おれがヒロイン!?無理です、逃げていいですか!

たなぱ

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幼少期編

家族に告白しよう

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本来の、この乙女ゲーム『花の聖女と魔法学園』で登場する貴族は殆どが自宅の庭で盛大に、多くの貴族を招いて誕生会を開くのが普通だ
しかし、没落寸前となるとそんな余裕も無く…その内平民へ落ちるかもとかそんな状況の為、誕生会自体を行わないか自宅で家族のみでひっそりと行う…そんな風潮があるとか


その影響もあり、この乙女ゲームの中でヒロインであるハニーベリー男爵令嬢は攻略対象者の幼少期と少しだけ交流をするだけで多くの貴族の目に触れないまま…心まで清く美しく成長し
来たるべき乙女ゲームの舞台、魔法学園で「あの美しい子は一体!?」と、驚かれるのだ


つまり、現在…おれは簡単に言うと家族と使用人の目にしか触れていない…親族関係には少し触れてるが、殆ど他者とまだ顔を合わせてはいない
と、いう事は女児と思い込んでいるのはハニーベリー男爵家のみ!今のところ乙女ゲームの強制力はこの屋敷に留まっている…筈!!!


だからこそ、今を変えれば未来が大きく変わる
男として育てて貰えれば、乙女ゲームのストーリーすら始めから無かった事に出来るかもしれない…!!!

そんな期待を胸に、誕生会に臨んだおれはどのタイミングで告白しようか悩んでいた




設定上、没落寸前の貧乏貴族なハニーベリー男爵家で行なわれる誕生日会の描写はゲームの中では無かったから…



「「「アイリス、5歳のお誕生日おめでとう!」」」

「「「「おめでとうございます!!」」」」

「あ、ありがとうございます…」



見た目は5歳だけど、前世の記憶込みで三十路近くの精神年齢を有しているおれには分かる…
まだ借金もある状況で、お金の余裕なんて無いのに…こんなにも温かな誕生会を開く大変さが…

食堂に入った瞬間、心があったかくなった
母様を筆頭に使用人みんな手作りで会場の装飾してくれていて、料理長はおれの好きな食べ物を沢山準備してくれていた…
更には家族だけじゃなくて、使用人みんながそれぞれプレゼントを用意してくれてて…おれが5歳を迎えた事を本当に祝ってくれる…その優しさとプレゼントを受け取った瞬間感動してしまったのは仕方の無いことだと思う

なんとなく借金の返済がかさんで去年とかは誕生日自体出来なかった気がするから…来年は盛大にやろうねって言われたアイリスとしての記憶がある…
5歳は自分の魔力に気付く大切な年齢だから…その日はきっとお祝いするから、ごめんねって言われた記憶があるんだ




どうしよう、本気で嬉しい



例え、プレゼントが全部女児向けでも…ドレスにパンツにリボンにハンカチに、お姫様が主人公の本だったり…可愛いフリルがたっぷり付いた物ばかりだけど、嬉し過ぎる…
何、この家族…めちゃくちゃ温かいんだけど…!?



こんな家族に育てられたらさ、そりゃあヒロインのアイリス物凄くいい子に育つわ…!家族の為に自分が出来ることをしようって色んな事を頑張る、めげないいい子になるよ…Theいい家族だもの


神様、ストーカーに人違いで殺されたおれに対して前世と同じくらい温かい家庭をプレゼントしようとしてくれたのかな…愛里が好きだった物で、特に温かい奴に…そうなら感謝するしかないけど…

なのに、どうしてついうっかり?性別間違えたんだすかね?おれが女なら普通に乙女ゲームの世界を楽しめたのに!!!!


性別については今更どうしょうもない、母様の腹に居るときまで時を巻き戻す事なんて出来ないのだから…なら、おれは男としてこの世界を楽しむ事に全力を尽くそう…!



 優しい家族に、美味しい料理…可愛いケーキを堪能し、皆から盛大に祝われ、楽しい誕生会を過ごしている途中で…おれの健全な
未来に向けて真実を伝えてみた


「父様、母様、兄様…みんな!今日は本当にお祝いしてくれてありがとうございます…!
すごく嬉しいです…けど、一つだけ皆んなに言わなければならない事があります

……………実はおれ、男なんです…!!!こんなドレス着せてもらってるけど、女の子じゃない…!男児なんです…みんな思い出してください…!おれが男だって事!」


と、何もぼやかす事無く真実のみをしっかりと、可愛いボイスのせいで全く男らしく聞こえないが、ちゃんとおれは男だと伝えた


…が、しかし



「………………?どうしたんだ?急に…ああ、勿論知ってるとも!
アイリスは男児だよ?ちゃんとみんな分かってる
これからますます可愛く美しく成長して、きっと素晴らしい方に見初められて立派な淑女になる自慢の可愛い娘だ!」

「急にどうしたの?ちゃんと男の子だってわかってますよ?今日は少し不思議な事を言うのね?アイリス
もしかしてお金の心配してしまったの?ふふ、なんていい子なのかしら…大丈夫よ、これからお胸が大きくなる前にブラジャーも買ってあげるから♡」

「アイリス…僕と一緒にお風呂に入った事だってあるんだからちゃんと男だってわかってるよ?
不思議な事を言うアイリスもかわいいね♡
…………父上、母上、5歳でこの可愛さだと早々と高位の男性から見初められてしまうかもしれませんよ…?僕、アイリスがお嫁に行ってしまうの…寂しいです」



全員がにこやかに返事をしてくれた…けど


んんんんんーーーー?????
…なんだこれ……………おかしい、会話がおかしい
今、確実におれのことを男児と認めた…なのに、なんで男児って分かってるのに途中から女児に話が置き換わる?
話し方は変わらない、言わされてる感じもない、口調も声のトーンもそのままなのに…どうして途中で男児が女児になるんだ…??


どうして、おれを男だと分かっているのに…女として認識して未来を想像するんだよ………




これはやっぱり乙女ゲームの強制力なのか?
そういうことなのか…?






誕生会が終わるまでの間、何度か言い方を変えつつ、おれは男だと何度も何度伝えてみた
しかし、結果は変わらず…男だと理解しているのに…その直後、女として置き換えられる異常な状況

普通ならこの子は何度も何度も何言ってるんだ?とか違和感を持たれたっておかしくない、なのにそんな反応をされる事はなく…

ただひたすら、おれは男だけど男じゃない…女の子だって優しく刷り込まれているようなそんな理由のわからない状況が続いた














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