【完結】悪役令息、運命を変えたら政略婚約のイケメン伯爵に溺愛されました

砂原紗藍

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【最終話】僕たちの第三の物語

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それから五年が経った。
僕とパリスは、幸せに暮らしていた。
エスカラス伯爵邸は、いつも笑顔に溢れている。

「ジュリオ、これを見てくれ」

パリスが書類を持ってくる。

「何ですか?」
「カペレッティ家とモンタギュー家が、正式に和平協定を結ぶことになった」
「本当ですか!」
「ああ。君が蒔いた種が、ようやく実を結んだんだ」

その言葉に、僕は涙が出そうになった。

「やっと……」
「うん。もう、誰も争わなくていい」

パリスは僕を抱きしめた。

「君の頑張りが、世界を変えたんだ」
「パリスのおかげです」
「いや、二人の力だよ」

ある日、久しぶりにみんなが集まった。

「ジュリオ! 久しぶり!」

ロメオとマキューシオが駆け寄ってくる。

「二人とも! 元気でしたか?」
「ああ、俺たちも結婚してさ」

マキューシオは左手の指輪を見せる。

「おめでとうございます!」
「ありがとな」

ベンヴォーリオとフェルナンドも現れた。

「ジュリオ、お久しぶりです」
「ベンヴォーリオ、フェルナンド!」
「僕たちも、正式に結婚しました」
「おめでとうございます!」

ティボルトも、立派な騎士として成長していた。

「ジュリオ、元気そうだな」
「兄さんも!」
「ああ。最近、新しい部下ができてさ。面倒を見るのが大変だけど、楽しいよ」

みんなが、それぞれの幸せを手にしていた。

夕方、庭園にみんなで集まり、乾杯をする。

「乾杯!」

グラスが触れ合う音が響く。

「みんなが幸せで、本当に良かった」

僕が言うと、ロメオが微笑んだ。

「これも、ジュリオのおかげだよ」
「いや、みんなが頑張ったからです」
「でも、最初の一歩を踏み出したのは君だ」

マキューシオが言った。

「お前がいなかったら、俺たちはここにいなかった」
「そうだな」

ティボルトも頷いた。

「ジュリオに感謝してる」

その言葉に、僕の目から涙があふれた。

「みんな……ありがとう……」

パリスが僕の肩に手を回す。

「泣かないで。これは、嬉し涙でしょう?」
「はい……」
「じゃあ、笑顔で」

僕は涙を拭って、笑顔になった。

その夜、僕とパリスは二人きりで話した。

「ねえ、パリス」
「ん?」
「僕は本当に幸せです。前の人生では、こんな幸せ、想像もできなかった」
「でも、今は違うよね」
「はい。あなたと出会えて、みんなと出会えて……本当に良かった」
「僕も、君と出会えて良かった」

月明かりの下、僕たちはそっと唇を重ねた。


――そして、ある日。
僕の前に、再び運命の監視者が現れた。

「お久しぶりです、ジュリオ」
「運命の監視者……」
「あなたは、成し遂げましたね」

彼は穏やかに微笑んだ。

「全員のバッドエンドを回避し、そして自分自身も幸せを掴んだ」
「はい……みんなのおかげです」
「いいえ、あなたの勇気と優しさの賜物です」

運命の監視者は、僕に一冊の本を差し出した。

「これは?」
「あなたたちの物語です」

ページを開くと、そこには僕たちの歩んできた道が記されていた。

「原作の悲劇でもなく、ゲームの物語でもない。あなたたちが紡いだ、第三の物語」
「第三の物語……」
「はい。これから、この物語は多くの人に読まれるでしょう」
「え……?」
「あなたは、運命に抗う勇気を示しました。その勇気は、多くの人の希望となります」

運命の監視者は、ゆっくりと消えていく。

「さようなら、ジュリオ。そして……ありがとうございました」

彼の姿が、完全に消えた。
僕は本を抱きしめる。

「第三の物語……」

原作でもなく、ゲームでもない。
僕たちだけの物語。

「パリス!」

僕は彼の元へ駆け寄った。

「どうしたんだい?」
「見てください、この本! 僕たちの物語が、本になったんです!」
「本当かい? 見せて」

二人でページをめくる。
そこには、僕たちの笑顔、涙、そして愛が詰まっていた。

「素敵な物語だね」
「はい」

僕は悪役だったからこそ、みんなを救えた。
そして、自分も救われた。

僕の脚本ではハッピーエンドだ。

「ジュリオ」
「……はい」
「これからも、ずっと一緒だよ」
「はい。ずっと」

僕たちは手を繋いだ。

空には、青い空と白い雲。
そして、温かな日差しの下で、未来を感じる。
これが、僕たちの幸せ。

――そして、これからも続く、僕たちの物語。



End.




***


【あとがき】

ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。
無事、完結いたしました。

悪役令息として始まったジュリオの人生が、思いやりと愛によって、悲劇でも単なるゲームの結末でもなく、“第三の物語”になりました。

最後までお付き合いいただき、心から感謝申し上げます。


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