57 / 64
帰宅
しおりを挟む害虫の駆除と収穫が完了し、無事に舞踏会も終わり、僕とフレイズ様は馬車に乗り夜更けに帰宅した
「アデリナ…みんな、ただいま!」
「おかえりなさいませ、奥様!旦那様!
ご無事に戻られて何よりです…!
事前の情報通り当屋敷に現れた賊は全て捕らえ、尋問用の地下室に収容しております
念の為メイドと執事が数名怪我をしたと王家へは報告しておりましたが上手く行きましたでしょうか?」
「ああ、全て計画通りに終わった
ガレット公爵家等が送り込んで来た武装私兵については尋問後、事件の真相に近いものはベゼルへ送る
それ以外はこちらで餌として飼う予定だ
苗床用の部屋も明日以降準備を頼む」
「かしこまりました、尋問の準備はヤジェが行っております故、情報は随時ご報告致します
お食事は済んでいるとの事でしたので、お風呂の準備をしてありますので…こちらへどうぞ」
ガレット公爵家達が仕向けた武装私兵を捕獲したって話は本当だと言う話を聞いて、屋敷の皆が無事か少し心配だったけど…屋敷に戻ったら皆が出迎えてくれてホッとした
武装私兵を相手にして、怪我無く捕まえるって食人花の皆は個人個人がすごく強いんだろうか…?
よくわからないけど、事件の真相…たぶん僕の母様の死とかに関係ない人達は餌としてルドレッド公爵家で幸せになれる機会を与えてくれるんだろう…
………やっぱり本当にフレイズ様はお優しい
もう夜も遅いとアデリナや他の使用人達は、作戦がうまくいった事を喜び、すごく嬉しそうに僕とフレイズ様から荷物を預かり、お風呂をさり気なく進めてくれる
その気遣いを受け入れ、僕はフレイズ様と一緒にお風呂に入る事にした
ゆったりとお風呂に浸かりながらなら…色々フレイズ様に聞けるだろうか…?
そう思いつつ…服を脱がせて下さるフレイズ様に甘え、今日は僕も脱がして差し上げたいとか模索していた
まさか地下で現在進行系で尋問が進んでいるとは思わず…
………………………
…………………
…………
Side ヤジェ
ぐちゅ…ぬちゅ……ぐちゅぐちゅ………
「ん゙ん゙ん゙ーーっ!!んん゙ーー!!ん゙ん゙っ、んンっーーー!!!」
「ん゙ん゙ーーー!!!ん゙ー!ん゙ー!ん゙ん゙っ、ん゙ーー、!!」
言葉にならない酷いうめき声と、奥をほじくる水音を聞きつつ、私は知らない内にため息をついていた
日中、捕らえたルドレッド公爵家を潰そうと甘く見ている害虫どもを捕獲し、尋問室に入れてからどれくらいの時間が経過しただろうか?
フレイズ様が住まうこの屋敷に土足で踏み入る輩が本当に存在するのかと今も信じたくはないが…
目の前で悶える害虫共がこれは現実だと伝えてくる為、ため息が止まらない
捕獲後、害虫共は脱走と自害を防く目的で食人花の根で何重にも拘束し、口にも喉まで枷を咥えさせている
ほんの僅かでも与えられる尋問の苦痛から逃れる事など出来ない…が、
素直に話せば直ぐにでも苦痛から救ってやると言っているのに、今の所誰一人口を割らない…そんな状況…
旦那様がお戻りになるまでに1人くらいは真相を知っているか知らないのか…判断したかったが…そこまでの時間は無いらしい
「ヤジェさん、たった今、旦那様と奥様がお戻りになりました
明日から尋問を…と指示がありましたが…貴方の事です、もうある程度進んでいますよね?」
「………ええ、仕事は早いに越したことはありませんので進めては居ましたが…
中々口を割らない者達のようで…これは骨が折れますよ…」
「……………ヤジェさん、賊の喉にまで根を咥えさせて頭すらも動かせない程、拘束しては自白どころか意思疎通も出来ないのでは?
はぁ………本日、我々は無傷でしたが、旦那様から受け取ったあの密偵だった男…彼が賊の手により怪我をしてしまった事…相当根に持っていますのね…?
手荒な真似は程々にして下さいませ…奥様…アレン様を怖がらせないように…頼みますよ?」
「…………ええ、勿論、分かっていますよ
今夜だけです、明日からはちゃんと自白を受け入れます」
分かっている…分かっては居るが、我々食人花は一度自分の物だと受け入れた者に対する愛情が深い生物なのだからある程度は許して欲しい…
この屋敷に忍び込んだ賊ではあったが、あの密偵の男は既に情報を全て吐き出し、自分が犯した罪を受け入れ食人花をも受け入れた…私の息子の妻となる存在…
受け入れの準備が間もなく完了する…それまでの間、ルドレッド公爵家で過ごしていたあの男を…この武装した賊は恐らく顔を知っていたのだろう…楽しそうに暮らす彼を見て化け物の一味だと勝手に決めつけ、容赦なく斬りつけた…
人は我々と違いかなり脆い…少しの怪我が命を落とす危険にも繋がるのを分かっていながら…!!
密偵だった男は現在治療中…命に別状は無いが…それでも許せぬものは許せない…
今夜だけ、今夜だけは私の゙好きにさせてもらう
今夜は旦那様様も奥様も夜会に参加した為、地下室には入って来ず、ゆっくりと休まれる…
だからこそ、今夜だけは私の時間だ
奥様の母君の死の真相…それに近い者はここに置いて置くことで奥様の心を傷付ける為、ツヴァイ侯爵家へ送るが…それ以外は恐らくルドレッド公爵家で飼う事になる
その際も、丁寧な対応を出来るよう今のうちに自らが犯した過ちを深く反省させるべきだ
アデリナがため息をつき、尋問室を出たのを確認し、私は再び尋問と言うなの仕置きを捕らえた賊へ行った
※スパイのおじさんは既に食人花の苗床として暮らすことを自ら望んでいます
ヤジェの息子さんとスパイのおじさんは顔合わせも済んでいて、互いに互いを受け入れてる状況…
これから家族になるぞ!孫も見れるぞ!と喜んでいたヤジェにとっては賊がやって来たこととおじさんが怪我した事は本気で許せない感じになっています
食人花は自分の物と選んだ相手に対しての愛情と執着と依存が物凄く高いという補足を踏まえたエピソードでした
769
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる