、結婚の言葉そのままをアーノと約束したい」

「それってあの、病める時も健やかなる時もっていうやつ?」

「そうさ、いついかなる時もずっとアーノといたい」

そう、アーノは俺の過去を知っている。神が俺の過去をアーノに見せたからだが、それでもアーノは俺の苦労悲しみ辛さを理解して、その上で俺を甘やかそうとしてくる

俺はその行為に甘えている。それでいいと言ってくれる最高のパートナーだ

「プレイヤーさ~ん♪」

「ア~ノ~♪」

バカップルの登場で行きとは違い、帰りは歩いて帰る

「……プレイヤーさん、アーノの素材だけは特別製でね付喪神だったみたいなんだ」

「なんだって!?」

突然のカミングアウト!?

「なんでもなりかけで、それを集合させて形作りして、この世界の神様が更に一手間加えてアーノができたんだってさ」

「なりかけって?」

一体何が付喪神になろうとしてたんだ?

「パソコンとスマフォと机と椅子とベッドだって、中でもパソコンが欠片が大きかったみたいで、それを中心として、一塊にして神様の一手間で付喪神へ神格化、そして体を作ってもらってチートをぶっこんで私完成ってわけ」

『元々が付喪神になりかけでしたので、神になる条件が整っていました。そのため神格化が可能だったようです』

おーなるほど………付喪神様か

「崇めるべき?」

「いやいや必要ないよ、付喪神だもん持ち主さんにちょっとだけ幸運を与えるようなアイテムだと思って、優しく扱ってくれれば応えるから…ね」

「アーノ………かわいいなお前は」

頭をワシャワシャと撫でる

「きゃう~♪」

普通の女の子ならセットが乱れるとか言って内心ムカつきつつも、外面は嬉しそうにするがアーノは本心だろう演技の必要がないからな

「さて、小屋どうするか」

「私が建てとくよ?」

「あ~~お願いします」

「ラジャ!」

家につくと、建設予定場所を更地にした後木材を取り出してすぐに小屋が建つ

便利ですなクラフトスキル……つーか、付喪神で神格化してるなら使いまくってるこれって、権能の方じゃないのか?

スキルというかチートって神の権能だったのかな……うーん、深くは考えないでおこう

着々となんだかんだ言いつつ何かが進む

「さて、明日の予定は…」

『マイマスター……』

「……」

イーリンが呆れているだと!?

『マイマスター、明日はクルファミルファの入園です』


次の日


いつの間にかやってきたクルミルの学園行き

「なんだかんだ忘れつつも来てしまったな」

「主君…」
「ご主人様…」

「ポンコツですまんな」

本当にポンコツだ自分勝手に生きるって、他人と関わらないってことだなとつくづく思う、他人と関わるつまり何かしら相手に合わせるということだし

「さて、ほとんど最近自分勝手だったがゆえに色々と記憶に残らない出来事ばかりだった」

本当最近の記憶がないや……ボケたかな?

『マイマスター、寿命がないので質の低下はただ単に怠けです』

そうか…まあ普通の日常は記憶する価値ないしな、ボーとしている間に他のメンバーの挨拶だ


「クルファ、ミルファ、良き学びを…」

少し悲しそうに言うナーナンさん

「学べるときに学び己の力とせよよ。しっかり自分の物のしてきなさいね」

ルナさん、俺の耳が痛いです。学生時代勉強なんて嫌いですから

学びに行くと、学ばせられに行くには多いな違いがあるからね教える先生も自分にあってないとわからないまま置いていかれるから

そんな適当だから塾が出来たんだけどね。時代の進化が怖いな、学校があるのに塾があるとか心が狭い人間が増殖しそう、程よく馬鹿じゃないと繁殖してくれないのに

効率やメリットを考えると結婚=意味ないになる今の社会なのにって、こっちの世界には関係ないか、あはははは

「知ることは素晴らしきこと。知ることは未来を手にすることです。ですが競い合うものではありませんので好きなことを好きなように学ぶといいですよ!」

いいねシスティ、素晴らしい考え方だ


「貴族は変なプライドの塊です、近づかなくても絡んできますから注意しておいてくださいね」

 なんと………ヒーリスさん、貴族とは絡むのが趣味なのだろうかどこぞの仲間にして 仲間だけを戦わせるゲームの目が合ったらバトルかな?

