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魔族1

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試験が早く終わった俺たちは、リリアーヌの待ち合わせ場所に待っていた。

待ってから、数十分後リリアーナが来た。意外に早く終わったようだ。

「待たせてしまってすいません。」

「俺たちもさっき来たところだったんだ。早速、ダンジョンに向かうけどいい?」

「はい、お願いします。」

俺たちは転移でダンジョンへと向かった。



「おかえりなさいませ、坊ちゃん。どうかされましたか?」

「いや、魔族の子が居て、ダンジョンに案内しようかと思って。」

「そういう事でしたか、てっきり何か試験でやらかしたのかと思いました。」

「いやいや、そんなことしないって。」

「いや、アレク危なかったからね。」

え?俺そんなことした記憶ないんだけど。
まあ、問題なく終えることが出来て良かった

「私はヴァンと言います。以後お見知り置きを。」

「私はリリアーナと申します。よろしくお願いします。」

「じゃあ案内するよ。」

「ディーは坊ちゃんの話を聞かせて下さい。では、行ってらっしゃいませ。」

と俺は999階層から下へと進んだ。

「ここは農業エリア、此処には精霊とドラゴンが共生してるよ。」

「広いね、私たちも此処に住んだら農業をする事になる?」

「そうとも言えないな。まあ、次を見て行こう。」

俺はやりたいことや、得意なことをやって貰うつもりだ。

嫌なことを強制させるのは生産効率が下がるし、やる気もなくなるだろう。

俺は998階層へと進んだ。

「ここは海エリア、漁業をするところだね。」

「ここは、海ですが、はじめて海と言うものを見ました。」

「アレクの坊主、今上がった魚だ。少し食べるか?」

「じゃあお願いするよ。」

「分かったぜ!」

漁師が取ってくれた魚を捌き刺身と、そのまま焼く焼き魚を作ってくれた。

「ほら、刺身はわさび醤油をつけて食べてくれよ嬢ちゃん。」

「ありがとうございます。」

「アレクの坊主は白飯食うか?それと味噌汁もあるぞ?」

「じゃあ貰おうかな、あとリリアーナの分も少しでいいから貰えるかい?」

「もちろんだぜ、ちょっと待ってくれよ。」

漁師は白飯と味噌汁を持ってきてくれた。  


「美味しい、初めて食べたよ。これが魚なんだね、この白いのとよく合うね。」

と言ってリリアーナはぺろっとと食べてしまった。

「俺の食うか?」

「いいの!?」

「いいぞ、ほら、」

少し分けてあげたが、それもぺろっと食べてしまった。この子見た目の割になかなか食べるんだな。

「ふぅー美味しかった。私ここに住む!」

「いや、それはみんなと決めてくれよ。」


俺たちは下の階層へと向かった。

ここは生産エリアで、鉱山があり、鍛治、服飾、スイーツを作っているところだ。

ここは、一番いろいろな種族がいる。ドラゴン、精霊、アラクネ、死霊他にもたくさんにいる。

必要なものが日が経つにつれ増えていき、このようになってしまった。

そのため、この下に住居空間を作りみんなでそこに住んでいる。

「ここは生産エリアで服から料理、さらには農具とか船まで作ってるところだ。とりあえず、見てまわろうか。」

まずはスイーツ店へと言った。

「アレク君いらっしゃい、何食べる?」

「ケーキをお任せとあとは飲み物をお願い。分かったよ~。」

俺たちは店内にある、テーブルへと座った

「ケーキなに?」

「来てからのお楽しみだな。」


と少しするとケーキと飲み物を持ってきてくれた。

「ありがとう。」

「いえ、お楽しみ下さい。」



「何これ、食べるの勿体無いんだけど。」

ケーキを見てリリアーナがそう言った。それは分かるが、食べ物だからね。

俺はリリアーナをよそに食べ始めた。それに続き、リリアーナも食べ始めた。

「あま~い。おいひぃ。」

「それは良かったよ。」

俺たちは元気を食べ終え、取り敢えず軽くだが、全部の店に回った。

リリアーナに見て貰うためだ。しかし、行った先々で色々持ってしまった。

特にアラコさんのところではリリアーナが着せ替え人形になっていた。

「つ、疲れた。」

「じゃあ、ラスト住居エリアに行くぞ。」

ここはほとんどみんな住むところだ。料理屋や、食料品などがある。

特に種族の違いで家を別けていない。
普通にドラゴンと精霊で飲んでいる人も居るし。

精霊と死霊と真逆と言える種族であるが普通に仲がいい。

そのようなこともあり、住居スペースは分けてない。いずれ結婚した時は、好きに住んで欲しいからな。

「リリアーナ魔族が住むところはここだな。家とかは、好みのように作ってくれるから。その時だな。」

「ここに住むの?」

「そうだな、家はみんなこんな感じ、一人で住むたい人もいれば複数人で住みたい人もいるからそこは人それぞれだけどな。」

「そうなんだ、いやそうじゃなくて!こんな人族の貴族が住みそんなところに住むの!!?」

「そうだけど?貴族の家より内装は簡素だけど、機能は抜群だね。キッチン、冷蔵庫、風呂は完備してあるから。」

住みにくい家よりマシでしょ。家は疲れを取るところだから、落ち着く家の方がいいに決まっている。

「え?それ、貴族いや、王族より凄いんじゃ。私達がこんなところに住んでいいの?」

「いいんじゃない?おーいドラオ」

「兄貴なんですか?」

「この子は魔族なんだけど‥‥」

俺がリリアーナがここに来た理由を話すと人がどんどん集まってきた。

「と言うことなんだよ。」

「そんな酷いことを人族が?クソ野郎だな!」

「どうしようもないな。」

「こればかりは救えんな。アレクみたいな奴がいればいいのだが。」

「それはヤバイでしょ、兄貴みたいのが沢山いたらある意味つかれますよ!」

「「「「「それもそうだな!!」」」」」

お前たちどんなところでハモってるんだよ。褒められてんのか貶されてんのかイマイチ分からない。

「魔族、ここに住んでいいじゃねえか。俺たちも下界にでたいとは思わないけど、知りたいしな。」

「そうだな、魔族とは会ってみたいし、いい奴そうだし、俺の弟子にでもするか!」

「それはいいなぁ、俺も手伝ってもらおう。」

「み、皆さんありがとうございます!私たち魔族をそんな風に言ってくださって。」

と、リリアーナは涙を流しながら、感謝していた。他種族に受け入れられることが嬉しかったのだろう。

「嬢ちゃん泣くなよ、そんなこと当たり前だぜ。」

「そうよ、困っている人が助け合いがここのスローガン見たいのものだからね。」

と女性陣がリリアーナを慰めてくれた。

少し落ち着いたのでそろそろ帰ることにする。

「みんなありがとう、また来るよ。」

と言って俺とリリアーナは一旦自宅に帰り、ディーを回収し、王都へと向かった。



「では、私はこの辺で。」

「いいの?魔族のいるところに送ろうか?」

「いえ、私転移を使えるので。大丈夫。」

「そうか、なら良かった。返事は一週間後、合格発表の時でいいかな?」

「うん!ありがとうアレク、ディーさん。じゃあまたね。」

と言って転移でリリアーナは魔族の所へと帰っていった。

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