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13 夜会1
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夜会当日はポナー家にアンナが来てくれて朝からフィリアの支度を手伝ってくれた。
メイクやヘアセットをしながら、アンナは伯爵家の侍女達にフィリアの肌質や髪質を考えた上で、似合うヘアスタイルやメイクの色を説明しながらフィリアを美しく作り上げていく。
(マッサージをした後だとメイクの乗り方が違うわ。アンナって本当にすごい)
「フィリア様は元のお顔立ちも整っていらっしゃいますし、お肌も透き通るように白くて綺麗ですから、磨き甲斐がありますわ」
アンナはメイクをしながら嬉しそうにそう話す。
(夜会でクリフ様にお会い出来ないのが残念だわ)
「少し早めに出て、夜会の前にクリフ様にご挨拶は出来ないかしら?」
するとアンナは残念そうに眉を下げた。
「……クリフォード様に今のお姿をご覧になって頂きたいですよね。申し訳ございませんが、クリフォード様は昨夜熱が少し高くなってしまいまして、朝になり熱は下がられたのですが、ベッドで過ごしていらっしゃるので、お会いにはなれないと思います」
「まあ、大変。お見舞いに行かないといけないわ。伺えるようになったら教えて」
「かしこまりました。主には私からよろしくお伝え致します」
元々病弱だったのに、毒のせいで麻痺まで残ってしまった身体のクリフォードは、フィリアの知らないところで辛い思いをしているのかもしれない。そう思うとフィリアの胸が痛んだ。
(迂闊だったわ。私とお会いしている時にお声はいつもお元気そうなのに、顔色が悪そうな時や、目の下にクマがあった時もあったわ。婚約者としてクリフ様の体調の事をもっと考えないといけないわ)
フィリアは夜会が終わったら、すぐにお見舞の手紙を書こうと思った。
玄関ホールではポナー伯爵とイーサンが盛装をして待っていた。子爵令息のイーサンは、今日はフィリアの護衛代わりに夜会中は付かず離れずの距離で近くにいてくれる予定だ。
「ドレスはあの若造が選んだと思うと気に入らないが、フィリアによく似合っている」
「主より、王太子殿下以外のダンスのお誘いは断って構わないとの伝言を承っております」
馬車に揺られて王宮へ向かう。外套を着てきたイーサンは御者の隣に座ると言って馬車の中に入る事を固辞するので、フィリアは伯爵と二人で馬車に入った。父親と馬車に乗って出掛けるなんて何年振りだろう。
「宝石もあいつから贈られたのか?」
伯爵は商売人としてフィリアのアクセサリーが気になったようだった。
「はい、前王妃様の形見だとおっしゃっていました」
「知っている。お前の着けているネックレスとイヤリングは、陛下がポナー商会を通して、婚約発表の時に前王妃様がお着けになるものとして購入したものだった。あの時のものがまさか同じ婚約発表の場で、自分を娘が着ける事になるとは思わなかった。因果なものだ」
「まあ、それは知りませんでした」
「あの後、更にグレートの高いものも購入されたが、あの若造の手元にはいかなかったのだな」
「そういえば前王妃様のお持ちのもので二番目に良いものとおっしゃっていましたわ」
「おそらくそちらは長男に持っていかれたのだろう。あの若造はいつも長男にいいように使われているからな」
(馬車の中だから外のイーサンには聞こえていないと思うけれど、もしも聞こえてたらと思うと怖いわ)
「それに二番目に高いといっても、陛下が個人的に購入されたものの中でだからな。王家に代々伝わる宝石類は、お前が今着けているものとは比べられられないほどの値打ちのある物がいくつもあるのに、そのラピスラズリを弟に渡すとは、あの長男は抜け目がない」
「陛下がポナー商会から購入されたもので、一番のものはどのようなものですの?」
「大粒のダイヤのネックレスとイヤリング、指輪のセットだ。揃いでカフスとクラバットピンも作った」
「凄いものをお作りになられたのですね。でも私は、こちらのものをとても気に入っていますの」
フィリアは嬉しそう微笑みながらネックレスに触れた。
「あの若造は婚約を願い出た時に、お前に貴族令嬢としての自信を取り戻させると言っていたが、上手くいっているのだな」
「はい。今夜の夜会で社交界での私の評判を変えたいとおっしゃって下さいました。どうなるかは分かりませんが、私はそのお気持ちが嬉しかったのです」
「そうか……」
そう言ったきり伯爵との会話は途切れ、静かなまま馬車は王宮に着いた。
内宮へ入るとフィリアは伯爵とは別の控室に案内される。伯爵は一般の貴族と同じタイミングで入場するが、今日のフィリアはクリフォードの婚約者として紹介されるので、王族と一緒に入場することになり、国王のスピーチの後は王太子とファーストダンスを踊る流れになっている。
狭い控室で一人で待機していたフィリアは、王宮の侍女に呼ばれたのでホールへ向かう。招待された貴族の入場は終わって、ドアの向こう側で皆が王族の入場を待っている。
フィリアは早めに呼ばれたらしく、まだ誰も来ていなかった。
ランドルフと婚約をした時はデビュー前だったので、今の王妃が規模の大きいお茶会を開いた時に、婚約者として紹介された。なので夜会で王族と共に入場をするのはフィリアは初めてだった。
緊張しながら待っていたら、王太子がやって来た。もっと遅く来ると思っていたフィリアはあわててカーテシーをする。
「クリフォードの兄のフレデリックだ」
「お初にお目にかかります。ポナー伯爵が娘のフィリアと申します。本日は殿下のファーストダンスのお相手という栄誉を賜り、誠に光栄に存じます」
「ああ、私も弟の代わりとして誠心誠意、勤めようと思う」
低くゆっくりとした話し方は、どこか王者の風格を感じさせるものがあった。両親が同じ兄弟だからか、声の質感はクリフォードに似ている。
フレデリックからの言葉はそれ以上無く、フィリアも王太子殿下と話すなんて恐れ多いと考えているので無言の時間が過ぎていく。
先日廊下で声を掛けた事を王太子が覚えていないようなのでフィリアは安心した。ここであの話題を出されたら、フィリアはきっと、ダンスを踊る事なんて出来なくなってしまう。
フレデリックは何の表情を浮かべずに、静かに目の前のドアを見ている。背が高く背筋もしっかりと伸びているので、ただ立っているだけでも絵になる。
しばらくすると、国王と王妃とランドルフが一緒にやってきた。
国王の黒い髪の中には白いものが幾分混ざっていたが、壮健そうで、ロイヤルブルーの瞳は王太子やクリフォードと同じ色をしている。
王妃は成人した子供がいるなんて思えないほどに若々しくて美しい。髪と瞳の色も顔立ちもランドルフにそっくりだった。
フィリアを見たランドルフが驚いた表情を浮かべているのが視界の隅に見えたが、見なかったことにして、フィリアはカーテシーをする。
「久し振りだな、ポナー伯爵令嬢。見違えたように変わったので驚いたぞ」
フィリアは国王に間近で会うのはランドルフと婚約をした12歳の時以来なので、子供が大人に成長したと言いたかったのかもしれない。6年振りなので、以前のフィリアの姿を憶えていない可能性も高い。
「我が王国が太陽の陛下におかれましては、ご健勝との事とお聞きしております。今後もエルデン王国の更なる発展の為に、一貴族として、励んでいきたいと思っております」
「まあ、随分と頼もしい事。ポナー伯爵にもよろしくお伝えしてね」
王妃が扇子を口許に当てながら優雅にフィリアを見る。ランドルフと婚約解消をして縁が切れてしまったせいか、以前会った時よりも刺々しい言い方だった。
「陛下、お時間です」
そうして扉が開かれて、夜会が始まった。
メイクやヘアセットをしながら、アンナは伯爵家の侍女達にフィリアの肌質や髪質を考えた上で、似合うヘアスタイルやメイクの色を説明しながらフィリアを美しく作り上げていく。
(マッサージをした後だとメイクの乗り方が違うわ。アンナって本当にすごい)
「フィリア様は元のお顔立ちも整っていらっしゃいますし、お肌も透き通るように白くて綺麗ですから、磨き甲斐がありますわ」
アンナはメイクをしながら嬉しそうにそう話す。
(夜会でクリフ様にお会い出来ないのが残念だわ)
「少し早めに出て、夜会の前にクリフ様にご挨拶は出来ないかしら?」
するとアンナは残念そうに眉を下げた。
「……クリフォード様に今のお姿をご覧になって頂きたいですよね。申し訳ございませんが、クリフォード様は昨夜熱が少し高くなってしまいまして、朝になり熱は下がられたのですが、ベッドで過ごしていらっしゃるので、お会いにはなれないと思います」
「まあ、大変。お見舞いに行かないといけないわ。伺えるようになったら教えて」
「かしこまりました。主には私からよろしくお伝え致します」
元々病弱だったのに、毒のせいで麻痺まで残ってしまった身体のクリフォードは、フィリアの知らないところで辛い思いをしているのかもしれない。そう思うとフィリアの胸が痛んだ。
(迂闊だったわ。私とお会いしている時にお声はいつもお元気そうなのに、顔色が悪そうな時や、目の下にクマがあった時もあったわ。婚約者としてクリフ様の体調の事をもっと考えないといけないわ)
フィリアは夜会が終わったら、すぐにお見舞の手紙を書こうと思った。
玄関ホールではポナー伯爵とイーサンが盛装をして待っていた。子爵令息のイーサンは、今日はフィリアの護衛代わりに夜会中は付かず離れずの距離で近くにいてくれる予定だ。
「ドレスはあの若造が選んだと思うと気に入らないが、フィリアによく似合っている」
「主より、王太子殿下以外のダンスのお誘いは断って構わないとの伝言を承っております」
馬車に揺られて王宮へ向かう。外套を着てきたイーサンは御者の隣に座ると言って馬車の中に入る事を固辞するので、フィリアは伯爵と二人で馬車に入った。父親と馬車に乗って出掛けるなんて何年振りだろう。
「宝石もあいつから贈られたのか?」