そんな存在が貴族かな?


「固定概念にお気をつけてくださいね、学舎は1つの方法しか教えてくれないことがほとんどです。ですが答は1つでも方法は数多く存在しますそこを肝に銘じておいてください」

さすがアリシアさんです、いいこと言いますね

「………」

で、アーノは何も言わないっと

「皆さんでは」

「あっとちょいまち」

「「?」」

言い忘れがあった。これは言っておかないといけなかった

「クルファ、ミルファ覚えておいてくれ」

いつになく真剣な眼差しで2人を見る

「「……」」

「何かあった際、された際に後先なんか考えずに好きなように動くこと忘れないでくれ」

「えっですがそれだとご迷惑がかかります」
『コクコク』

「そこは子供が気にすることじゃない」

ふと前世のクソ親を思い出す成人後俺の親は、実家(親)に迷惑がかからないようにしろと帰省したり電話だったりメールだったりでうるさく言ってきた

直接的ではないにしろ一見、俺の心配であるように見せかけて内容をよく聞くと結論は金のことであった

例として分かりやすくするならこんな感じだ

「入っている保険の保証対象外で親が変わりにお金を払うことになった保険見直せよ」

こんな感じで、一見こっちの心配しているようで実のところ。こっちは、お前のことでお金なんか払いたくないから自分でキチンお処理しておけという内容だ

うちの親の性格から、そう理解できるのだ他の親だったら…常日頃から心配してくれている親だったらそう受け取らないが少なくともうちの親はそういう意味だ

クソ親め、俺はそうはなりたくないから

クルファミルファの前で膝を付き、目線を合わせる

「家族だ、迷惑を気にするな、道から外れない限りやりたいようのにやればいい、その結果で困ったことになったら迷わず頼れ、助けるから」

「主君」
「ご主人様」

「お前たちはまだ子供だ親代わりの俺たちに迷惑をかけてもいいし困ったら頼ってもいいし、甘えてもいいんだ」

クルファ、ミルファが少し俯き不安そうにする

「いいんですか?」
「いいの?」

声にもその不安が乗る

「いいさ俺のように好きなことを好きにやれ俺に頼れなくても甘いナーナンさんもいる」

「おい」

「人生の相談なら最年長のルナ婆さんもいる」

「久々に婆さん呼ばわりね」

「遊びたきゃシスティがいる」

「あの、年齢的に私も子供なんですが…」

「しかも今なら貴族の事もアリシアさんに聞ける」

「いる間だけですが…そうですね、貴族関係で困ったなら頼ってください、いざとなったら家名を出して脅しますので」

「神殿関係ならジュリア神官がいる」

「それが使徒様の望みなら力となりましょうクルファ、ミルファ頼ってください大司教までなら黙らせられます」

「戦力がほしいなら俺がアーノに頼むから」

「ウンウン、都市なら魔法1つでぶっ壊せるよ♪」


「見ろこの圧倒的頼れる家族を」

「お前は?」

ナーナンさんが俺の肩を掴む

「俺か……回復薬で長時間の拷問しかできない」

「クルファ、ミルファがそこを頼るとは思えんな…」

「だろ…笑えよ俺の無能っぷりを……」

「………(アーノ以外)」

「アッハハハハハハ」
『ハハハハハハハ』
『ブワッハハハハハハ』

本当に笑うなよ…少しは傷つくんだぞ

『申し訳ございませんでしたマイマスター』

『笑えといったのはそっちじゃろうに』

気にしなくていいさイーリンだがなんか幼女神も笑いやがった気がする

『盛大に笑っておられましたよ?』

そうか…まあ何にせよ

「悔いのないようにな、さあ行って来い」

「はっはい行ってきます」
「行って、きます」

こうして、クルファとミルファが一時的に学園と寮生活のため家からいなくなったのだった
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