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19 誘拐1
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劇場前の茶番劇からひと月ほど経とうとしたその日、お見舞いと称して来てくれたフィリアをベッドの上から見送った後、クリフォードは床に寝そべり、筋力を保つ為のトレーニングを始める。
兄からの指示とはいえ、1年近くも狭い離宮の中で車椅子生活を強いられてきたのだ。鍛えられる時に鍛えておかず、肝心な時に動けなくのは御免だとクリフォードは思っている。
クリフォードがひねりをを入れて腹筋に負荷を掛けて鍛えていた時に、イーサンが寝室へ入ってきた。
「執務が無いと鍛える事くらいしかやることが無くなりますね」
「お前も執務補佐の仕事が無くなって暇だろう。夜はダンスホールで剣術の鍛錬に付き合え」
「承知しました。執務があると書類相手にクリフォード様と一緒に徹夜だし、執務が無いと毎晩のようにダンスホールに呼び出しですもんね。夜勤手当ても欲しいですよ、俺」
クリフォードは体を反転させると今度は腕を鍛え始める。
「俺も執務は側近にやらせろって思うが、最近は父上が兄上に自分の仕事を押し付けるようになったらしい」
「うわっ、それで皺寄せがこちらにきてるって事ですか……クリフォード様もやらないといけない事が多いのに。俺なんて忙し過ぎて婚約者も作れないんですよ」
「ああ、それは俺も申し訳ないと思ってる。お前にもアンナにも婚約者を紹介したいが、こちらは油断をすると殺されかけるからな。下手な相手を選ぶと、あちらに取り込まれて寝首をかかれるぞ」
「怖っ、……それにしても最近静かですね。あの人たち」
「俺の方に何かすると思っていたのだが、待っていても何も無いな。離宮から出て仕掛けたいけれど、兄上から許可が降りない」
「あの方にとってクリフォード様は切り札ですからね。大切にしたいのでしょう」
その時窓辺からコツンと何かが窓に当たる音がした。
イーサンが窓を開けると、庭師の格好をした男が立っていた。彼は劇場での茶番でクリフォードを刺した男だ。普段はクリフォードの為に影として動いてくれている。
今日は帰宅中のフィリアを守らせていたが、伯爵邸まで往復をしたにしては戻りが早い。
そして普段姿を見せない彼がこうして白昼堂々と姿を見せるのは緊急時のみ。
「グレン、何があった?」
クリフォードが室内から鋭くグレンと呼ばれた男に声を掛けてテラスへと出る。車椅子に座っていない時は窓に近付く事すらしないのだが、今のクリフォードにとってそんな事は些細な事だった。
「申し訳ございません。帰宅途中のポナー令嬢が攫われました」
瞳を大きく見開いたまま、クリフォードの顔から表情が消える。
「フィリアが攫われた時、お前たちは何をしていた?」
「ぐっ…」
「おやめ下さいっ、クリフォード様っ!」
足音も立てずにクリフォードはグレンの前に立ち、いつの間に手にしていたナイフをグレンの首元に当てていた。
「………」
無言で殺気を放ちながらグレンにナイフを押し当てるクリフォードを見て、イーサンが話を進めていく。
「お前と一緒に付いていたヘクターとホレスは?」
「……二人は、馬でポナー令嬢を攫った馬車を追っています。馬車は西へ向かいました」
「王都の西隣はギレット公爵領か。ギレット公爵領よりも更に向こうへ行かれたら厄介だな。王都にいる可能性も捨てきれないし、街道を通って王都を出たのなら、関所を通るハズだ。王太子殿下にお願いをして、関所を通った全ての馬車に関する情報を集めろ」
イーサンはグレンに指示を出しながらクリフォードに近づくと、ゆっくりとナイフを取り上げる。クリフォードは力が抜けたようにその場に座り込んでしまう。
動かなくなったクリフォードに代わって、イーサンが話を続ける。
「賊と馬車の特徴は?」
「馬車は紋章の無い黒塗り、賊は10人程度で動きが素人でした。破落戸と思われます。先にポナーの馬車を押さえられてしまったので、こちらからは手が出せませんでした」