伯爵は商売人としてフィリアのアクセサリーが気になったようだった。
「はい、前王妃様の形見だとおっしゃっていました」
「知っている。お前の着けているネックレスとイヤリングは、陛下がポナー商会を通して、婚約発表の時に前王妃様がお着けになるものとして購入したものだった。あの時のものがまさか同じ婚約発表の場で、自分を娘が着ける事になるとは思わなかった。因果なものだ」
「まあ、それは知りませんでした」
「あの後、更にグレートの高いものも購入されたが、あの若造の手元にはいかなかったのだな」
「そういえば前王妃様のお持ちのもので二番目に良いものとおっしゃっていましたわ」
「おそらくそちらは長男に持っていかれたのだろう。あの若造はいつも長男にいいように使われているからな」
(馬車の中だから外のイーサンには聞こえていないと思うけれど、もしも聞こえてたらと思うと怖いわ)
「それに二番目に高いといっても、陛下が個人的に購入されたものの中でだからな。王家に代々伝わる宝石類は、お前が今着けているものとは比べられられないほどの値打ちのある物がいくつもあるのに、そのラピスラズリを弟に渡すとは、あの長男は抜け目がない」
「陛下がポナー商会から購入されたもので、一番のものはどのようなものですの?」
「大粒のダイヤのネックレスとイヤリング、指輪のセットだ。揃いでカフスとクラバットピンも作った」
「凄いものをお作りになられたのですね。でも私は、こちらのものをとても気に入っていますの」
フィリアは嬉しそう微笑みながらネックレスに触れた。
「あの若造は婚約を願い出た時に、お前に貴族令嬢としての自信を取り戻させると言っていたが、上手くいっているのだな」
「はい。今夜の夜会で社交界での私の評判を変えたいとおっしゃって下さいました。どうなるかは分かりませんが、私はそのお気持ちが嬉しかったのです」
「そうか……」
そう言ったきり伯爵との会話は途切れ、静かなまま馬車は王宮に着いた。
内宮へ入るとフィリアは伯爵とは別の控室に案内される。伯爵は一般の貴族と同じタイミングで入場するが、今日のフィリアはクリフォードの婚約者として紹介されるので、王族と一緒に入場することになり、国王のスピーチの後は王太子とファーストダンスを踊る流れになっている。
狭い控室で一人で待機していたフィリアは、王宮の侍女に呼ばれたのでホールへ向かう。招待された貴族の入場は終わって、ドアの向こう側で皆が王族の入場を待っている。
フィリアは早めに呼ばれたらしく、まだ誰も来ていなかった。
ランドルフと婚約をした時はデビュー前だったので、今の王妃が規模の大きいお茶会を開いた時に、婚約者として紹介された。なので夜会で王族と共に入場をするのはフィリアは初めてだった。
緊張しながら待っていたら、王太子がやって来た。もっと遅く来ると思っていたフィリアはあわててカーテシーをする。
「クリフォードの兄のフレデリックだ」
「お初にお目にかかります。ポナー伯爵が娘のフィリアと申します。本日は殿下のファーストダンスのお相手という栄誉を賜り、誠に光栄に存じます」
「ああ、私も弟の代わりとして誠心誠意、勤めようと思う」
低くゆっくりとした話し方は、どこか王者の風格を感じさせるものがあった。両親が同じ兄弟だからか、声の質感はクリフォードに似ている。
フレデリックからの言葉はそれ以上無く、フィリアも王太子殿下と話すなんて恐れ多いと考えているので無言の時間が過ぎていく。
先日廊下で声を掛けた事を王太子が覚えていないようなのでフィリアは安心した。ここであの話題を出されたら、フィリアはきっと、ダンスを踊る事なんて出来なくなってしまう。
フレデリックは何の表情を浮かべずに、静かに目の前のドアを見ている。背が高く背筋もしっかりと伸びているので、ただ立っているだけでも絵になる。
しばらくすると、国王と王妃とランドルフが一緒にやってきた。
国王の黒い髪の中には白いものが幾分混ざっていたが、壮健そうで、ロイヤルブルーの瞳は王太子やクリフォードと同じ色をしている。
王妃は成人した子供がいるなんて思えないほどに若々しくて美しい。髪と瞳の色も顔立ちもランドルフにそっくりだった。
フィリアを見たランドルフが驚いた表情を浮かべているのが視界の隅に見えたが、見なかったことにして、フィリアはカーテシーをする。
「久し振りだな、ポナー伯爵令嬢。見違えたように変わったので驚いたぞ」
フィリアは国王に間近で会うのはランドルフと婚約をした12歳の時以来なので、子供が大人に成長したと言いたかったのかもしれない。6年振りなので、以前のフィリアの姿を憶えていない可能性も高い。
「我が王国が太陽の陛下におかれましては、ご健勝との事とお聞きしております。今後もエルデン王国の更なる発展の為に、一貴族として、励んでいきたいと思っております」
「まあ、随分と頼もしい事。ポナー伯爵にもよろしくお伝えしてね」
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