【完結】ノンケだった俺が、敵対企業の年下イケメンCEOに堕とされました

砂原紗藍

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【第2章】最悪で最高のライバル

5.君と戦いたい、君を抱きしめたい

「……今から、って」

言い返そうとして、言葉が途中で途切れる。
慧が一歩、距離を詰めた。

「仕事の敵でも、ライバルでもいい。でも今は……京介のこと、好きな男でいさせて」

こいつ、ほんと正面突破しかしてこない。
今頃になって、こういうのに弱い自分を自覚するなんて。

「なぁ京介」
「……なに」
「部下とは、どうなった?」

慧が優しく聞いてくる。
そういえば話してなかったな。

「……ちゃんと断った」
「そっか」
「……慧が言ってくれたからな」
「俺?」
「ちゃんと答えを出せって。曖昧なのが一番よくないって」
「京介は優しいね」
「……別に」
「優しいよ。相手のこと、ちゃんと考えてる」

少しだけ胸が痛む。
でも、これでよかったんだと思ってる。
あいつは、俺なんかより――いや、考えるのはやめだ。

「なぁ、慧」
「ん?」
「この前のこと……」

言いかけて、顔が熱くなる。
何言おうとしてるんだ、俺。

「この前の?」

慧がわざとらしく口角を上げる。

ああ、この顔。
絶対わかってて聞いてる。

「キスのこと? それとも、その後のこと?」
「……っ、両方……」

正直に言った瞬間、慧の目が柔らかく細められた。

「京介の声、すごく可愛かったな」
「可愛いって言うな」

もう恥ずかしすぎる。
思わず顔を覆う。

……こいつ、楽しんでる。確信犯だ。

「ごめん。でも本当のことだから」

慧がくすくす笑ってる。

「……慧」
「ん?」
「俺、慧に会いたいって思うし、一緒にいると楽しい」
「……うん」
「触れられると、ドキドキするし……この前のこと、思い出すだけで変な気持ちになる」

慧がじっと俺を見つめてる。

「それって、恋だと思うよ」
「……恋?」
「うん。京介、俺のこと好きになってくれてるんじゃない?」

その言葉に、胸がドキッとした。
慧が立ち上がって、俺の隣に座った。

……近い。

「ちょっ……」
「京介。俺は、待てないかも」
「何が」
「キス」 

慧の顔が近づいてきて、唇が重なる。

柔らかい。
慧の舌が、俺の唇を這う。

この感触、前より慣れたかもしれない。でも相変わらずドキドキする。

「んっ……」

ゆっくりと唇が離れて、慧が微笑んだ。

「やっぱり京介の唇、好きだよ」
「……っ」
「もっとキスしたい。もっと触りたい。もっと京介のこと、知りたい」

その言葉に、心臓が跳ねる。

「なぁ京介」
「……なに」
「ずっと、京介のこと考えてた」

慧の指が、俺の唇をそっとなぞる。

「プレゼン中も真剣な顔で見てくれるの、嬉しかった」
「おい……」

首筋を撫でられて、くすぐったい。
でも嫌じゃない。

「懇親会でライバルとして向き合ってた時はさ」
「……ああ」
「すごく興奮した」
「……ばか」
「ばかでもいい。俺、京介のこと本気で好き」

その言葉に胸が熱くなった。

あー……これ、完全に恋だ。
もう認めるしかない。

「……俺も」
「俺も?」
「慧のこと……好きだと思う」

その言葉を口にした瞬間、慧の顔がぱっと明るくなった。

「本当?」
「……本当。でもさ……慧は、俺でいいのかよ」
「京介がいい。京介じゃなきゃダメ。俺と、付き合ってくれる?」
「……今さら聞くなよ」

慧の目が優しく細められた。

「じゃあ、これから……」
「これから?」
「京介は、俺のもの」

その言葉に、またドキッとした。

「……ああ」
「大事にするね」
「……頼む」

小さく呟くと、慧の瞳がちょっと熱を帯びた。

「前に、途中で止めたよね」
「……うん」
「あの時、怖がってた京介も可愛かったけど」

慧の吐息が、俺の肌に触れる。

「今日は、ちゃんと最後まで気持ちよくしてあげる」

慧が俺を抱き上げた。

「ちょっ、下ろせ!」
「嫌。このまま、ベッドルームに連れてく」

その腕の中で、俺は観念した。
こいつには勝てない。いや、勝ちたくない。

ベッドに下ろされて、慧が俺の上に覆いかぶさってくる。

慧が優しく俺の頬に触れて、キスを落とす。

「大丈夫。ちゃんと、優しくするから」
「……うん」

頭も胸も心も指も、俺の全部がこいつを信じたいと言っている。

抱きしめられる腕に力がこもる。
何も言うことが出来ず、ただ必死で抱きしめ返した。



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