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6.彼らを救うための、最初の一歩
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それから二週間が経った。
学園生活はそれなりに順調だった。
表向き、僕はロメオに冷たく接し続けている。
でも、裏ではベンヴォーリオと協力して、両家の和平工作を進めていた。
「ジュリオ、この書類を見てくれ」
ベンヴォーリオが図書館で僕に資料を渡す。
周囲に人がいないことを確認してから、僕はそれを読んだ。
「これは……貿易協定の草案?」
「ああ。もし、カペレッティ家とモンタギュー家が協力すれば、両家とも利益になる」
「なるほど……! 経済的な結びつきを作るわけですね」
「そうだ。憎しみよりも、利益の方が人を動かすこともある」
たしかに、ベンヴォーリオの言葉は現実的だった。
「これを、僕の父に提案してみます」
「うん。頼むよ」
ベンヴォーリオは穏やかに微笑んだ。
本当に、この人は平和を心から望んでいるんだな。
――その日の放課後。
中庭を歩いていると、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
見ると、ロメオとマキューシオが一緒にいた。
「それでさあ、その時の教師の顔が……!」
「ははは、マキューシオ、君って本当に……」
二人は親しげに話している。
よし、良い傾向だ。
このまま二人がくっついてくれればいい。
ゲームの“マキューシオルート”は順調に進んでいる。
でも、その時――
「おい、モンタギュー」
離れた場所から冷たい声が響いた。
振り返ると、ティボルトが立っていた。
これは、まずい。
「ティボルト兄さん……!」
僕は慌ててティボルトに駆け寄る。
「ジュリオ、下がってろ」
「でも……」
「貴様ら、この学園で我が物顔をしていい気になっているようだな」
ティボルトの赤い瞳が、怒りに燃えている。
ロメオは表情を強張らせた。
「僕たちは何も」
「黙れ! モンタギューの血を引く者が、ここにいること自体が不愉快だ」
「おいおい、ティボルト。そんな言い方ないだろ」
マキューシオが間に入る。
「お前も黙れ、マキューシオ。これは我ら貴族の問題だ」
「いや、友達が侮辱されてんだ。黙ってられるかよ!」
空気が張り詰める。
このままでは、決闘になってしまう。
原作ではこの場面でティボルトがマキューシオを刺し、その後ティボルトはロメオに殺される。
絶対に、それは阻止しなければ。
「ティボルト兄さん、やめてください!」
僕は彼の腕を掴んだ。
「ジュリオ、離せ」
「嫌です。これ以上、争わないでください」
「何を言っている。モンタギューは我らの敵だぞ」
「それでも! 争いは何も生みません!」
ティボルトが驚いたような顔をした。
周囲の生徒たちも、ざわめいている。
「ジュリオ……お前……」
「お願いです、兄さん。今日は、引いてください」
僕は必死だった。
ティボルトは長い間、僕を見つめていた。
そして、ため息をついた。
「……分かった。お前がそこまで言うなら」
ティボルトは剣を収めた。
「だが、次はないぞ、モンタギュー」
そう言い残して、ティボルトは立ち去った。
僕はほっと胸を撫で下ろした。
「ジュリオ……」
ロメオが不思議そうに僕を見ている。
「君はどうして、争いを止めた……?」
「気まぐれです。それだけです」
そう冷たく答えて、僕もその場を離れた。
でも、心臓はまだドキドキしていた。
……危なかった。
あのまま戦いになっていたら、ティボルトは死んでいたかもしれない。
「まだ、油断できない……」
廊下を歩いていると、後ろから声がかけられた。
「ジュリオ」
振り返ると……マキューシオだった。
学園生活はそれなりに順調だった。
表向き、僕はロメオに冷たく接し続けている。
でも、裏ではベンヴォーリオと協力して、両家の和平工作を進めていた。
「ジュリオ、この書類を見てくれ」
ベンヴォーリオが図書館で僕に資料を渡す。
周囲に人がいないことを確認してから、僕はそれを読んだ。
「これは……貿易協定の草案?」
「ああ。もし、カペレッティ家とモンタギュー家が協力すれば、両家とも利益になる」
「なるほど……! 経済的な結びつきを作るわけですね」
「そうだ。憎しみよりも、利益の方が人を動かすこともある」
たしかに、ベンヴォーリオの言葉は現実的だった。
「これを、僕の父に提案してみます」
「うん。頼むよ」
ベンヴォーリオは穏やかに微笑んだ。
本当に、この人は平和を心から望んでいるんだな。
――その日の放課後。
中庭を歩いていると、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
見ると、ロメオとマキューシオが一緒にいた。
「それでさあ、その時の教師の顔が……!」
「ははは、マキューシオ、君って本当に……」
二人は親しげに話している。
よし、良い傾向だ。
このまま二人がくっついてくれればいい。
ゲームの“マキューシオルート”は順調に進んでいる。
でも、その時――
「おい、モンタギュー」
離れた場所から冷たい声が響いた。
振り返ると、ティボルトが立っていた。
これは、まずい。
「ティボルト兄さん……!」
僕は慌ててティボルトに駆け寄る。
「ジュリオ、下がってろ」
「でも……」
「貴様ら、この学園で我が物顔をしていい気になっているようだな」
ティボルトの赤い瞳が、怒りに燃えている。
ロメオは表情を強張らせた。
「僕たちは何も」
「黙れ! モンタギューの血を引く者が、ここにいること自体が不愉快だ」
「おいおい、ティボルト。そんな言い方ないだろ」
マキューシオが間に入る。
「お前も黙れ、マキューシオ。これは我ら貴族の問題だ」
「いや、友達が侮辱されてんだ。黙ってられるかよ!」
空気が張り詰める。
このままでは、決闘になってしまう。
原作ではこの場面でティボルトがマキューシオを刺し、その後ティボルトはロメオに殺される。
絶対に、それは阻止しなければ。
「ティボルト兄さん、やめてください!」
僕は彼の腕を掴んだ。
「ジュリオ、離せ」
「嫌です。これ以上、争わないでください」
「何を言っている。モンタギューは我らの敵だぞ」
「それでも! 争いは何も生みません!」
ティボルトが驚いたような顔をした。
周囲の生徒たちも、ざわめいている。
「ジュリオ……お前……」
「お願いです、兄さん。今日は、引いてください」
僕は必死だった。
ティボルトは長い間、僕を見つめていた。
そして、ため息をついた。
「……分かった。お前がそこまで言うなら」
ティボルトは剣を収めた。
「だが、次はないぞ、モンタギュー」
そう言い残して、ティボルトは立ち去った。
僕はほっと胸を撫で下ろした。
「ジュリオ……」
ロメオが不思議そうに僕を見ている。
「君はどうして、争いを止めた……?」
「気まぐれです。それだけです」
そう冷たく答えて、僕もその場を離れた。
でも、心臓はまだドキドキしていた。
……危なかった。
あのまま戦いになっていたら、ティボルトは死んでいたかもしれない。
「まだ、油断できない……」
廊下を歩いていると、後ろから声がかけられた。
「ジュリオ」
振り返ると……マキューシオだった。
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