【完結】悪役令息、運命を変えたら政略婚約のイケメン伯爵に溺愛されました

砂原紗藍

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16.幸せを選んだ日

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春の訪れと共に、僕とパリスの結婚式の日がやってきた。
エスカラス伯爵邸の大広間は、白い花で飾られていた。

僕は鏡の前に立った。
白い礼服。銀髪は整えられ、紅い瞳がそれを映す。

自分でも、驚くほど綺麗だった。

「ジュリオ」

扉が開き、父であるカペレッティ公爵が入ってきた。

「父上」
「お前は……本当に、美しい」

父は目を潤ませた。

「パリス伯爵は、良い男だ。必ずお前を幸せにしてくれるだろう」
「はい」
「行こう。みんなが待っている」

父が手を差し出し、僕はその手を取った。
大広間には、多くの招待客が集まっていた。

ロメオとマキューシオ。
ベンヴォーリオとフェルナンド。
そして、ティボルト。
モンタギュー家の人々も来ていた。

――そして祭壇の前には、パリスが立っていた。

黒を基調とした礼服姿。紫の瞳が、優しく僕を見つめている。

「ジュリオ」

僕は父に付き添われながら、パリスの元へ歩いた。
そして、父が僕の手をパリスに渡す。

「頼んだぞ、パリス伯爵」
「はい。ジュリオを、必ず幸せにします」

パリスは真剣な顔で誓った。

神父が、二人の前に立つ。

「それでは、誓いの言葉を――パリス・エスカラス、あなたはジュリオ・カペレッティを、生涯の伴侶として愛し続けることを誓いますか?」
「誓います」

パリスの声はしっかりとしていて、迷いはない。

「ジュリオ・カペレッティ、あなたはパリス・エスカラスを、生涯の伴侶として愛し続けることを誓いますか?」
「誓います」

僕も、はっきりと答えた。

「では、指輪の交換を」

パリスが、僕の左手に指輪をはめる。
僕も、そっとパリスの左手に指輪をはめた。

「ここに、二人の結婚を認めます」

その言葉と同時に、パリスが優しく僕を抱き寄せ、唇が自然に重なる。

会場からは、大きな拍手と歓声が沸き起こった。


そして、披露宴では友達も家族も笑顔で祝福してくれた。

「おめでとう、ジュリオ!」

ロメオとマキューシオが駆け寄ってくる。

「お前ら、ずっと幸せにな」
「ありがとうございます」

ベンヴォーリオとフェルナンドも、祝福してくれた。

「君たちの未来に、幸多からんことを」
「ありがとうございます」

ティボルトは、少し照れくさそうに言った。

「ジュリオ、幸せになれよ」
「はい、兄さん」
「パリス伯爵、ジュリオを泣かせたら、俺が許さないからな」
「もちろん。彼を、一生守り続けます」

パリスは真剣に答えた。

披露宴の最後に、僕はみんなに向けて言葉を述べた。

「みなさん、本日は本当にありがとうございます」

会場が静まり、僕の声だけが響く。
隣でパリスが手を握ってくれた。

「今、ここにいられることが、本当に幸せです」
「ジュリオ……」
「これから、パリスと一緒に、新しい人生を歩みます」

僕は……かつて悪役だった。
でも、みんなが僕の本当の姿を見てくれた。受け入れてくれた。
涙が自然に溢れる。

「皆さんとの友情は、ずっと大切にします」

会場に温かい拍手が降り注ぐ。

「……本当に、ありがとうございます」

僕は深く頭を下げた。


――披露宴が終わり、夜。
僕とパリスは新居の部屋に案内された。

ベッドに腰を下ろすと、パリスがそっと僕の頬に触れる。

「幸せになろう、ジュリオ」
「はい。僕を選んでくれて、ありがとう」

その言葉に、パリスは優しく微笑んだ。

翌朝、柔らかな朝日がカーテンの隙間から差し込む。

「ん……」

目を覚ますと、隣には穏やかに眠るパリス。

「ジュリオ……起きてる?」
「あ、おはようございます」
「おはよう」

パリスは僕を抱き寄せ、額に軽くキスをする。

「これから毎日、君と一緒に目覚められるんだね」
「はい」

僕は彼の胸に顔を埋めた。

「幸せです」
「僕もだよ」

しばらく、二人で抱き合っていた。

「ねえ、ジュリオ」
「はい」
「朝食を一緒に作らないか?」
「え? 僕たちが?」
「うん。新婚初日は、使用人に気を使わずに過ごしたいんだ」
「それは……いいですね」

僕たちはベッドから起き上がり、台所へ向かう。

「パリス、料理できるんですね」
「母に教わったんだ。母は、『男も料理ができるべきだ』って」
「素敵なお母様ですね」
「ああ。君にも会わせたかった」
「きっと、天国から見守ってくれていますよ」
「……そうだね」

彼は優しく微笑む。

「母も、君のこと気に入っただろうな」
「本当ですか?」
「ああ。君は優しくて、強くて、美しい。完璧だよ」
「もう、褒めすぎです」

出来上がった朝食を前に、二人で座る。

「いただきます」
「いただきます」

シンプルなオムレツとトースト、紅茶。
でも、一緒に食べるだけで、特別に美味しい。

「美味しいですね」
「君と一緒だからかな」
「パリスったら」

僕たちは笑い合った。

「ねえ、ジュリオ」
「はい?」
「これから、どんな家庭を築きたい?」
「どんな……ですか」

少し考え、僕は答えた。

「温かくて、笑顔が溢れる家庭。みんなが安心できる場所」
「いいね」
「じゃあ、一緒に作ろう」
「はい!」

パリスは優しく微笑み、僕もその笑顔に応えた。



***


【次回予告】

すべての選択が、未来を紡ぐ。
ジュリオとパリス、そして仲間たち。
友情、愛、そして絆。
すべての想いが結実するとき、物語はついに幕を閉じます。

次回、いよいよ最終話――どうか見届けてください。




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