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臆病者の恋
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――お前とは、厭だ。
またこの言葉だ。さっきまで肌に触れる度にびくびくと身体を震わせて気持ちよさそうな反応を見せていたのに、突然涼介は身体を丸め、脚を抱え込み、全身で俺への拒絶を示していた。
「俺のこと、そんなに嫌いか……」
俺は四つ這いのまま項垂れ、涼介の肉の薄い尖った肩に額を押し付けた。
それまで余裕綽々な態度だったのに急に恥ずかしがり始めたときは、興奮しすぎて死ぬかと思った。キスだって軽い物で済ませておこうと思っていたのに、やたらと初々しい反応に、つい調子に乗って舌まで入れてしまった。あまりにも初心なもんだから「繁華街まで男に抱かれにいく」というのは脳内設定か何かなのでは、と疑ったぐらいだ。ていうか、まだ疑っている。
昨日の試しで、これならきっと抱けると思った。俺が相手になってあげられれば、涼介だっていちいち危険な橋を渡らなくていい。そう思ってのことだったが、今は違う。
今は、ただ抱きたい。涼介を俺の下でよがらせたい。あの表情に乏しい顔を羞恥に染めさせて、殺しきれない声を漏らさせて――俺を求めて欲しい。
何だ、そうか。
「……お前のこと、好きなんだ」
今の自分の気持ちに名前をつけるなら、恋だ。俺は肩に額ずいたままそう囁き、カーゴパンツの下で爆発寸前の勃起を涼介の腰骨に擦り付けた。涼介の身体がびくりと揺れた。掠れた声が触れた肉を通して伝わる。
「――何で」
「好きなんだ」
俺は馬鹿の一つ覚えのようにただ繰り返す。だから、嫌わないで。せめて、お前を抱く男の一人としてでもいいから俺を受け入れて欲しい。譫言のように囁きかける。
「……性欲と恋情を履き違えていないか?」
拒絶の言葉を紡ぐ涼介の声は優しかった。俺は額をつけたままを頭を振る。正直に言えば分からない。だが、見知らぬ者に対してならいざ知らず、大好きな友達に身が焦がれるほど欲情するなら、そこに区別など必要だろうか。
涼介の身体が身じろいだ。胎児のように丸まっていた身体を伸ばし、俺の顔を抱き込んで胸に押し付けた。片耳と頰が涼介の胸板にぴったりとくっつき、とくとくと速いスピードで脈打つ鼓動が聞こえる。見上げようにもしっかりと抱え込まれて動くこともできなかった。
「……平沢のことが嫌いなわけじゃないんだ。俺はただ……」
声は静かだ。だが、耳に届く鼓動はうるさいほどにどくどくと鳴り響いていた。緊張しているのか。そう思うと愛おしくなり、すべすべした胸板にキスをした。涼介の細い指が髪をまさぐり、頭皮を柔らかく撫でる。
「……お前とはずっと友達でいたかった。無理して抱こうとして、失敗して――気まずくなるぐらいなら、って」
頰に感じる体温が急激に上がる。本心を吐露することに慣れない臆病者。それは今まで俺が知らなかった涼介の意外な一面だった。いつもは何事にも臆さず、飄々と物事をこなして行くタイプなのだ。それがこんなに必死になりながら俺に言い訳をしているなんて――。しっとりと汗ばんだ肌から涼介の匂いがした。ぞくぞくと情欲を掻き立てる、いい匂いだった。
「ただの友達には戻れない、かもしれない」
俺はそう言うと、未だに固くそそり立つちんぽを涼介の太腿に擦り付けた。どくどくと高鳴る心臓がどちらのものか、もう分からない。
「それ以上になりたい」
涼介の腕から力が抜けた。自由になった頭を上げると、顔を真っ赤にした涼介が手の甲で口元を隠しながら潤んだ目でこちらを睨みつけていた。だが、それはすぐにふにゃりと崩れ、いかにも可笑しそうに笑った。
「頰に跡ついてる」
そう言って、耳をつけていた方の頰を指先で撫でた。俺たちは笑い合う。薄暗い部屋の中、どこか密やかで、秘密を共有した共犯者たちの笑いだった。
「……俺を、受け入れてくれる?」
「なあ、脱げよ、それ」
頰を撫でた指がそのまま胸、腹、臍と辿り、ウエストのボタンを弾いた。俺は一つ頷くと、涼介の上から退き、ベッドから降りた。ファスナーを下ろし、まずはカーゴパンツを脱ぐ。トランクスを持ち上げる先端は少し濡れていた。危うくカーゴパンツにまで染みを作るところだった。ふと見ると、体育座りでうずくまる涼介がじっとこちらを、いや、股間を見ている。
「……触っていいか?」
吹っ切れたのかいきなり大胆になった涼介が俺のトランクスに手をかけた。布の下でちんぽが跳ね、涼介は可笑しそうに笑った。トランクスのゴムに引っかかった勃起は、一旦押し下げられた後、ばね仕掛けのおもちゃのように跳ね返り、下腹に打ちつけた。我がことながら元気すぎる。
「おっきいな……」
うっとりとした声で囁かれ、素直な俺のちんぽが嬉しげに揺れた。指先が袋と竿の境目から裏筋を撫で上げ、先走りで濡れた先端を優しく撫で回す。ぞくぞくと背筋が震えた。
「……な、一回イカせてくれない?」
本当に暴発寸前で、少ししごいただけでもイッてしまいそうだった。これだけ興奮していたら、一度くらい出したところですぐに回復するだろう。俺の頼みに涼介はニヤリと笑うとベッドサイドに座り、俺の腰骨を両手で掴んだ。
「え、ちょ……」
涼介の顔が、腹にくっつくほどに固くなったちんぽに寄せられていく。柔らかな唇が根元にキスし、尖らせた熱い舌が裏筋を舐め上げた。それだけで腰が震え、俺は思わず尻に力を込めた。さすがにそれだけでイッてしまうのは情けないし、何より勿体ない。まるでおもちゃを鼻先で追い回す犬のように跳ね回るちんぽを顔の角度を何度も変えて唇であやし、時折こちらを濡れた目で見上げる涼介の姿はひどくいやらしく、扇情的だった。
俺は片手を自分のちんぽに、片手を涼介の頭に添えた。固く起ち上がったちんぽを押し下げ、涼介の唇に押し当てた。笑いを含んだ目が俺を見、ゆっくりとその口が開いていく。濡れた舌がいやに赤く、ぬめりを帯びて濡れ光っていた。髪に差し入れた指に力がこもる。
「……っ、あ」
敏感な亀頭が涼介の口内へと導かれた。唾液にぬめった口内は熱く、そして柔らかい。舌先が尿道をくじり、カリの段差をこそぐように舐め回す。更に、じゅるじゅるといやらしい音を立てながら吸い付き、頭を前後させて全体をしごくのだから堪らない。キスした時に感じた初々しさは鳴りを潜め、これまでに培ってきたのであろうテクニックを駆使する涼介の顔はひどくいやらしかった。
これまでに――そうだ、涼介はこれまでに見知らぬ男たちのちんぽを何本も咥え込み、何度もよがり、達したのだ。ふつふつと湧き上がる感情に胸が苦しくなった。お前を抱く男の一人でいい、なんて言ったが、これはまぎれもなく嫉妬だ。過ぎてしまったことは仕方がないと分かってはいても、それでも顔も知らない男たちに嫉妬を覚えてしまう。
涼介が喉の奥まで俺のちんぽを飲み込み、鼻息で濃く茂った隠毛がそよいだ。喉の筋肉が先端を締め付け、舌が裏筋をしごく。もう限界だった。
「涼介……っ、も、イクッ……」
俺の降参宣言に、受け入れるように涼介が目を閉じた。俺は涼介の頭を掴んだまま腰を震わせた。金玉がわななき、びゅっ! びゅっ! と数度に分けて、止まらないのではないかと心配するほどに勢いでザーメンを放出した。こく、こくと涼介の喉仏が上下し、最後の一滴まで搾り取るように粘膜が吸いついた。飲んだ――俺のザーメンを涼介が飲んだ。
「は、あ……っ!」
俺は息を荒げ、涼介の唇からずるりとちんぽを抜き出した。唾液と精液の混ざった泡立つ粘液がちんぽと赤い唇の間に太い橋をかけていた。涼介が俺の目を見ながら赤い舌で唇を舐め、手の甲で口を拭う。そのいやらしい光景に、俺のちんぽは力を失うどころかますます固く天を衝いたままだった。
「……すごい喉に絡むんだな、これ」
ごほ、と一つ咳き込み涼介が可笑しげに笑った。
「あの……大丈夫?」
「ん、初めて飲んだけど美味しくないな、やっぱ」
初めて……。俺はその場に跪くと、堪らなくなって涼介の薄い身体を抱き締めてキスした。何とも言えない臭いと味がしたが、構わずに口内に舌を侵入させた。見知らぬ他人のものならともかく、自分のザーメンだ、涼介とキスできるならそれくらい我慢できる。くちゅくちゅと音を立てながら舌を絡ませあった。涼介の手が迷うように二の腕に触れた後、首に絡む。は、は、と互いの荒い息が部屋に響いた。
キスしながらベッドに押し倒す。涼介の閉じたままの脚をこじ開け、腰を擦り付けた。布越しに涼介の固いモノを感じる。俺のモノをフェラしながら興奮してくれたのだろうか。俺は唇を合わせたまま小さく笑いを漏らした。
「……笑うなよ」
「ごめん、嬉しくなって」
しばらく見つめ合い、額と鼻先と股間を擦り付けながら我慢しきれなくなってくすくすと笑い合う。
「俺も触っていい?」
「ん……、それより」
涼介が腕の中で身じろいだので、俺は身体を持ち上げた。ボクサーパンツは誰のものとも知れない粘液で濡れ、涼介の形をはっきりと浮かび上がらせていた。涼介はその場でうつ伏せになると上半身だけをベッドに預け、下着を脚の付け根まで引き下ろし、首を捻って濡れた目でこちらを見つめる。
俺は息を飲んだ。日に焼けていない白い尻。ふっくらと張った会陰の中程まで引き下ろされた下着のゴムが尻たぶに食い込んでいるのが、肉感を強調していていやらしかった。ベッドの下の引き出しから使いかけのローションとコンドームの箱を涼介から手渡された。
「お前が挿れられるように、ちゃんと広げて」
そう囁くと、涼介は自ら尻肉を掴み、谷間を指で割り開いた。そこには周囲を薄い毛で取りまかれた少し縦長のピンク色の蕾が息づいていた。興奮に喉が鳴る。俺は手を伸ばして、弾力のある尻肉を鷲掴んだ。白い肌に俺の浅黒い無骨な指が食い込む光景は昨日ゲイビデオで見たものとそっくりだった。肌の色のコントラストが一層の情欲を煽る。
それから涼介の指導通り、指にコンドームを嵌め、温感ローションをたっぷりと谷間に垂らす。下まで垂れ落ちないうちに窄まりに塗り込め、マッサージするように入り口をぐるぐると撫で回した。入り口の肉が少しふっくらと盛り上がってきたようだ。濃いピンク色のふわふわした肉がぬめぬめといやらしく光っていた。
「指、挿れていい?」
「ん……」
俺は恐る恐るゆっくりと人差し指を挿し入れて行った。分厚い肉の輪を通り抜けると、熱い粘膜が纏わりついた。女の膣とはまた違う、狭いような吸いつくような感触だった。早くここにちんぽをブチ込みたいが、男の身体ではそういうわけにはいかない。涼介の言う通り、入り口を広げることにじっくりと専念することにした。
しばらく抜き差しした後、確認した上で指を一本増やしてみた。本当に入るのかと訝ったが、かすかな抵抗感の中、ぬちゅりと入った時は感動すら覚えた。二本の指を揃え、太い節の部分で入り口の肉を広げ、くちゅくちゅと音を立てて出入りする。指の太さに合わせて肉がめくれ、窄まるさまに俺は夢中になって見入っていた。指を曲げ、少し離し気味に前後させると、急激に涼介の腰がびくりと跳ねた。指をきゅんと締め付ける熟れた肉。
「ンああっ……!」
泣き声のような鼻にかかった甘い涼介の声が、俺の背筋にぞくぞくと電流を走らせた。いつもの落ち着いた声とはまるで違う甘いハイトーン。そうだ、俺はこれが聞きたかったのだ――。目の縁を赤く染め、やってしまった、とバツの悪そうな表情で涼介がこちらを振り向いた。
「気持ちよかったの? どこ? 教えて?」
「っ、う……」
俺は指を緩く動かしたまま身を乗り出し、シーツに顔を埋めた真っ赤な耳に囁いた。涼介は恥ずかしげに顔を振る。ちんぽをしゃぶるのも、自ら尻の穴を見せつけるのも平気なのに、キスされると可愛い声を出すのは恥ずかしいらしい。俺には正直、涼介が恥ずかしがるポイントがよく分からなかった。だが、その処女と娼婦のような二面性のギャップがくらくらするほど魅力的に思えた。熱い耳をしゃぶりながら、くちゅくちゅと指を動かす。
「涼介のいいとこ、どこ……?」
