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12 一番の宝物
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ドレッサーの前にフィリアを座らせると、アンナは他に二人いる侍女に指示をしながら髪を梳かしていく。
「夜会当日と同じヘアスタイルに致しますね。ヘアスタイルもメイクもドレスも全てクリフォード様とご相談させていただきたいながら決めましたので、クリフォード様もフィリア様の変わられたお姿を楽しみにしていらっしゃいますよ」
「男の方でそこまでされるのは珍しいのでは?」
「ええ、あの方は少し特別な環境でお育ちになられたので知識が豊富なのと、今回は特に拘りたいとおっしゃってました」
フィリアはクリフォードがどう育てられたのか気になったのだが、聞いてはいけない事のような気がしたので、何も聞かなかった。
アンナがフィリアの明るい茶色の髪を綺麗に編み込んでいく。これが金色の髪の毛だったら、きっともっと素敵だっただろう。
そして、ランドルフに婚約破棄と言われた時に隣にいた公爵令嬢のプラチナブロンドを思い出していた。美しい彼女はフィリアの前にクリフォードの婚約者だった。
クリフォードは彼女をどう思っていたのだろう。世間では婚約解消をされたショックでクリフォードが離宮へ引き籠もってしまったと言われている。
(噂ではあっても、どこかに真実があるから噂になるのよね)
「クリフ様は以前の婚約様にもこのようにされていらしてたのでしょうか?」
アンナの手が一度止まり、ドレッサーの鏡越しにフィリアを見つめる。
「気になりますか?」
「ええ、とてもお綺麗な方でしたし…」
「使用人の私からは言えませんが、クリフォード様の幼馴染みとしてお話をさせて頂くと、今日のようにクリフォード様が自ら女性を着飾らせようとされるのは初めての事です」
アンナの話にフィリアは安心した。他の令嬢にも同じようにされていたと知ったら、過去の事でも落ち込む。
クリフォードの笑顔は自分だけに向けられて欲しい。
「もっと言わせていただくと、前の婚約者様にドレスをお贈りさせて頂いた時は、こちらの予算をあちら様にお伝えして、お好きなドレスを選んで頂き、請求書をこちらに回していただいていました。クリフォード様はお体がお強く無いので、婚約者様と参加された夜会も少なく、前日に調子を崩されて不参加という事も多かったと私は記憶しています」
「クリフ様はあんなに細やかなお心遣いをされるお方なのに、そのようなお付き合いをされていらしたなんて意外です」
「あのご令嬢のお家は、今の王妃様のご実家と懇意にされています。それ以上は私からは申し上げられません」
今の王妃の実家、ベルマン侯爵家はギレット公爵家の派閥にある貴族で、ギレット家とは繋がりが深い。王妃が側妃になれたのも裏でギレット公爵家の後押しがあったとも言われている。
そしてクリフォードの生母である前王妃の実家はマクレーン公爵家。
今は力を失っているが、前王妃が亡くなる前はギレット公爵家と勢力を二分していたほどの有力貴族だった。
マクレーン家とギレット家は対立する事が多かったが今は違う。マクレーン家の力が弱くなってしまった事で、ギレット家に逆らえる貴族はこの国にはいなくなってしまった。
(表面上は穏やかにしていても、前王妃様のご実家と仲の悪かったお家のご令嬢はクリフ様も受け入れにくいということかしら)
「フィリア様、完成致しました」
考え事をしているうちにヘアスタイルのセットとメイクが終わっていた。
鏡を見たら普段の自分とは違う美しい令嬢がいた。髪も瞳の色も同じ色なのに雰囲気がまったく違う。
地味ではなく上品で清楚な仕上がりにフィリアは驚き、無意識に自分の頬に触れそうになり、白粉を落としてしまうと思って慌てて手を止めた。
「……これが私なの?」
「フィリア様は頭が小さく瞳が大きいので、そこを引き立つように致しました。本日はしていませんが、お肌のマッサージと髪にオイルをしっかり塗れば、もっとお美しくなられますわ」
アンナが会心の出来だと言わんばかりに満面の笑顔で答える。
伯爵家にもメイクとヘアセットの得意な侍女はいるが、フィリアはいつも派手にならないようにと薄くメイクをするように指示をしていたので、こんなにしっかりメイクをした事が無かった。
ヘアスタイルも凝った結い方をするとランドルフに貶されるので、12歳の頃からずっと無難にハーフアップにして、小さな髪飾りを着けるだけだった。今日のように編み込んだり、カールさせたりしたのは子どもの頃以来だった。
贈られたドレスに着替え、クリフォードが待つ応接室へ向かう。自分では前よりも美しくなれたと思っていても、今までと違う自分を見られるのは恥ずかしい。
「フィリア様のお着替えが終わりました」
ドアを開けたら、二人掛けソファに座って執務をしていたクリフォードが、顔を上げてドアを見たところだった。
フィリアを見ると切れ長の瞳を大きく開いて、驚いた表情を浮かべる。そして表情を崩して、嬉しそうに微笑んだ。
「絶対に変わると思ったが、ここまでとは思わなかった。美しいな、フィリア」
(美しいだなんて、初めて言われたわ)
「こちらへ」
そう言われたフィリアは自然な仕草でクリフォードの隣に座る。ダンスのレッスンの後は毎回クリフォードの隣に座ってお茶をしていたので、距離が近い事にもかなり慣れてきた。
側に控えていたイーサンが、テーブルの上に置かれた書類を片付けて、両手で持てる程度の箱をテーブルの上に置いた。
(これって、アクセサリーケースよね?)
