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幼少期編
筋肉格差社会
しおりを挟む………………………3ヶ月後
「す、すごい…!凄いですアイリス様!まさか、まさかこんな効果が出るなんて…!?マリン驚き過ぎて転びそうになりました!」
「…………うん、よかったねマリン」
メイドのマリンに程よくいい感じに筋肉が付いた
おかしい…この世界はやっぱりおかしい…
おれに対して酷く冷たい気がする…
なんでマリンはちょっともちっとした体型だったのに…いい感じにスラッと筋肉付いてスタイル抜群!になってんの?
どうして、おれは同じメニューを熟して…いや、それ以上に自室でも筋肉を育てるトレーニング行ったのに…素晴らしい幼女体型のまま、全く筋肉がつかないの!?!?
人体の神秘、筋肉にまでこの乙女ゲームの強制力は良からぬ影響を及ぼしてんのか!?!
ヒロインポジションをムキムキのゴリラにはさせねぇよ!!ってそんな気合なの!?神様!!!
「さぁ!アイリス様!今日もお庭を走りましょう!今日は何周しますか?あ、腹筋もしちゃいますか?」
「ソ、ソウダネ…今日も沢山走ろうネ…腹筋もいっぱいしたいなぁ…」
最初はおれがマリンを連れて中庭に持久力付けに行くって感じだったのに…今では午前中の勉強が終わるとマリンが走り込みと筋トレしようぜって誘ってくる
徒歩から始まり、ジョギング…今では短距離走を連続でやるみたいな…そんな本気で陸上部的な事を日課としてやるようになっていた
ついでに腹筋も背筋も2人でやってる
なのに…!しっかりと効果がマリンには出ているのに…!どうしておれには美しい筋肉が付かないんですか!!!
いや、筋肉が付いてない訳じゃない…
ちゃんと表現すると表面上の筋肉がつかないのだ…
内部的、根本的には筋肉がとても付いている…例えるなら、3ヶ月前は本を数冊持つだけでも疲れるくらい貧弱だったのに…今では本棚を摘んで持てるくらい力が付いた…頭おかしいレベルで内部値はムキムキしてる…たぶんイケメンを軽々とお姫様抱っこできるわおれ…
持久力も…想像を絶するくらい付いてて…毎日中庭全力走り込み200本をマリンと息も上げずに熟してるわけで…毎日癒しの魔法もしっかりと発動し、互いに明日に疲れは残さない!な健康具合だ
ついでに、走り込みでキレイに咲いた花達に風圧って影響が出ないように、風圧と速度をコントロールする魔法とかまで使ってたりする…
全然効果が出てない訳じゃない
ただ、おれの見た目…ヒロインとしてのアイリスって見た目だけが筋肉を否定しているんだ
だから、一応…目的の一つ…魔力枯渇してイケメンからキスされるって展開はたぶん回避出来たと思う?
今の段階で三日三晩癒しの魔法を使っても気絶しないよな?ってくらいには魔力量が増大している気がするから…
5歳でも、ある程度自分の意思で癒しを振りまけるようになってる
けど、圧倒的にムキムキゴリラとは程遠い
素晴らしく可愛い可愛い乙女ゲームのヒロインのままなのだ
「アイリス様!今日は風圧を消しつつ、速度を極めましょう!他者には走ってると思わせない気配を消す魔法をお教えします!
きっと役に立ちますよ~舞踏会で気になる殿方を追跡する時とか?ドレスを一切舞わせずに殿方の背後にたどり着く事が出来ます!」
「わーすごい…マリンって物知りだね?教えて欲しいなー!」
「アイリス様ならきっと直ぐに覚えられます!本当は10歳を超えてから魔法を本格的に学ぶのが普通なんですけど、アイリス様天才だから…内緒ですよ?
あ、でも旦那様と奥様にはちゃんと許可を頂いてます!淑女の魔法を伝授しますって!」
「そ、ソウナンダー……………」
そんなヒロインの見た目のまま、おれはメイドのマリンから最近は変な魔法まで習ってる
風圧コントロールできる魔法は分かる、庭師のおじさんの為にも分かる…けど、殿方の背後に回り込む魔法って必要?それ、本当に淑女の魔法?
………まぁ、何が役に立つか分からないから何でも覚えるつもりだけどさ…………
見た目的なムキムキ筋肉が手に入らないと、ちょっと落ち込むおれに対して、マリンのやる気は素晴らしかった……………
とりあえず、内部数値的には作戦成功だと思うしか無い…!キスを阻止できただけでもおれ、偉い!!!!
ついでに、筋肉を育てるためにと癒しの力である特技も使えるようになっていた
その名も、「お腹を壊さない!タンパク質を寄越せ!お安いお肉最高解毒能力!」だ
この世界、流石はファンタジーな乙女ゲームって感じで料理がとても西洋風な物が多かった
筋肉を育てる為にはプロテインドリンクとか、タンパク質を多く含んだ食べ物が欲しいのに…どちらかと言うとステーキとかコッテリ料理が多い現状… 特に貧乏な家は安い霜降りとは違う普通に脂身の多い肉しか買えないとかそんな状況があった
料理長になるべくヘルシーなの食べたいな♡っておねだりしては、ハニーベリー男爵家の懐事情が更に苦しくなってしまう
そんな時、午前中の座学で家庭教師の先生が、この世界に生えてる飢饉とかで対応できる食物としての雑草や魔獣についての知識を教えてくれた
その魔獣の見た目が…毒のある巨大な鶏だったり、毒のある牛豚などの肉的なタンパク質をたっぷり含んだ生物だったのだ
先生曰く、毒抜きに時間は掛かるが、食べれるとのことで飢饉では非常食的なノリで多く食べられる野生の肉…!ついでに普段から市場にも庶民用の格安のお肉として出回っているというではないか!
毒抜きする過程で酢漬け塩漬けみたいな感じにするから、かなり味は落ちるが、とても安価なお肉が沢山この世にはあるらしい!!!
その情報を得たおれは…ハニーベリー男爵家の食費事情も解決し、安価で素晴らしく巨大なタンパク質を手に入れる作戦を思いついた
それが「お腹を壊さない!タンパク質を寄越せ!安いお肉最高!解毒能力!」作戦だ
「癒しの魔法が進化して毒も癒せるようになりました!」と、マリンを巻き込んで報告し、実演したら普通に成功した素晴らしい作戦である
なので現在、ハニーベリー男爵家と男爵領では魔獣のお肉を解毒の為に酢漬け塩漬けにせず、鮮度の良いままで安くおいしく食べれる!そんな展開になっている…!
解毒をする過程で味が酷いことになる為、上流階級は一切食べようとしないって部分も仕入れからびっくりする程格安のポイントみたいだ
食卓になくてはならない肉、あとついでに毒抜きが必要な果物とかもおれが解毒する事によって食費がかなり抑えられている!!父様達がニコニコしてるのがその証拠!
これもある意味おれがハニーベリー男爵家に必要だと思ってもらえる展開に繋がるから、ヒロインになりたくないと抗うって意味では勝利だろう…!
流石未来の聖女様…毒を消すのもお手の物ですね!?!おれは魔獣の肉の毒抜きに使いますけど!
さて、次はどんな方法を試すべきか…おれはマリンに殿方の背後に回り込む魔法を教えてもらいつつ、次の作戦を練っていた
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