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第3章覚醒の刻
28ボス粉砕
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ダンジョンボス、神猫に攻撃された。しかし……。
俺は生きている――。
ダンジョンの長の攻撃を食らってもビクともしなかったのだ。
それもこれも全て『オール・チェンジ』と呼ばれるスキルのおかげなのだろう。
奥にいる火憐はもちろん、目の前にいる化け猫さえ、俺を見て驚きの表情をあげている。
気分が良い……。今なら何でも出来そうだ。
異常なほど軽く感じる身体と、冴え渡る頭脳、今の俺は無敵に思えた。そんな俺に向かってダンフォールの声が頭に響く。
(少年よ! 何やっとるんじゃ。化け猫が元の位置に戻れないように、しっかりと足でも掴んどれ!)
(どういう事ですか?)
(相手の陣地に戻られてはあの小娘を救う事は叶わんぞ。さぁ、急いで化け猫の動きを封じるのじゃ)
(それを早く言ってください)
火憐を助けたい。俺はその一心で化け猫の足を掴んだ。
もう離さないぞ。噛みつかれようが、爪で引っかかれようが、構わない。
火憐がお前に受けた仕打ちに比べれば、痛くも痒くも無い。
「にゃおおおお!!!」
化け猫は俺の腕に噛みつき、離れようと必死だ。
ここまで来ると哀れに思えてくる。俺は静かに目を閉じた。
【ALL CHANGE】
【……発動します…………】
【………HPから物理攻撃値に1000万移動】
(使い方が、分かってきたのう)
(流石に分かってきましたよ。攻撃力このくらいでじゅうぶんですよね?)
(そうじゃな。思いっきりぶつけてやれ)
(はい)
〈コマンドを選択してください〉
――――――――――――――――――――――――――
選択時間:1分
→ ●物理攻撃
●呪怨(じゅおん) ※残り1回
●身を守る
●アイテム ――――――――――――――――――――――――――
蓮は自身の画面が見えるとすぐ、物理攻撃を選択した。
初めてだ。このゲームを始めて相手に攻撃を与えるのは。
いや、現実世界でも一度も殴った事のない、俺のパンチはダンジョンのボスに通用するのだろうか。
そんな疑問を頭の片隅に残してはいたが、猫の足を掴んでいた右手とは反対の左手で拳を作った。
右手をゆっくりと上げ化け猫を宙吊り状態にすると、勢いよく左の拳を化け猫の腹目掛けて振り抜く。
【カッッ!!】
まるで時が止まったようだった。神猫は何が起きたのか理解できないまま、俺の拳にぶつかると霧になって消えた。
そう。これで全ては終わったのだ。機械音もそう告げる。
〈『神猫(ゴッド・キティ)』に100万のダメージ〉
〈戦闘を終了いたします〉
本当に一瞬の出来事だった。
ただ俺の拳が化け猫の腹を殴った、それだけで尋常ならざるダメージを与える事ができたのだ。
化け猫が死に絶え、自身の身体を動かせるようになった火憐は地面にうずくまり泣き続けている。
しかし、想像以上にあっけない終わり方に、俺は呆然としていた。
こんなに早く終わっていいのか?……。
俺はどこか不気味な違和感を感じながらも表情は笑顔をキープする。
戦闘が終了した直後に後方から音が聞こえ始めたのだ。
氷華が、もうそろそろ帰って来るのかな。どのくらい離れているんだろう。
しかし……。
(違う。この音は人間の声じゃない!)
さらに耳を澄ませて音の方向に注目すると、この音は人の発する音では無いのだ。
いや、生物ですらない。
【キャララララララ】
凸凹なダンジョンの地面を戦車が通る音だったのである。
俺は生きている――。
ダンジョンの長の攻撃を食らってもビクともしなかったのだ。
それもこれも全て『オール・チェンジ』と呼ばれるスキルのおかげなのだろう。
奥にいる火憐はもちろん、目の前にいる化け猫さえ、俺を見て驚きの表情をあげている。
気分が良い……。今なら何でも出来そうだ。
異常なほど軽く感じる身体と、冴え渡る頭脳、今の俺は無敵に思えた。そんな俺に向かってダンフォールの声が頭に響く。
(少年よ! 何やっとるんじゃ。化け猫が元の位置に戻れないように、しっかりと足でも掴んどれ!)
(どういう事ですか?)
(相手の陣地に戻られてはあの小娘を救う事は叶わんぞ。さぁ、急いで化け猫の動きを封じるのじゃ)
(それを早く言ってください)
火憐を助けたい。俺はその一心で化け猫の足を掴んだ。
もう離さないぞ。噛みつかれようが、爪で引っかかれようが、構わない。
火憐がお前に受けた仕打ちに比べれば、痛くも痒くも無い。
「にゃおおおお!!!」
化け猫は俺の腕に噛みつき、離れようと必死だ。
ここまで来ると哀れに思えてくる。俺は静かに目を閉じた。
【ALL CHANGE】
【……発動します…………】
【………HPから物理攻撃値に1000万移動】
(使い方が、分かってきたのう)
(流石に分かってきましたよ。攻撃力このくらいでじゅうぶんですよね?)
(そうじゃな。思いっきりぶつけてやれ)
(はい)
〈コマンドを選択してください〉
――――――――――――――――――――――――――
選択時間:1分
→ ●物理攻撃
●呪怨(じゅおん) ※残り1回
●身を守る
●アイテム ――――――――――――――――――――――――――
蓮は自身の画面が見えるとすぐ、物理攻撃を選択した。
初めてだ。このゲームを始めて相手に攻撃を与えるのは。
いや、現実世界でも一度も殴った事のない、俺のパンチはダンジョンのボスに通用するのだろうか。
そんな疑問を頭の片隅に残してはいたが、猫の足を掴んでいた右手とは反対の左手で拳を作った。
右手をゆっくりと上げ化け猫を宙吊り状態にすると、勢いよく左の拳を化け猫の腹目掛けて振り抜く。
【カッッ!!】
まるで時が止まったようだった。神猫は何が起きたのか理解できないまま、俺の拳にぶつかると霧になって消えた。
そう。これで全ては終わったのだ。機械音もそう告げる。
〈『神猫(ゴッド・キティ)』に100万のダメージ〉
〈戦闘を終了いたします〉
本当に一瞬の出来事だった。
ただ俺の拳が化け猫の腹を殴った、それだけで尋常ならざるダメージを与える事ができたのだ。
化け猫が死に絶え、自身の身体を動かせるようになった火憐は地面にうずくまり泣き続けている。
しかし、想像以上にあっけない終わり方に、俺は呆然としていた。
こんなに早く終わっていいのか?……。
俺はどこか不気味な違和感を感じながらも表情は笑顔をキープする。
戦闘が終了した直後に後方から音が聞こえ始めたのだ。
氷華が、もうそろそろ帰って来るのかな。どのくらい離れているんだろう。
しかし……。
(違う。この音は人間の声じゃない!)
さらに耳を澄ませて音の方向に注目すると、この音は人の発する音では無いのだ。
いや、生物ですらない。
【キャララララララ】
凸凹なダンジョンの地面を戦車が通る音だったのである。
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