確認するようにクリフォードを見たら優しい声で「開けてみて」と言われたので、開けてみたら大きなラピスラズリのネックレスと揃いのイヤリングが入れられていた。
「ドレスの色は我慢したのだから、これくらいはしないとね」
「これは……かなり高価なものだとお見受けするのですが」
「これは父上が母上に贈られたものなんだ。私も父上と同じ瞳だから、母上が亡くなった折に私の手元にきたので、結婚相手に贈ろうと思ってずっと持っていたんだ。母上がお持ちになられたアクセサリーの中では二番目に高価なものだと聞いている」
(前王妃様の形見のお品なんて、恐れ多すぎるわっ!)
「私などにはも、もったいないお品かと…」
「でも、私の中ではフィリアに渡すと決めた事だし、母上だってフィリアに着けてもらえるときっと喜ぶ」
(そもそも、私のたちの婚約は国の事が絡んだ政略的なもので、更に私の気持ち次第でいつでも解消ができる契約になっているのに、こんなものは頂けないわっ!)
「しかしっ、私たちは婚約してまだ3ヶ月くらいですわ。このようなものを頂くなんて早すぎますっ」
「3ヶ月ではないよ、……7年だ」
(7年って、この方は何をおっしゃっているの?)
「7年前に母上はポナー伯爵令嬢のキミを私の婚約者にしようとしていたんだ。一度王宮の庭園に呼ばれたのは覚えていない?あの時に少し離れた場所から私と母上は伯爵と庭園を散策していたフィリアを見ていたんだ。母上と似た髪の色の、すごくかわいい女の子だったから、母上にあの子がいいって伝えたんだ」
(そういえば、あったわ。突然お父様に王宮の庭園に連れられて、少し歩いて帰って来たのよね。あの時のお父様は機嫌がよろしくなかったけれど、クリフ様への顔見せって知っていらしたのね)
「あれからすぐに母上がお亡くなりになって、喪が明けたらキミとの婚約話が進むと思っていたら、いつの間に今の王妃に婚約話を持っていかれたんだ」
「それは、……全く存じ上げませんでした」
「夜会でキミを遠くから見かける度に思っていたんだ。あの時あんな事が起こらなければ、私の隣にはキミがいたのにって」
(確か前王妃様は馬車の事故でお亡くなりになったのよね。前王妃様がご存命だったら、私もランドルフ様と婚約をすることは無かったのね)
「だから、これを受け取って欲しい」
そう言ってクリフォードは、アクセサリーケースをフィリアの前へそっと寄せた。
フィリアはネックレスにそっと触れる。ここにはクリフォードの7年分の思いがあるように感じられた。
「はい、ありがたく頂戴致します。このような大切なものを本当にありがとうございます。一番の宝物に致しますわ」
「……よかった」
ホッとしたようにそう言うと、クリフォードは椅子に座ったままフィリアを抱き締めた。柑橘系の香りがふわりと香り、フィリアは顔を真っ赤に染めた。
これまで王太子とのダンスで緊張をしないようにと、クリフォードとは幾度も手を触れ合わせてきたが、抱き締められたのは初めてだった。
※申し訳ありません。
フィリアとクリフォードの婚約期間をひと月と記載してしまいましたが、3ヶ月の間違いでしたので訂正を致しました。
「夜会当日と同じヘアスタイルに致しますね。ヘアスタイルもメイクもドレスも全てクリフォード様とご相談させていただきたいながら決めましたので、クリフォード様もフィリア様の変わられたお姿を楽しみにしていらっしゃいますよ」
「男の方でそこまでされるのは珍しいのでは?」
「ええ、あの方は少し特別な環境でお育ちになられたので知識が豊富なのと、今回は特に拘りたいとおっしゃってました」
フィリアはクリフォードがどう育てられたのか気になったのだが、聞いてはいけない事のような気がしたので、何も聞かなかった。
アンナがフィリアの明るい茶色の髪を綺麗に編み込んでいく。これが金色の髪の毛だったら、きっともっと素敵だっただろう。
そして、ランドルフに婚約破棄と言われた時に隣にいた公爵令嬢のプラチナブロンドを思い出していた。美しい彼女はフィリアの前にクリフォードの婚約者だった。
クリフォードは彼女をどう思っていたのだろう。世間では婚約解消をされたショックでクリフォードが離宮へ引き籠もってしまったと言われている。
