22 / 26
【第四章】組織 VS 溺愛彼氏
4.全部弱いままでも、愛された
しおりを挟む
それから数日後。
カナトさんの友人で、弁護士をしている人に相談して、警察にも届け出をした。
組織の人たちは僕に近づいてこなくなった。
……良かった。
でも、僕の精神状態は不安定だった。
最近、カナトさんと会えない日が続いてる。
今日も大学から帰っても、カナトさんはまだ仕事中だ。
そういえば、しばらく残業で遅くなるって言ってたな。
……でも会いたい。すごく会いたい。
もう我慢できない。
僕はスマホを手に取って、カナトさんにメッセージを送った。
『カナトさん、今日は何時に帰ってくる?』
送信ボタンを押した後、すごくドキドキした。
数分後、スマホが震えた。
『ごめん、今日も遅くなりそう。12時過ぎるかも』
その文字を見て、胸がぎゅっと締め付けられた。
僕は一人でご飯を作って、一人で食べた。
「……美味しくない」
カナトさんと一緒に食べるご飯は美味しいのに。
一人だと、何を食べても味がしない。
ソファでテレビを見ながら、カナトさんのことを考えていた。
寂しい。もっと一緒にいたい。
でもそんなこと言ったら、カナトさんは困るだろうな。
僕は膝を抱えて、ソファに座り込んだ。
頭の上に、三毛模様の猫耳が生えた。
「あ……」
また出ちゃった。
尻尾も出てきて、だらんと垂れ下がった。
「……寂しいよ、カナトさん」
もしかして、カナトさん、僕のこと面倒くさくなったのかな。
一人でいると、色々考えちゃう。
悪い方へ、悪い方へ。
「……やめよう」
頭を振って、そんな考えを追い払おうとした。
でも、一度浮かんだ不安は、簡単には消えてくれなかった。
……もう寝ようかな。
スマホを見ると、カナトさんからメッセージが来ていた。
『もう少しで終わる。そっちに行っていい?』
……来てほしいに決まってるのに。
なのに、素直にそれを言えない自分がいる。
『うん』
短く返事を送る。
スマホを伏せた瞬間、胸の奥では別の感情が渦巻いていた。
本当に、来てくれるんだよね?
迷惑じゃ、ないよね?
考え出したら止まらない。
だから、何も考えないふりをして、ソファに膝を抱えて座る。
*
インターホンが鳴ったのは、それから30分後。
ドアを開けると、そこに立っていたのはカナトさんだった。
少し疲れた顔。でも、僕を見るなり、ほんの一瞬だけ表情が変わる。
「レン、耳としっぽ出てるぞ」
「……うん。勝手に出た」
自分でも驚くくらい、声が素っ気ない。
それに気づいたのか、カナトさんの眉がわずかに寄った。
「どうした?」
「……別に」
「嘘だ。お前の尻尾、すごい垂れてる。正直に言って?」
優しい声。
責めるんじゃなくて、ちゃんと向き合おうとする声。
それだけで、胸の奥に溜めてたものが、今にも溢れそうになる。
「カナトさん、僕といても面倒なだけでしょ」
あ、って思ったときには、もう口から出ていた。
「僕がいなければ、カナトさんは平和に暮らせるのに。僕なんか……いない方がいいんだ」
半猫だから狙われて。
守られて。
心配かけてばかりで。
「僕はカナトさんの負担になってる」
「何言ってるんだよ」
「本当のことじゃん。迷惑ばっかりで――」
「迷惑なんかじゃない」
きっぱりとした声。
カナトさんは僕の顔を両手で包んで、逃げ場をなくす。
真っ直ぐ、目が合う。
「……本当は寂しかった。最近、カナトさんと全然会えなくて」
「レン……」
「もしかして、僕のこと……面倒くさくなったのかなって」
言葉にした途端、怖くなる。
“そうだよ”って言われたらどうしようって。
「そんなわけないだろ。俺もレンに会いたかった。仕事中も、ずっと考えてた」
「……本当?」
「ああ。早く帰って、お前に会いたいって」
