6 / 39
幼少期編
これからどうする!?
しおりを挟む可愛い妹を狙っていたストーカーに刺されて死んだおれは、何故か乙女ゲーム『花の聖女と魔法学園』のヒロイン、アイリス.ハニーベリーとして…異世界転生してしまったらしい
性別を盛大に間違えられ、乙女ゲームの強制力増々な気配を感じるこの世に生を受けてしまったのだ
先程まで現実を受け入れられずにポロポロ涙を零していたのが嘘のように、今はしっかりと姿見を見て、自分という存在からどうすれば逃げられるか考えていた
重要な事はいくつかのあるが、先ずはおれを男だと理解してもらう事…それが何よりも重要
どう見ても股間に女子には無いものがあるにも関わらず、一度見せてもらった事のある戸籍の書類にも男児と書いてあったのに、名前を付ける時点で女子と間違えてしまう両親や使用人は正気じゃない
確実に神様の気まぐれのような酷い気配を…可愛い妹を守りし兄よ、その優しさ?に免じて乙女ゲームの世界として生まれ変わらせて上げよう!
あ、性別間違えて生まれちゃったけど、このままヒロインでいいじゃん!?みたいなよくわからない気配を感じる…
明らかにおれを男児だと理解して出生を見届けたのに、その記憶をすり替える程の乙女ゲームな強制力が影響していると感じるのだ
まず、おれがすべき事…それはこの強制力がどの程度の物なのか確認する事…
…今から男として受け入れ育ててもらって乙女ゲームの世界なんて無かった展開に持ち込めるかどうか…それが重要だと思う
だっておれまだ5歳だし…!乙女ゲームの世界から脱出!家出!とかしたら普通に野垂れ死ぬ
ついでに貧乏でも我が家は男爵家…おれは男爵子息、貴族は必ず乙女ゲームの舞台である魔法学園に入学しないと大人になってから職にも就けないという決まりがあった筈だ
だったらおれは男だとしっかり周囲に認識してもらって、性別間違えた神様には申し訳ないけど?普通にハニーベリー男爵家の次男として暮らしたい…!!
領民を心から大切にする性格で、優しい性格の我が家族、その中でも特にお人好しな父様は数年前に起きた不作の年に領民を飢えさせまいと大きな借金をした…それが原因でハニーベリー男爵家は撲殺寸前と言われる…
正直、乙女ゲームのヒロインにさせられそうな展開が無ければこのハニーベリー男爵家は貧乏だけど天国だ
今世の家族…母様を始め父様や兄様、使用人の皆んなも普通に仲良しで互いを思い合っていて…温かくて…ヒロインが真っ直ぐで素敵な子に育つ環境が整っているのだから!!
前世のほっこり我が家みたいな雰囲気あって前世を思い出す前のおれは家族大好き♡な子だったのだから、家出とかしたくない!可能であれば実家に居たい!!!前世の知識で跡継ぎの兄様をサポートする生活とか楽しそうじゃん!?
貧乏でもこの優しい家族と暮らしたい!
「丁度今日はおれの5歳の誕生日…みんな勢揃いするこの場で、おれって実は女児じゃないんですよ!?知ってました!?………と、告白する…のはどうだ?
その時の反応を見て、この世界の強制力?を確認してみよう…大丈夫、正直に言っても気が狂ったとか思われる事は無い…はず!」
姿見に映った自らの姿を見て、おれは決意した
なんとかして乙女ゲームの世界から安全に逃げようと
家族がおれを男として扱ってくれたら…味方になってくれたら最高に心強い…!
おれは逃げるぞ!ヒロインポジションとか要らないです!イケメンと恋に落ちるとかもっと要らない!!次男はずっと家に居続けるのはちょっと…とか言われたら政略結婚でもいいから、ハニーベリー男爵領で商家を営んでるお家で可愛い女の子と普通に結婚したいわ!
……………………
………………
…………
おれが5歳にして今後の人生を掛けた一世一代の決意を固めたその日の夕方
ここ数日仕事で家を空けていた父様は、ちゃんとおれ、アイリスの誕生会が始まるまでに帰宅して下さった、学園に通ってる歳の離れた兄様と一緒に
「アイリス!お誕生日おめでとう!お前の誕生日に間に合ってよかった…!
もう5歳になるなんてな…月日が流れるのは早いものだ、ほらもっとよく顔を見せておくれ?」
「あ、父上ばかりズルいですよ?アイリス!ただいま!僕にも可愛い顔を見せて!プレゼントも買ってきたから楽しみにしててね!」
「父様、兄様おかえりなさいませ
お仕事いつものお疲れ様です…!お誕生日お祝いして貰えて嬉しいです」
おれを軽々と抱っこして玄関ホールでくるくる回してくる、短髪高身長で細マッチョでイケオジな方がアイリス…おれの父様であるベネット.ハニーベリー男爵
で、父様の隣で自分も抱っこしたいと爽やかな顔で笑ってるイケメンがおれと10歳、歳の離れたユリウス兄様
どう見てもお二人は男らしくドレスなんて着てないし、抱っこしてもらった感じブラジャーもしていない…周囲に数名いる使用人の男性も勿論男の姿をしている
つまりはおれにだけ、女装をさせられているのだ
…………うん、やはり乙女ゲームの強制力?が働いていると感じる
「おかえりなさいあなた、ユリウス
誕生パーティーの準備が出来てるわ、食堂へ行きましょう?」
暫し父様と兄様に頭を撫で回されていると、誕生日プレゼントに男児へブラジャーを勧めてきた美し過ぎるアレクシア母様が呼びに来たため、父様に抱っこされた状態で食堂へ向う
勿論可愛いドレス姿で…だ…
本当は男だアピールの為にズボンを履いてパーティーに参加したかったが、クローゼットの中身全てドレスだったのだから仕方ない
おれは実は男なんですと告発するのに出来たらズボンがよかった…けど本気で1枚もないとかつらい
ふざけんなー!と思いつつ、貧乏ながらある程度の枚数ドレスを買ってくれる今世の両親の優しさに八つ当たりなんてしたくなくて…大人しく一番シンプルで可愛い系のふわっとしたドレスをチョイスしてメイドに着せて貰ってた
まさかパンツまで…パンツまで女児仕様の履いてたなんて悲しい現実に泣かなかったおれ、偉いと思う
どう見ても小さくたって股間に男児ってブツがついてるのに、曇りなき眼で可愛いパンツを勧めてくるメイドに少し恐怖を覚えたけどな!!!泣くのは何とか堪えたわ!!
おれは負けない…!!!真実を伝えて皆を味方にするのだと、父様の胸筋に包まれ再度決意しながら食堂へ向った
422
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています
八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。
そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。
転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?
米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。
ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。
隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。
「愛してるよ、私のユリタン」
そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。
“最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。
成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。
怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか?
……え、違う?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる