リスタート・ショコラ―拾われた俺、溺愛されてます―世界でいちばん甘い場所は、あなたの隣。

砂原紗藍

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グレーズ・アフェア―甘くて危険、二人の秘密―

3.仇を討つまでのカウントダウン

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翌朝。
目を覚ますと、透さんの腕の中だった。

「……っ!」

慌てて起き上がろうとすると、透さんがゆっくりと目を開けた。

「おはようございます」
「お、おはよう……」

恥ずかしくて、つい顔を背ける。
透さんはそれを見逃さず、にやりと微笑んだ。

「昨日のこと、覚えてますか?」
「う、うるさい!」

顔が真っ赤になり、思わずそっぽを向く。
透さんは起き上がり、そっと俺の頭に手を添えて撫でる。

「可愛い」
「もう……!」

その手を払おうとするけれど、透さんの手がしっかり俺の手を掴んで離さない。

「逃がしませんよ」

俺を見つめるその目が、どこまでも真剣で心臓が、跳ねる。

「環は、もう俺のものですから」
「俺のものって……」

小さく声を漏らすと、透さんは穏やかに笑いながらも、少し強めに俺の顎を掴む。

「言葉通りの意味です」

その指先が触れた瞬間、胸が跳ねた。
そのまま見つめられると、思わず観念してしまう。

「これから、俺以外の男を見ないでください」
「っ……」
「答えてください」

透さんの目が少し意地悪く光って、俺は観念した。

「……わかった、透さん以外、見ないから」
「いい子ですね」

満足そうな笑みを浮かべ、透さんはそのまま額にキスをする。

「じゃあ、朝食にしましょう」

そう言い残して、透さんは部屋を出て行く。
残された俺は、一人、真っ赤な顔のままベッドに座り込む。

あの人……Sっぽい……。

俺はそっと自分の唇に触れる。
心の奥では、もっと透さんに触れられたいと思っていた。​​​​​​​​​​​​​​​​

ようやく少し落ち着きを取り戻し、リビングで朝食をとる。
透さんが静かに口を開いた。

「今日、警察に証拠を提出します」

落ち着いた声なのに、強さがにじんでいる。

「そうしたら、西条は逮捕される」

俺は小さく頷いた。
信じられないような気持ちと、終わりが近い現実が胸の中で混ざり合ってる。

「……やっと、終わるんだ」

呟いた声は震えていた。
それでも透さんは静かに受け止めてくれる。

「ええ。あなたの復讐も、俺の復讐も」

透さんが、まっすぐ俺を見つめる。
その視線は、優しいのに逃げられないほど真剣だった。

「そして、新しい人生が始まります」

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がきゅっと熱くなって、気づけば透さんの胸に飛び込んでいた。

「……ありがとう、透さん」

しがみつく腕を、透さんは優しく包み込む。

「どういたしまして」

短い言葉なのに、誰よりも頼もしくて、温かかった。

その日の午後。
透さんと一緒に警察署へ向かった。
佐々木さんと顔を合わせ、差し出された温かいコーヒーに、ほっとする。

「西条は?」

透さんが資料を覗き込みながら訊く。

「今、全国に指名手配を出した」

佐々木さんが資料を広げる。

「お前が掴んだ証拠、完璧だった。違法取引、詐欺、恐喝、脱税――全部立件できる」

透さんが満足そうに頷く。

「逮捕状も出た。あとは、西条を捕まえるだけだ」

でも、胸の奥に引っかかる不安が消えず、思わず口を開く。

「でも……西条はまだ逃げてるんですよね?」
「ああ」

佐々木さんは額に手をやりつつ、にやっと笑った。

「だが、国外逃亡は阻止した。パスポートも無効にしたし、空港も港も全部に手配済みだ。もう、逃げ場はない」

その言葉に、息がふっと軽くなる。
透さんもほっとしたように頷いた。

「……よかった」

佐々木さんはそこで、真剣な目で透さんを見る。

「神崎。お前、本当に無茶するよなぁ。でもこれで、内海一樹の仇を取れそうだな」

その名前に、透さんの目が揺れる。

「……ああ」

佐々木さんの視線が、次に俺へ向いた。

「花村さんもお疲れ様。もうすぐ、全部終わる」

その優しい声に、胸の奥の緊張が少しずつ解けていく。

「……ありがとうございます」

小さく頷くと、透さんがそっと俺の手を握った。



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