「フィリア様のお側にも護衛を置くべきだったな。馬車ごと攫われたのなら、金目当てで襲われたのか、……人身売買目的の線もあるな。殿下の側近は優秀だから、馬車が襲われた場所の近隣で人攫いや馬車荒らしが出没していないかも調べてもらえ」
「御意」
そう言うとグレンは二人の前から消えた。
クリフォードは固まったまま動かない。
イーサンも膝を付くと、クリフォードの両肩を掴んでその顔を見つめた。
「フィリア様はきっとご無事です。殺しが目的でしたらわざわざ攫うような真似はしません。ヘクター達からの連絡を待ちましょう」
「……母上は馬車の事故で殺されたんだ。今回も馬車が、谷底へ向かわなかったなんて保証はどこにも、無い」
クリフォードが蒼白な顔でポツリと呟く。言葉にはいつものような力が無い。イーサンはクリフォードの腑抜けの演技は幾度も見てきたが、素でこうなった彼を見たのは、前王妃が亡くなった時以来だった。
「王妃様の件と今回は違います。あの時は証拠が何ひとつ残されず、護衛も影も全員殺されました。今回は素人臭さが目立ちます。あの時とは状況も犯人も違います」
「…でも、もしも駄目だったら?フィリアのいない世界で、俺はどうやって生きていけばいい?」
泣きそうな表情を浮かべるクリフォードに、イーサンは内心で舌打ちをしつつ、兄が弟に言い聞かせるように話す。
「そうならないために俺達は最善を尽くす。危なくなったらヘクター達が必ずフィリア様を守るハズだ。お前は俺たちの主だろう?先を考える事を怖がり、役目を放棄しては駄目だ。俺たちはいつでも動けるようにしている。だから今は、クリフがフィリア様を助ける為に俺たちを動かすんだ」
イーサンは立ち上がった。しかしクリフォードは俯いたままだ。
「あなたがそこに座っていたければそうしていればいい。俺はいつでも出れるように着替えてきます」
そう言い放つと、イーサンは一旦クリフォードの前から離れた。
準備を終えたイーサンが再びクリフォードの前に戻ってきた時にはいつもの彼に戻っていて、動きやすい黒の上下の服に着替えていた。
「まだ陽があるのに黒は少し目立ちませんか?……っていうかクリフ様も来るんですか?」
「向こうに着くのは夕方か夜だから黒の方がいいだろう。今夜中に俺が決着をつける。マントは草色にするから、黒で問題があればこれで誤魔化す」
「俺はあなたには現場に行ってもらうよりも、ここで指揮をして欲しいんですけどね」
ため息をつくイーサンに、クリフォードは小さく折り畳まれていたと思われる紙片を見せる。
「お前が部屋を出てすぐに鳥が運んできた。これが今回の兄上の計画だ。この計画だと俺が現場に行く事が最重要課題になる」
イーサンは渡された紙片に書かれた内容を確認して、微妙な表情を浮かべる。
「あの方もよくこんな事を思いつきますね。それにこの計画だと犯人はギレットで決定じゃないですか。ギレットにしては仕事が雑過ぎません?」
「兄は兄であの家を張っていたから、何か動きがあったのだろう。ギレットの間者に毒を飲まされた事を相当根に持っていたしな」
その時、また窓の方からコツンと音がしたので窓を開けるとグレンが立っていた。
「場所の特定と馬の準備が整いました。場所はギレット公爵領ルフト地区の公爵家所有の隠れ家。王都を出てすぐの土地なので、馬を急がせば一刻もあれば行けます。ヘクターの報告では、ポナー令嬢は薬で眠らせられているらしく、起きるまでに少し時間が稼げそうです」
クリフォードは、イーサンに見せた王太子からの書き付けをグレンにも見せる。グレンは素早く目を通してからクリフォードに返した。
「……グレン、先ほどは取り乱し、お前に当たってしまい済まなかった」
そう言ってクリフォードは頭を下げた。
「あれくらい気にしていませんって。あなたに頭を下げられるのは気持ちが悪いのでやめて下さい。それより、ポナー家の影も動いているようです。ヘクターがあちらと連携を取りたがっているのですが、情報を共有してもいいですか?」
「ああ、よろしく伝えてくれ。俺たちはフィリアを救出する事に専念する。表の事は全て兄上が押さえてくれる手筈になっている。俺とイーサンが出発次第、兄上の方で騎士団を動かすのでグレン、兄上への連絡も頼む。それと動ける者がいたらルフトへの応援に向かわせろ。イーサン、出るぞ」
「御意」
クリフォードはマントを羽織ると、窓から庭に出て、イーサンと共に水の枯れた古井戸へと向かう。
古井戸の底には、密かに掘られた横穴があり、それを進むと王宮の外へ出られるようになっている。
兄からの指示とはいえ、1年近くも狭い離宮の中で車椅子生活を強いられてきたのだ。鍛えられる時に鍛えておかず、肝心な時に動けなくのは御免だとクリフォードは思っている。
クリフォードがひねりをを入れて腹筋に負荷を掛けて鍛えていた時に、イーサンが寝室へ入ってきた。
「執務が無いと鍛える事くらいしかやることが無くなりますね」
「お前も執務補佐の仕事が無くなって暇だろう。夜はダンスホールで剣術の鍛錬に付き合え」
「承知しました。執務があると書類相手にクリフォード様と一緒に徹夜だし、執務が無いと毎晩のようにダンスホールに呼び出しですもんね。夜勤手当ても欲しいですよ、俺」
クリフォードは体を反転させると今度は腕を鍛え始める。
「俺も執務は側近にやらせろって思うが、最近は父上が兄上に自分の仕事を押し付けるようになったらしい」
「うわっ、それで皺寄せがこちらにきてるって事ですか……クリフォード様もやらないといけない事が多いのに。俺なんて忙し過ぎて婚約者も作れないんですよ」
「ああ、それは俺も申し訳ないと思ってる。お前にもアンナにも婚約者を紹介したいが、こちらは油断をすると殺されかけるからな。下手な相手を選ぶと、あちらに取り込まれて寝首をかかれるぞ」
「怖っ、……それにしても最近静かですね。あの人たち」
「俺の方に何かすると思っていたのだが、待っていても何も無いな。離宮から出て仕掛けたいけれど、兄上から許可が降りない」
「あの方にとってクリフォード様は切り札ですからね。大切にしたいのでしょう」
その時窓辺からコツンと何かが窓に当たる音がした。
イーサンが窓を開けると、庭師の格好をした男が立っていた。彼は劇場での茶番でクリフォードを刺した男だ。普段はクリフォードの為に影として動いてくれている。
今日は帰宅中のフィリアを守らせていたが、伯爵邸まで往復をしたにしては戻りが早い。
そして普段姿を見せない彼がこうして白昼堂々と姿を見せるのは緊急時のみ。
「グレン、何があった?」
クリフォードが室内から鋭くグレンと呼ばれた男に声を掛けてテラスへと出る。車椅子に座っていない時は窓に近付く事すらしないのだが、今のクリフォードにとってそんな事は些細な事だった。
「申し訳ございません。帰宅途中のポナー令嬢が攫われました」
瞳を大きく見開いたまま、クリフォードの顔から表情が消える。
「フィリアが攫われた時、お前たちは何をしていた?」
「ぐっ…」
「おやめ下さいっ、クリフォード様っ!」
足音も立てずにクリフォードはグレンの前に立ち、いつの間に手にしていたナイフをグレンの首元に当てていた。
「………」
無言で殺気を放ちながらグレンにナイフを押し当てるクリフォードを見て、イーサンが話を進めていく。
「お前と一緒に付いていたヘクターとホレスは?」
「……二人は、馬でポナー令嬢を攫った馬車を追っています。馬車は西へ向かいました」
「王都の西隣はギレット公爵領か。ギレット公爵領よりも更に向こうへ行かれたら厄介だな。王都にいる可能性も捨てきれないし、街道を通って王都を出たのなら、関所を通るハズだ。王太子殿下にお願いをして、関所を通った全ての馬車に関する情報を集めろ」
イーサンはグレンに指示を出しながらクリフォードに近づくと、ゆっくりとナイフを取り上げる。クリフォードは力が抜けたようにその場に座り込んでしまう。
動かなくなったクリフォードに代わって、イーサンが話を続ける。
「賊と馬車の特徴は?」
「馬車は紋章の無い黒塗り、賊は10人程度で動きが素人でした。破落戸と思われます。先にポナーの馬車を押さえられてしまったので、こちらからは手が出せませんでした」