(噂ではあっても、どこかに真実があるから噂になるのよね)
「クリフ様は以前の婚約様にもこのようにされていらしてたのでしょうか?」
アンナの手が一度止まり、ドレッサーの鏡越しにフィリアを見つめる。
「気になりますか?」
「ええ、とてもお綺麗な方でしたし…」
「使用人の私からは言えませんが、クリフォード様の幼馴染みとしてお話をさせて頂くと、今日のようにクリフォード様が自ら女性を着飾らせようとされるのは初めての事です」
アンナの話にフィリアは安心した。他の令嬢にも同じようにされていたと知ったら、過去の事でも落ち込む。
クリフォードの笑顔は自分だけに向けられて欲しい。
「もっと言わせていただくと、前の婚約者様にドレスをお贈りさせて頂いた時は、こちらの予算をあちら様にお伝えして、お好きなドレスを選んで頂き、請求書をこちらに回していただいていました。クリフォード様はお体がお強く無いので、婚約者様と参加された夜会も少なく、前日に調子を崩されて不参加という事も多かったと私は記憶しています」
「クリフ様はあんなに細やかなお心遣いをされるお方なのに、そのようなお付き合いをされていらしたなんて意外です」
「あのご令嬢のお家は、今の王妃様のご実家と懇意にされています。それ以上は私からは申し上げられません」
今の王妃の実家、ベルマン侯爵家はギレット公爵家の派閥にある貴族で、ギレット家とは繋がりが深い。王妃が側妃になれたのも裏でギレット公爵家の後押しがあったとも言われている。
そしてクリフォードの生母である前王妃の実家はマクレーン公爵家。
今は力を失っているが、前王妃が亡くなる前はギレット公爵家と勢力を二分していたほどの有力貴族だった。
マクレーン家とギレット家は対立する事が多かったが今は違う。マクレーン家の力が弱くなってしまった事で、ギレット家に逆らえる貴族はこの国にはいなくなってしまった。
(表面上は穏やかにしていても、前王妃様のご実家と仲の悪かったお家のご令嬢はクリフ様も受け入れにくいということかしら)
「フィリア様、完成致しました」
考え事をしているうちにヘアスタイルのセットとメイクが終わっていた。
鏡を見たら普段の自分とは違う美しい令嬢がいた。髪も瞳の色も同じ色なのに雰囲気がまったく違う。
地味ではなく上品で清楚な仕上がりにフィリアは驚き、無意識に自分の頬に触れそうになり、白粉を落としてしまうと思って慌てて手を止めた。
「……これが私なの?」
「フィリア様は頭が小さく瞳が大きいので、そこを引き立つように致しました。本日はしていませんが、お肌のマッサージと髪にオイルをしっかり塗れば、もっとお美しくなられますわ」
アンナが会心の出来だと言わんばかりに満面の笑顔で答える。
伯爵家にもメイクとヘアセットの得意な侍女はいるが、フィリアはいつも派手にならないようにと薄くメイクをするように指示をしていたので、こんなにしっかりメイクをした事が無かった。
ヘアスタイルも凝った結い方をするとランドルフに貶されるので、12歳の頃からずっと無難にハーフアップにして、小さな髪飾りを着けるだけだった。今日のように編み込んだり、カールさせたりしたのは子どもの頃以来だった。
贈られたドレスに着替え、クリフォードが待つ応接室へ向かう。自分では前よりも美しくなれたと思っていても、今までと違う自分を見られるのは恥ずかしい。
「フィリア様のお着替えが終わりました」
ドアを開けたら、二人掛けソファに座って執務をしていたクリフォードが、顔を上げてドアを見たところだった。
フィリアを見ると切れ長の瞳を大きく開いて、驚いた表情を浮かべる。そして表情を崩して、嬉しそうに微笑んだ。
「絶対に変わると思ったが、ここまでとは思わなかった。美しいな、フィリア」
(美しいだなんて、初めて言われたわ)
「こちらへ」
そう言われたフィリアは自然な仕草でクリフォードの隣に座る。ダンスのレッスンの後は毎回クリフォードの隣に座ってお茶をしていたので、距離が近い事にもかなり慣れてきた。
側に控えていたイーサンが、テーブルの上に置かれた書類を片付けて、両手で持てる程度の箱をテーブルの上に置いた。
(これって、アクセサリーケースよね?)
確認するようにクリフォードを見たら優しい声で「開けてみて」と言われたので、開けてみたら大きなラピスラズリのネックレスと揃いのイヤリングが入れられていた。
「ドレスの色は我慢したのだから、これくらいはしないとね」
「これは……かなり高価なものだとお見受けするのですが」
「これは父上が母上に贈られたものなんだ。私も父上と同じ瞳だから、母上が亡くなった折に私の手元にきたので、結婚相手に贈ろうと思ってずっと持っていたんだ。母上がお持ちになられたアクセサリーの中では二番目に高価なものだと聞いている」
(前王妃様の形見のお品なんて、恐れ多すぎるわっ!)
「私などにはも、もったいないお品かと…」
「でも、私の中ではフィリアに渡すと決めた事だし、母上だってフィリアに着けてもらえるときっと喜ぶ」
(そもそも、私のたちの婚約は国の事が絡んだ政略的なもので、更に私の気持ち次第でいつでも解消ができる契約になっているのに、こんなものは頂けないわっ!)
「しかしっ、私たちは婚約してまだ3ヶ月くらいですわ。このようなものを頂くなんて早すぎますっ」
「3ヶ月ではないよ、……7年だ」
(7年って、この方は何をおっしゃっているの?)
「7年前に母上はポナー伯爵令嬢のキミを私の婚約者にしようとしていたんだ。一度王宮の庭園に呼ばれたのは覚えていない?あの時に少し離れた場所から私と母上は伯爵と庭園を散策していたフィリアを見ていたんだ。母上と似た髪の色の、すごくかわいい女の子だったから、母上にあの子がいいって伝えたんだ」
(そういえば、あったわ。突然お父様に王宮の庭園に連れられて、少し歩いて帰って来たのよね。あの時のお父様は機嫌がよろしくなかったけれど、クリフ様への顔見せって知っていらしたのね)
「あれからすぐに母上がお亡くなりになって、喪が明けたらキミとの婚約話が進むと思っていたら、いつの間に今の王妃に婚約話を持っていかれたんだ」
「それは、……全く存じ上げませんでした」
「夜会でキミを遠くから見かける度に思っていたんだ。あの時あんな事が起こらなければ、私の隣にはキミがいたのにって」
(確か前王妃様は馬車の事故でお亡くなりになったのよね。前王妃様がご存命だったら、私もランドルフ様と婚約をすることは無かったのね)
「だから、これを受け取って欲しい」
そう言ってクリフォードは、アクセサリーケースをフィリアの前へそっと寄せた。
フィリアはネックレスにそっと触れる。ここにはクリフォードの7年分の思いがあるように感じられた。
「はい、ありがたく頂戴致します。このような大切なものを本当にありがとうございます。一番の宝物に致しますわ」
「……よかった」
ホッとしたようにそう言うと、クリフォードは椅子に座ったままフィリアを抱き締めた。柑橘系の香りがふわりと香り、フィリアは顔を真っ赤に染めた。
これまで王太子とのダンスで緊張をしないようにと、クリフォードとは幾度も手を触れ合わせてきたが、抱き締められたのは初めてだった。
※申し訳ありません。
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