「っ、……ふ……」
「ここか……?」
「んんっ、ん、あ、やぁっ……!」
ふっくらと張り出した腹側の肉を柔らかく捏ねると、涼介は泣き声をあげ、身体をびくびくと揺らした。見つけた。思わず笑みがこぼれた。押し込んだり、ニ本の指で挟んで前後したりと責めてやると、濡れた肉は面白いほどにきゅうきゅうと俺の指を食い締め、絞り上げた。その間中、涼介はシーツを噛み締め、泣き声を何とか殺そうとしていたが、くぐもった甘い声もそれはそれでひどくそそる。
「ん、ん、ひらさぁ、イッちゃうから……」
濡れた赤い目が俺を一瞥する。甘えるような舌足らずな口調。そのままイカせて、とその瞳が言っているように思えた。耳殻に噛り付き、耳の裏に舌を這わせ、耳たぶを甘噛みしながら、俺は黙って指の動きを早めた。ひくん、ひくんと震えていた肉が、瘧にかかったようにひくひくと痙攣を始める。入り口の肉が指を食い締め、シーツを握り込んだ涼介の手に力がこもった。
「あ、あ、あっ、んん、だめっ、イクッ、い、あ……っ!」
ひっ、と息を詰め、涼介は身体を震わせた。ビクッ、ビクッと腰が跳ね、とろけた肉が指をしゃぶり、締め付け、奥へと引き込もうと蠢く。本当に女の子のように中だけでイッた――。すごい。やった。嬉しい。そんな感情が綯交ぜになり、興奮に体温が上がった。俺のちんぽは早くも涎を垂らして身震いしていた。早くここにちんぽをブチ込みたい。こんなの絶対気持ちがいいに決まってる。だが、俺のことは二の次だ。涼介にはもっともっと気持ちよくなってもらわなくちゃいけない。
俺は指を一旦引き抜くと、指を三本コンドームに詰めて、ヒクつくアナルにもう一度挿入した。
「っ……! も、いい、平沢、いいから……」
「駄目」
「ンああっ……!」
イッたばかりの涼介は、弱いところを揉まれただけで身体をがくがくと震わせた。俺は赤い耳に一つキスすると床に座り込み、自由な左手を痙攣する内腿の間に差し入れた。勃起に引っかかったままのボクサーパンツはぐっしょりと濡れ、まるで漏らしたかのようになっている。濡れた布の上から形を確かめるようにぎこちない手つきで涼介のちんぽに触れた。
邪魔な下着を太腿の真ん中まで下ろす。一瞬抗議するように涼介がこちらを見たが、すぐに目を閉じてしまった。直に触れる涼介のちんぽは熱く、すべすべとしていた。先端に触れると、びくりと身体が揺れる。どうやら半分皮を被っているようだ。腹にぴったりと寄り添うように勃ち上がった涼介のちんぽは脚の間からはまともに見えない。
「……ふ、あ……っ」
「ごめん、苦しくない?」
どうしても涼介のモノが見てみたくて、脚の間から尻側へと引き出した。玉が持ち上がり、あまり変色していない竿と、半分皮に隠れた綺麗な薄ピンク色の亀頭が俺の目の前に現れる。あまりこっちは使わないのだろうか。嗅ぎ慣れた雄の匂いが鼻を突いたが、涼介のモノだと思うとひどく興奮した。ぎこちないながらも乳搾りをするような手つきでゆっくりとしごく。
「あ、う……そっちでイカせるのは、最後にしてくれ……」
「ん、何で?」
「……一気に冷める」
それは駄目だ。そんなことになって一人置いて行かれたら、俺は泣いてしまう。でももうちょっと触っていたい。握り込んだ左手で濡れた亀頭を触ってみるが、利き手ではないからどうにももどかしい。仕方がない。涼介のモノなら全然平気だ。俺は頭を下げると先端に唇を寄せた。
「やっ、や、馬鹿、何して……っ、う、んっ!」
つるつるとした丸い先端を口に含むと舌先でちろちろと舐め回してみる。少ししょっぱいような苦いような味がした。拒むように涼介の手が俺の頭を押したが、全然力が入っていないから抵抗にもならない。穴を広げる指をぬぷぬぷと動かしながら、俺は舌先で何とか被っていた皮を引き下ろすことに成功した。ちゅ、とリップ音を立てて口から出す。そこには綺麗な色の亀頭がぬるぬると濡れ光っていた。
「ひっ、う……!」
満足した俺は、涼介の綺麗なちんぽを左手で時折弄びながら肉穴の拡張に勤しんだ。その間、涼介は何度か中だけで達し、俺の我慢もそろそろ限界に近づいていた。