その言葉が、胸の奥にじんわり染み込んでくる。
「……ねえ、カナトさん」
「ん?」
「僕……カナトさんがいないと、ダメなんだ」
声が震えるのを、止められない。
「一人だと、ご飯も美味しくないし。寝るのも寂しいし……」
カナトさんの目が優しく細められた。
「僕、依存しすぎてる。カナトさんがいないと、何もできないよ」
背中に回された手が、ゆっくり撫でてくる。
「俺もレンに依存してる」
「……え」
「お前がいるから、俺は幸せなんだ」
そんなこと、言われると思ってなかった。
「不安になったら、言って。何度でも安心させるから」
「……うん」
気づいたら、胸に顔を埋めていた。
温かい。
この人の体温が、僕を現実に繋ぎとめてくれる。
「レンは俺の前だけ、本当に可愛いな」
「可愛くない……」
否定しながら、顔が熱い。
「可愛いよ。すごく」
唇に、軽く触れる感触。
「明日は休みなんだ。一日中、一緒にいよう」
「……本当?」
「ああ。もっと甘えていいよ。寂しかったら、ちゃんと言って」
「……うん」
強く、抱きしめられる。
「お前のことは最優先だから、遠慮しないで」
「ありがとう。カナトさん……大好き」
「俺も、レンのことが大好きだよ」
小さく頷くと、耳を優しく撫でられた。
「にゃっ……」
思わず声が漏れて、余計に恥ずかしくなる。
「外ではツンツンしてるくせに、俺の前だけこうなのが嬉しいんだ」
「……言わないで」
「事実だろ」
そのまま抱き上げられて、ベッドへ。
「カナトさん……」
「ん?」
「ずっと一緒にいてね」
「ああ。ずっと一緒にいる」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥の不安がすっと静まって、僕は安心して目を閉じる。
カナトさんの温もりの中で、やっと眠れそうだった。
カナトさんの友人で、弁護士をしている人に相談して、警察にも届け出をした。
組織の人たちは僕に近づいてこなくなった。
……良かった。
でも、僕の精神状態は不安定だった。
最近、カナトさんと会えない日が続いてる。
今日も大学から帰っても、カナトさんはまだ仕事中だ。
そういえば、しばらく残業で遅くなるって言ってたな。
……でも会いたい。すごく会いたい。
もう我慢できない。
僕はスマホを手に取って、カナトさんにメッセージを送った。
『カナトさん、今日は何時に帰ってくる?』
送信ボタンを押した後、すごくドキドキした。
数分後、スマホが震えた。
『ごめん、今日も遅くなりそう。12時過ぎるかも』
その文字を見て、胸がぎゅっと締め付けられた。
僕は一人でご飯を作って、一人で食べた。
「……美味しくない」
カナトさんと一緒に食べるご飯は美味しいのに。
一人だと、何を食べても味がしない。
ソファでテレビを見ながら、カナトさんのことを考えていた。
寂しい。もっと一緒にいたい。
でもそんなこと言ったら、カナトさんは困るだろうな。
僕は膝を抱えて、ソファに座り込んだ。
頭の上に、三毛模様の猫耳が生えた。
「あ……」
また出ちゃった。
尻尾も出てきて、だらんと垂れ下がった。
「……寂しいよ、カナトさん」
もしかして、カナトさん、僕のこと面倒くさくなったのかな。
一人でいると、色々考えちゃう。
悪い方へ、悪い方へ。
「……やめよう」
頭を振って、そんな考えを追い払おうとした。
でも、一度浮かんだ不安は、簡単には消えてくれなかった。
……もう寝ようかな。
スマホを見ると、カナトさんからメッセージが来ていた。
『もう少しで終わる。そっちに行っていい?』
……来てほしいに決まってるのに。
なのに、素直にそれを言えない自分がいる。
『うん』
短く返事を送る。
スマホを伏せた瞬間、胸の奥では別の感情が渦巻いていた。
本当に、来てくれるんだよね?
迷惑じゃ、ないよね?