「フィリア様のお側にも護衛を置くべきだったな。馬車ごと攫われたのなら、金目当てで襲われたのか、……人身売買目的の線もあるな。殿下の側近は優秀だから、馬車が襲われた場所の近隣で人攫いや馬車荒らしが出没していないかも調べてもらえ」
「御意」
そう言うとグレンは二人の前から消えた。
クリフォードは固まったまま動かない。
イーサンも膝を付くと、クリフォードの両肩を掴んでその顔を見つめた。
「フィリア様はきっとご無事です。殺しが目的でしたらわざわざ攫うような真似はしません。ヘクター達からの連絡を待ちましょう」
「……母上は馬車の事故で殺されたんだ。今回も馬車が、谷底へ向かわなかったなんて保証はどこにも、無い」
クリフォードが蒼白な顔でポツリと呟く。言葉にはいつものような力が無い。イーサンはクリフォードの腑抜けの演技は幾度も見てきたが、素でこうなった彼を見たのは、前王妃が亡くなった時以来だった。
「王妃様の件と今回は違います。あの時は証拠が何ひとつ残されず、護衛も影も全員殺されました。今回は素人臭さが目立ちます。あの時とは状況も犯人も違います」
「…でも、もしも駄目だったら?フィリアのいない世界で、俺はどうやって生きていけばいい?」
泣きそうな表情を浮かべるクリフォードに、イーサンは内心で舌打ちをしつつ、兄が弟に言い聞かせるように話す。
「そうならないために俺達は最善を尽くす。危なくなったらヘクター達が必ずフィリア様を守るハズだ。お前は俺たちの主だろう?先を考える事を怖がり、役目を放棄しては駄目だ。俺たちはいつでも動けるようにしている。だから今は、クリフがフィリア様を助ける為に俺たちを動かすんだ」
イーサンは立ち上がった。しかしクリフォードは俯いたままだ。
「あなたがそこに座っていたければそうしていればいい。俺はいつでも出れるように着替えてきます」
そう言い放つと、イーサンは一旦クリフォードの前から離れた。
準備を終えたイーサンが再びクリフォードの前に戻ってきた時にはいつもの彼に戻っていて、動きやすい黒の上下の服に着替えていた。
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「あの方もよくこんな事を思いつきますね。それにこの計画だと犯人はギレットで決定じゃないですか。ギレットにしては仕事が雑過ぎません?」
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その時、また窓の方からコツンと音がしたので窓を開けるとグレンが立っていた。
「場所の特定と馬の準備が整いました。場所はギレット公爵領ルフト地区の公爵家所有の隠れ家。王都を出てすぐの土地なので、馬を急がせば一刻もあれば行けます。ヘクターの報告では、ポナー令嬢は薬で眠らせられているらしく、起きるまでに少し時間が稼げそうです」
クリフォードは、イーサンに見せた王太子からの書き付けをグレンにも見せる。グレンは素早く目を通してからクリフォードに返した。
「……グレン、先ほどは取り乱し、お前に当たってしまい済まなかった」
そう言ってクリフォードは頭を下げた。
「あれくらい気にしていませんって。あなたに頭を下げられるのは気持ちが悪いのでやめて下さい。それより、ポナー家の影も動いているようです。ヘクターがあちらと連携を取りたがっているのですが、情報を共有してもいいですか?」
「ああ、よろしく伝えてくれ。俺たちはフィリアを救出する事に専念する。表の事は全て兄上が押さえてくれる手筈になっている。俺とイーサンが出発次第、兄上の方で騎士団を動かすのでグレン、兄上への連絡も頼む。それと動ける者がいたらルフトへの応援に向かわせろ。イーサン、出るぞ」
「御意」
クリフォードはマントを羽織ると、窓から庭に出て、イーサンと共に水の枯れた古井戸へと向かう。
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