またこの言葉だ。さっきまで肌に触れる度にびくびくと身体を震わせて気持ちよさそうな反応を見せていたのに、突然涼介は身体を丸め、脚を抱え込み、全身で俺への拒絶を示していた。
「俺のこと、そんなに嫌いか……」
俺は四つ這いのまま項垂れ、涼介の肉の薄い尖った肩に額を押し付けた。
それまで余裕綽々な態度だったのに急に恥ずかしがり始めたときは、興奮しすぎて死ぬかと思った。キスだって軽い物で済ませておこうと思っていたのに、やたらと初々しい反応に、つい調子に乗って舌まで入れてしまった。あまりにも初心なもんだから「繁華街まで男に抱かれにいく」というのは脳内設定か何かなのでは、と疑ったぐらいだ。ていうか、まだ疑っている。
昨日の試しで、これならきっと抱けると思った。俺が相手になってあげられれば、涼介だっていちいち危険な橋を渡らなくていい。そう思ってのことだったが、今は違う。
今は、ただ抱きたい。涼介を俺の下でよがらせたい。あの表情に乏しい顔を羞恥に染めさせて、殺しきれない声を漏らさせて――俺を求めて欲しい。
何だ、そうか。
「……お前のこと、好きなんだ」
今の自分の気持ちに名前をつけるなら、恋だ。俺は肩に額ずいたままそう囁き、カーゴパンツの下で爆発寸前の勃起を涼介の腰骨に擦り付けた。涼介の身体がびくりと揺れた。掠れた声が触れた肉を通して伝わる。
「――何で」
「好きなんだ」
俺は馬鹿の一つ覚えのようにただ繰り返す。だから、嫌わないで。せめて、お前を抱く男の一人としてでもいいから俺を受け入れて欲しい。譫言のように囁きかける。
「……性欲と恋情を履き違えていないか?」
拒絶の言葉を紡ぐ涼介の声は優しかった。俺は額をつけたままを頭を振る。正直に言えば分からない。だが、見知らぬ者に対してならいざ知らず、大好きな友達に身が焦がれるほど欲情するなら、そこに区別など必要だろうか。
涼介の身体が身じろいだ。胎児のように丸まっていた身体を伸ばし、俺の顔を抱き込んで胸に押し付けた。片耳と頰が涼介の胸板にぴったりとくっつき、とくとくと速いスピードで脈打つ鼓動が聞こえる。見上げようにもしっかりと抱え込まれて動くこともできなかった。
「……平沢のことが嫌いなわけじゃないんだ。俺はただ……」
声は静かだ。だが、耳に届く鼓動はうるさいほどにどくどくと鳴り響いていた。緊張しているのか。そう思うと愛おしくなり、すべすべした胸板にキスをした。涼介の細い指が髪をまさぐり、頭皮を柔らかく撫でる。
「……お前とはずっと友達でいたかった。無理して抱こうとして、失敗して――気まずくなるぐらいなら、って」
頰に感じる体温が急激に上がる。本心を吐露することに慣れない臆病者。それは今まで俺が知らなかった涼介の意外な一面だった。いつもは何事にも臆さず、飄々と物事をこなして行くタイプなのだ。それがこんなに必死になりながら俺に言い訳をしているなんて――。しっとりと汗ばんだ肌から涼介の匂いがした。ぞくぞくと情欲を掻き立てる、いい匂いだった。
「ただの友達には戻れない、かもしれない」
俺はそう言うと、未だに固くそそり立つちんぽを涼介の太腿に擦り付けた。どくどくと高鳴る心臓がどちらのものか、もう分からない。
「それ以上になりたい」
涼介の腕から力が抜けた。自由になった頭を上げると、顔を真っ赤にした涼介が手の甲で口元を隠しながら潤んだ目でこちらを睨みつけていた。だが、それはすぐにふにゃりと崩れ、いかにも可笑しそうに笑った。
「頰に跡ついてる」
そう言って、耳をつけていた方の頰を指先で撫でた。俺たちは笑い合う。薄暗い部屋の中、どこか密やかで、秘密を共有した共犯者たちの笑いだった。
「……俺を、受け入れてくれる?」
「なあ、脱げよ、それ」
頰を撫でた指がそのまま胸、腹、臍と辿り、ウエストのボタンを弾いた。俺は一つ頷くと、涼介の上から退き、ベッドから降りた。ファスナーを下ろし、まずはカーゴパンツを脱ぐ。トランクスを持ち上げる先端は少し濡れていた。危うくカーゴパンツにまで染みを作るところだった。ふと見ると、体育座りでうずくまる涼介がじっとこちらを、いや、股間を見ている。
「……触っていいか?」
吹っ切れたのかいきなり大胆になった涼介が俺のトランクスに手をかけた。布の下でちんぽが跳ね、涼介は可笑しそうに笑った。トランクスのゴムに引っかかった勃起は、一旦押し下げられた後、ばね仕掛けのおもちゃのように跳ね返り、下腹に打ちつけた。我がことながら元気すぎる。
「おっきいな……」
うっとりとした声で囁かれ、素直な俺のちんぽが嬉しげに揺れた。指先が袋と竿の境目から裏筋を撫で上げ、先走りで濡れた先端を優しく撫で回す。ぞくぞくと背筋が震えた。
「……な、一回イカせてくれない?」
本当に暴発寸前で、少ししごいただけでもイッてしまいそうだった。これだけ興奮していたら、一度くらい出したところですぐに回復するだろう。俺の頼みに涼介はニヤリと笑うとベッドサイドに座り、俺の腰骨を両手で掴んだ。
「え、ちょ……」
涼介の顔が、腹にくっつくほどに固くなったちんぽに寄せられていく。柔らかな唇が根元にキスし、尖らせた熱い舌が裏筋を舐め上げた。それだけで腰が震え、俺は思わず尻に力を込めた。さすがにそれだけでイッてしまうのは情けないし、何より勿体ない。まるでおもちゃを鼻先で追い回す犬のように跳ね回るちんぽを顔の角度を何度も変えて唇であやし、時折こちらを濡れた目で見上げる涼介の姿はひどくいやらしく、扇情的だった。
俺は片手を自分のちんぽに、片手を涼介の頭に添えた。固く起ち上がったちんぽを押し下げ、涼介の唇に押し当てた。笑いを含んだ目が俺を見、ゆっくりとその口が開いていく。濡れた舌がいやに赤く、ぬめりを帯びて濡れ光っていた。髪に差し入れた指に力がこもる。
「……っ、あ」
敏感な亀頭が涼介の口内へと導かれた。唾液にぬめった口内は熱く、そして柔らかい。舌先が尿道をくじり、カリの段差をこそぐように舐め回す。更に、じゅるじゅるといやらしい音を立てながら吸い付き、頭を前後させて全体をしごくのだから堪らない。キスした時に感じた初々しさは鳴りを潜め、これまでに培ってきたのであろうテクニックを駆使する涼介の顔はひどくいやらしかった。
これまでに――そうだ、涼介はこれまでに見知らぬ男たちのちんぽを何本も咥え込み、何度もよがり、達したのだ。ふつふつと湧き上がる感情に胸が苦しくなった。お前を抱く男の一人でいい、なんて言ったが、これはまぎれもなく嫉妬だ。過ぎてしまったことは仕方がないと分かってはいても、それでも顔も知らない男たちに嫉妬を覚えてしまう。
涼介が喉の奥まで俺のちんぽを飲み込み、鼻息で濃く茂った隠毛がそよいだ。喉の筋肉が先端を締め付け、舌が裏筋をしごく。もう限界だった。
「涼介……っ、も、イクッ……」
俺の降参宣言に、受け入れるように涼介が目を閉じた。俺は涼介の頭を掴んだまま腰を震わせた。金玉がわななき、びゅっ! びゅっ! と数度に分けて、止まらないのではないかと心配するほどに勢いでザーメンを放出した。こく、こくと涼介の喉仏が上下し、最後の一滴まで搾り取るように粘膜が吸いついた。飲んだ――俺のザーメンを涼介が飲んだ。
「は、あ……っ!」
俺は息を荒げ、涼介の唇からずるりとちんぽを抜き出した。唾液と精液の混ざった泡立つ粘液がちんぽと赤い唇の間に太い橋をかけていた。涼介が俺の目を見ながら赤い舌で唇を舐め、手の甲で口を拭う。そのいやらしい光景に、俺のちんぽは力を失うどころかますます固く天を衝いたままだった。
「……すごい喉に絡むんだな、これ」
ごほ、と一つ咳き込み涼介が可笑しげに笑った。
「あの……大丈夫?」
「ん、初めて飲んだけど美味しくないな、やっぱ」
初めて……。俺はその場に跪くと、堪らなくなって涼介の薄い身体を抱き締めてキスした。何とも言えない臭いと味がしたが、構わずに口内に舌を侵入させた。見知らぬ他人のものならともかく、自分のザーメンだ、涼介とキスできるならそれくらい我慢できる。くちゅくちゅと音を立てながら舌を絡ませあった。涼介の手が迷うように二の腕に触れた後、首に絡む。は、は、と互いの荒い息が部屋に響いた。
キスしながらベッドに押し倒す。涼介の閉じたままの脚をこじ開け、腰を擦り付けた。布越しに涼介の固いモノを感じる。俺のモノをフェラしながら興奮してくれたのだろうか。俺は唇を合わせたまま小さく笑いを漏らした。
「……笑うなよ」
「ごめん、嬉しくなって」
しばらく見つめ合い、額と鼻先と股間を擦り付けながら我慢しきれなくなってくすくすと笑い合う。
「俺も触っていい?」
「ん……、それより」
涼介が腕の中で身じろいだので、俺は身体を持ち上げた。ボクサーパンツは誰のものとも知れない粘液で濡れ、涼介の形をはっきりと浮かび上がらせていた。涼介はその場でうつ伏せになると上半身だけをベッドに預け、下着を脚の付け根まで引き下ろし、首を捻って濡れた目でこちらを見つめる。
俺は息を飲んだ。日に焼けていない白い尻。ふっくらと張った会陰の中程まで引き下ろされた下着のゴムが尻たぶに食い込んでいるのが、肉感を強調していていやらしかった。ベッドの下の引き出しから使いかけのローションとコンドームの箱を涼介から手渡された。
「お前が挿れられるように、ちゃんと広げて」
そう囁くと、涼介は自ら尻肉を掴み、谷間を指で割り開いた。そこには周囲を薄い毛で取りまかれた少し縦長のピンク色の蕾が息づいていた。興奮に喉が鳴る。俺は手を伸ばして、弾力のある尻肉を鷲掴んだ。白い肌に俺の浅黒い無骨な指が食い込む光景は昨日ゲイビデオで見たものとそっくりだった。肌の色のコントラストが一層の情欲を煽る。
それから涼介の指導通り、指にコンドームを嵌め、温感ローションをたっぷりと谷間に垂らす。下まで垂れ落ちないうちに窄まりに塗り込め、マッサージするように入り口をぐるぐると撫で回した。入り口の肉が少しふっくらと盛り上がってきたようだ。濃いピンク色のふわふわした肉がぬめぬめといやらしく光っていた。
「指、挿れていい?」
「ん……」
俺は恐る恐るゆっくりと人差し指を挿し入れて行った。分厚い肉の輪を通り抜けると、熱い粘膜が纏わりついた。女の膣とはまた違う、狭いような吸いつくような感触だった。早くここにちんぽをブチ込みたいが、男の身体ではそういうわけにはいかない。涼介の言う通り、入り口を広げることにじっくりと専念することにした。
しばらく抜き差しした後、確認した上で指を一本増やしてみた。本当に入るのかと訝ったが、かすかな抵抗感の中、ぬちゅりと入った時は感動すら覚えた。二本の指を揃え、太い節の部分で入り口の肉を広げ、くちゅくちゅと音を立てて出入りする。指の太さに合わせて肉がめくれ、窄まるさまに俺は夢中になって見入っていた。指を曲げ、少し離し気味に前後させると、急激に涼介の腰がびくりと跳ねた。指をきゅんと締め付ける熟れた肉。
「ンああっ……!」
泣き声のような鼻にかかった甘い涼介の声が、俺の背筋にぞくぞくと電流を走らせた。いつもの落ち着いた声とはまるで違う甘いハイトーン。そうだ、俺はこれが聞きたかったのだ――。目の縁を赤く染め、やってしまった、とバツの悪そうな表情で涼介がこちらを振り向いた。
「気持ちよかったの? どこ? 教えて?」
「っ、う……」
俺は指を緩く動かしたまま身を乗り出し、シーツに顔を埋めた真っ赤な耳に囁いた。涼介は恥ずかしげに顔を振る。ちんぽをしゃぶるのも、自ら尻の穴を見せつけるのも平気なのに、キスされると可愛い声を出すのは恥ずかしいらしい。俺には正直、涼介が恥ずかしがるポイントがよく分からなかった。だが、その処女と娼婦のような二面性のギャップがくらくらするほど魅力的に思えた。熱い耳をしゃぶりながら、くちゅくちゅと指を動かす。
「涼介のいいとこ、どこ……?」
「っ、……ふ……」
「ここか……?」
「んんっ、ん、あ、やぁっ……!」
ふっくらと張り出した腹側の肉を柔らかく捏ねると、涼介は泣き声をあげ、身体をびくびくと揺らした。見つけた。思わず笑みがこぼれた。押し込んだり、ニ本の指で挟んで前後したりと責めてやると、濡れた肉は面白いほどにきゅうきゅうと俺の指を食い締め、絞り上げた。その間中、涼介はシーツを噛み締め、泣き声を何とか殺そうとしていたが、くぐもった甘い声もそれはそれでひどくそそる。
「ん、ん、ひらさぁ、イッちゃうから……」
濡れた赤い目が俺を一瞥する。甘えるような舌足らずな口調。そのままイカせて、とその瞳が言っているように思えた。耳殻に噛り付き、耳の裏に舌を這わせ、耳たぶを甘噛みしながら、俺は黙って指の動きを早めた。ひくん、ひくんと震えていた肉が、瘧にかかったようにひくひくと痙攣を始める。入り口の肉が指を食い締め、シーツを握り込んだ涼介の手に力がこもった。
「あ、あ、あっ、んん、だめっ、イクッ、い、あ……っ!」
ひっ、と息を詰め、涼介は身体を震わせた。ビクッ、ビクッと腰が跳ね、とろけた肉が指をしゃぶり、締め付け、奥へと引き込もうと蠢く。本当に女の子のように中だけでイッた――。すごい。やった。嬉しい。そんな感情が綯交ぜになり、興奮に体温が上がった。俺のちんぽは早くも涎を垂らして身震いしていた。早くここにちんぽをブチ込みたい。こんなの絶対気持ちがいいに決まってる。だが、俺のことは二の次だ。涼介にはもっともっと気持ちよくなってもらわなくちゃいけない。
俺は指を一旦引き抜くと、指を三本コンドームに詰めて、ヒクつくアナルにもう一度挿入した。
「っ……! も、いい、平沢、いいから……」
「駄目」
「ンああっ……!」
イッたばかりの涼介は、弱いところを揉まれただけで身体をがくがくと震わせた。俺は赤い耳に一つキスすると床に座り込み、自由な左手を痙攣する内腿の間に差し入れた。勃起に引っかかったままのボクサーパンツはぐっしょりと濡れ、まるで漏らしたかのようになっている。濡れた布の上から形を確かめるようにぎこちない手つきで涼介のちんぽに触れた。
邪魔な下着を太腿の真ん中まで下ろす。一瞬抗議するように涼介がこちらを見たが、すぐに目を閉じてしまった。直に触れる涼介のちんぽは熱く、すべすべとしていた。先端に触れると、びくりと身体が揺れる。どうやら半分皮を被っているようだ。腹にぴったりと寄り添うように勃ち上がった涼介のちんぽは脚の間からはまともに見えない。
「……ふ、あ……っ」
「ごめん、苦しくない?」
どうしても涼介のモノが見てみたくて、脚の間から尻側へと引き出した。玉が持ち上がり、あまり変色していない竿と、半分皮に隠れた綺麗な薄ピンク色の亀頭が俺の目の前に現れる。あまりこっちは使わないのだろうか。嗅ぎ慣れた雄の匂いが鼻を突いたが、涼介のモノだと思うとひどく興奮した。ぎこちないながらも乳搾りをするような手つきでゆっくりとしごく。
「あ、う……そっちでイカせるのは、最後にしてくれ……」
「ん、何で?」
「……一気に冷める」
それは駄目だ。そんなことになって一人置いて行かれたら、俺は泣いてしまう。でももうちょっと触っていたい。握り込んだ左手で濡れた亀頭を触ってみるが、利き手ではないからどうにももどかしい。仕方がない。涼介のモノなら全然平気だ。俺は頭を下げると先端に唇を寄せた。
「やっ、や、馬鹿、何して……っ、う、んっ!」
つるつるとした丸い先端を口に含むと舌先でちろちろと舐め回してみる。少ししょっぱいような苦いような味がした。拒むように涼介の手が俺の頭を押したが、全然力が入っていないから抵抗にもならない。穴を広げる指をぬぷぬぷと動かしながら、俺は舌先で何とか被っていた皮を引き下ろすことに成功した。ちゅ、とリップ音を立てて口から出す。そこには綺麗な色の亀頭がぬるぬると濡れ光っていた。
「ひっ、う……!」
満足した俺は、涼介の綺麗なちんぽを左手で時折弄びながら肉穴の拡張に勤しんだ。その間、涼介は何度か中だけで達し、俺の我慢もそろそろ限界に近づいていた。
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