考え出したら止まらない。
だから、何も考えないふりをして、ソファに膝を抱えて座る。
*
インターホンが鳴ったのは、それから30分後。
ドアを開けると、そこに立っていたのはカナトさんだった。
少し疲れた顔。でも、僕を見るなり、ほんの一瞬だけ表情が変わる。
「レン、耳としっぽ出てるぞ」
「……うん。勝手に出た」
自分でも驚くくらい、声が素っ気ない。
それに気づいたのか、カナトさんの眉がわずかに寄った。
「どうした?」
「……別に」
「嘘だ。お前の尻尾、すごい垂れてる。正直に言って?」
優しい声。
責めるんじゃなくて、ちゃんと向き合おうとする声。
それだけで、胸の奥に溜めてたものが、今にも溢れそうになる。
「カナトさん、僕といても面倒なだけでしょ」
あ、って思ったときには、もう口から出ていた。
「僕がいなければ、カナトさんは平和に暮らせるのに。僕なんか……いない方がいいんだ」
半猫だから狙われて。
守られて。
心配かけてばかりで。
「僕はカナトさんの負担になってる」
「何言ってるんだよ」
「本当のことじゃん。迷惑ばっかりで――」
「迷惑なんかじゃない」
きっぱりとした声。
カナトさんは僕の顔を両手で包んで、逃げ場をなくす。
真っ直ぐ、目が合う。
「……本当は寂しかった。最近、カナトさんと全然会えなくて」
「レン……」
「もしかして、僕のこと……面倒くさくなったのかなって」
言葉にした途端、怖くなる。
“そうだよ”って言われたらどうしようって。
「そんなわけないだろ。俺もレンに会いたかった。仕事中も、ずっと考えてた」
「……本当?」
「ああ。早く帰って、お前に会いたいって」
その言葉が、胸の奥にじんわり染み込んでくる。
「……ねえ、カナトさん」
「ん?」
「僕……カナトさんがいないと、ダメなんだ」
声が震えるのを、止められない。
「一人だと、ご飯も美味しくないし。寝るのも寂しいし……」
カナトさんの目が優しく細められた。
「僕、依存しすぎてる。カナトさんがいないと、何もできないよ」
背中に回された手が、ゆっくり撫でてくる。
「俺もレンに依存してる」
「……え」
「お前がいるから、俺は幸せなんだ」
そんなこと、言われると思ってなかった。
「不安になったら、言って。何度でも安心させるから」
「……うん」
気づいたら、胸に顔を埋めていた。
温かい。
この人の体温が、僕を現実に繋ぎとめてくれる。
「レンは俺の前だけ、本当に可愛いな」
「可愛くない……」
否定しながら、顔が熱い。
「可愛いよ。すごく」
唇に、軽く触れる感触。
「明日は休みなんだ。一日中、一緒にいよう」
「……本当?」
「ああ。もっと甘えていいよ。寂しかったら、ちゃんと言って」
「……うん」
強く、抱きしめられる。
「お前のことは最優先だから、遠慮しないで」
「ありがとう。カナトさん……大好き」
「俺も、レンのことが大好きだよ」
小さく頷くと、耳を優しく撫でられた。
「にゃっ……」
思わず声が漏れて、余計に恥ずかしくなる。
「外ではツンツンしてるくせに、俺の前だけこうなのが嬉しいんだ」
「……言わないで」
「事実だろ」
そのまま抱き上げられて、ベッドへ。
「カナトさん……」
「ん?」
「ずっと一緒にいてね」
「ああ。ずっと一緒にいる」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥の不安がすっと静まって、僕は安心して目を閉じる。
カナトさんの温もりの中で、やっと眠れそうだった。
34
あなたにおすすめの小説
αとβじゃ番えない
庄野 一吹
BL
社交界を牽引する3つの家。2つの家の跡取り達は美しいαだが、残る1つの家の長男は悲しいほどに平凡だった。第二の性で分類されるこの世界で、平凡とはβであることを示す。
愛を囁く二人のαと、やめてほしい平凡の話。
タトゥーの甘い檻
マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代)
どのお話も単体でお楽しみいただけます。
「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」
真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。
それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。
「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。
アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。
ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。
愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。
「……お前のわがままには、最後まで付き合う」
針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。
執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
義兄が溺愛してきます
ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。
その翌日からだ。
義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。
翔は恋に好意を寄せているのだった。
本人はその事を知るよしもない。
その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。
成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。
翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。
すれ違う思いは交わるのか─────。
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる