おれがヒロイン!?無理です、逃げていいですか!

たなぱ

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幼少期編

悲しき殿下とやべー女(男)2

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おれ達が屋台を設営する…ここ、王都のマルラフルマ劇場街は乙女ゲーム的に、アルフレッド殿下との出会い以外にも、聖女となるヒロインが本編でデートする時にも使用される魔法学園から、そこそこ近い活気のある場所だ

大小様々な劇場が立ち並び、その合間合間にホテルや屋台が沢山立ち並ぶ、前世的に言うと大型の観光地みたいな所

貴族だけじゃなくて市民も多く立ち寄る場であり、昼夜問わず人が溢れている
そんな場所でおれは幼少期イベントをぶち壊すだけでなく、ハニーベリー男爵家の為に本気で稼ぐつもりでいた
だって借金が少しでも無くなれば!ヒロインの今後のストーリーを大きく変えられるかもしれないから!




とりあえず現地に到着し、用意してもらった屋台で準備をする
栄養士とかの資格が要らないのはとても助かる!一応貴族、しがない男爵令嬢?が何してんだよ!ってなっても料理してることがバレなければはしたなくないのだ
うん、魔物の肉を肉切り包丁で叩き切る女が男爵令嬢とは思わないたろう!?平気平気!



手早く設営し、手早く網をケビンに炎の魔法をスティーブに出してもらって炭火焼きの準備を行う

一般的にこの乙女ゲームの世界で劇場の屋台といえばデザートや軽食系が多い
一般的な観客が自席で観劇を見ながら食べる事が出来るような物が人気だ
高貴な貴族様はあまり屋台を使用しないが、時々物珍しさや市街の暮らしを知るという意味で従者に買わせて有名店のを食べたりもする

そんな界隈で、おれは珍しい超ガッツリ系肉料理で勝負を仕掛ける…………!!!!
愛里がおいしい!って言ってくれた料理(乙女ゲームの世界版)で!!!
 






…………………………
…………………
…………




「ねぇねぇ、聞いた?騎士団長様が好きな料理が売ってるんですって!」

「え、本当に!?ど、どこですの??行ってみたいですわ!」

「この香ばしい匂い…あの店、本当に騎士団が遠征中の野営で食べているもの提供してるぞ!?!」




そんな会話が遠くから聞こえるとライに言われ、おれの頬がニヤリと緩む


ザワザワと多くの人が行き来する観劇街の大通りの端、具体的にはお忍びで劇場を見に来ちゃった人が多く通るような場所にジュウジュウと肉の焼けるいい音と、素晴らしく食欲を唆る香ばしい匂いが立ち込める
騎士をしてる逞しい男が好きそうだなぁって匂いが…………




その匂いに惹かれて来た皆様をおれ達は的確に、ショタコン広告塔をうまーく利用し、ガッツリと捕まえる事に成功していた





「いらっしゃいませー!
エドレンシス騎士団長も遠征中に食べて大絶賛!騎士団イチオシな魔物の焼串いかがですかー?
最先端の毒抜きでしっとりジューシーな魔物のお肉と新鮮野菜の相性抜群!価格もお手頃ですよー!」

「アイリス!魔物の焼串十本注文入った、あっちの老夫婦、郊外の自宅まで持ち帰るらしい」

「アイリス様!あちらの御婦人は串から外して容器提供で注文だそうです!」

「あいよー!ご注文ありがとうございますー!
ライ!持ち帰りは冷凍するから準備して!マリン、これ焼きあがるから串から外すの任せた!!」



作戦通り!!!!
ふふふふふ、うまく行き過ぎて困ってる!!
屋台の設営をして程なく…いい感じに焼串が完成し、おれ達の屋台には長蛇の列が出来ていた
調理担当おれ!接客担当マリン!ケビン!スティーブ!梱包担当ライ!素晴らしい配置でおれ達は突き進む!!



騎士団長達が遠征で食べて美味しいと唸った料理と、銘打っていいとちゃんと事前に許可を得てる為、文句を言われる可能性もない

王宮でも有名なこの国の守護者騎士団長達を餌に客を呼び、是非とも味見してみよう♡って一度食べて貰い、その美味しさにもっと食べたい!って即座にまた並びたくなる…そんな作戦だ



最初は恐る恐る一本、次に並ぶときは自宅に持ち帰るのも含め十本くらい頼んでくれる人が殆ど…!
ふふふ、エルヴィン様をこちら側に?引き込んでおいてよかったって話よ…!!!
今月の雑貨費くらいは稼がせて貰おうか!!!



そんな気持ちでどんどん肉を焼き、いい匂いを風魔法で上手いこと飛ばし、騎士団長効果と実際に食べて魔物の肉なのに凄く美味しかったって口コミで訪れた客を捌いていく

飲食店でバイトしてた前世の経験を活かしてるような気持ちになれてちょっと楽しい!
けど、当初の目的も忘れてないんだ…………………







開店から2時間、昼を大きく過ぎてある程度客足が落ち着き、父様達が見てる劇が起承転結の承にたぶん差し掛かった頃の時間帯に………ゆっくりとその気配は現れた

周囲の匂いと音を逐一確認してくれていたライがある方向をじっと見つめ、おれに耳打ちをしてくれた



「…………………なぁアイリス、あっちの方…裏路地の方から毒の匂いが近付いてくる」

「………………来たか………ありがとライ」




ライに感謝を述べ、匂いがすると言う方向をちらりと確認すると、庶民的な服を身に纏い、帽子を深く被ったおれと同い年くらいの子供と、背の高い男が並んで歩いてくる

隠しきれない高貴なオーラとも言うんだろうか?乙女ゲーム的に言えばイケメンオーラ…そんな感じの気配を漂わせ…………


これから暗殺されかけ、唯一の心の拠り所を失い、絶望の淵に堕ちる予定の攻略対象…アルフレッド殿下が観劇街に現れた











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