チートスキルと無限HP!〜いじめられっ子は最弱職業だが、実は地上最強〜

ボルメテウス

文字の大きさ
30 / 123
第3章覚醒の刻

29来訪者

しおりを挟む
 松明たいまつの灯りだけがほのかに照らす薄暗い洞穴。化け物を倒したばかりの俺と火憐はそこに依然としていたんだ。
 そしてそこに、けたたましい戦車の走行音が近づいてきていた。


【キュララララ】


 もの凄い音だ。耳の鼓膜が破れるかと思うほどの大音量。火憐の方を見ると両耳を抑えて地面にうずくまっていた。


「大丈夫か!」
「う、うん。でも何この音!」
「分からない!」


 大声を張り上げてやっと相手に届くかどうかである。それほどに戦車から発する音は大きかったのだ。
 恐らく、複数の戦車が用意されているのだろう。一台だけでこの爆音は考えにくい。
 でも、なぜ戦車が大群でダンジョン内に入るのか理解できない。
 確かにダンジョンの調査と言われれば、その通りかもしれないが先発隊が全滅しているの可能性もあるのだ。
 それでもダンジョンに入り込むというのは、相当の理由があるとみて良いだろう。


 戦車のエンジン音が鳴り響く方向に目を向けると、砂煙を立ててこちらに前進してくる戦車部隊が見えてくる。
 10台程であろうか。
 緑色をした戦車が綺麗な一列になって直進する。


【キュラララ、ラ……】


 戦車は俺たちの元へ近づくと停止し、中から自衛隊の隊員と思しき人物が戦車上方から出てきた。
 緑色のヘルメット、緑色の軍服を着用しているその人物は階級の高い人物のように思える。


 胸辺りには勲章のような貴金属がひかり、顔つきも老人であるが立派な髭を加えており、とてもじゃないが一般兵には見えない。
 こんな人相手に話すのなんて初めてだ。どんなふうに対応したら良いか分からない。
 俺は右往左往してから結局、敬礼をする事に落ち着く。
 それを見た高齢な自衛官も敬礼を返してくれた。


「君達! 怪我はないかね?」
「俺は大丈夫です。けど、後ろにいる女の子が怪我をしてます」
「ほう……分かった。ちょっと待ってくれ」


 その自衛官は優しく微笑むと顔を下に向け、トランシーバーに向かって声を出した。


「医療部隊! 前方の女性を救出せよ!」
「イエッサー!」


 戦車内から聞こえる無数の声。何の目的でダンジョンに侵入したのかは分からないが、火憐の治療を請け負ってくれるようで安心した。
 すぐに後方の戦車群から、数人の自衛官が出てこちらに向かってきた。
 火憐の事はひとまずこれで安心だろう。
 ひと段落ついた、と感じた俺は高齢な自衛官にダンジョンに侵入している理由について質問した。


「自衛官のおじさん!」
「ん? なんだい?」
「どうして、ダンジョンに入ってるんですか?」
「……ダンジョンを封印するためじゃよ」
「え?」
「先程、政府からの通達で、ダンジョンを封印する事が正式に決定したんじゃ。そうじゃ! お主も協力せんか」
「俺が……ですか……?」
「もちろんじゃ。政府は一般市民の中からもダンジョン攻略部隊として募集を募るらしいでな。あっ、儂は本作戦の自衛隊第一軍を任されておる大将『石黒』じゃ」
「はぁ」


 俺は困惑の表情を見せていた。自衛隊がここまで本格的にダンジョン攻略に乗り出すとは考えていなかったからだ。しかも急な勧誘。
 目を瞑ってどう答えようか考えていると、またあのが聞こえてきた。


(少年よ。ダンジョンを全て封印するというのは、正気では無いと思うぞ)
(そもそもダンジョンは、封印出来るんですか?)
(出来る。けどな、この方法を知っているのは異世界からの記憶を有している者だけじゃ。もしかしたら前にいる老人も、少年と同じく特殊な『職業』を有しておるかもしれん)
(聞いてみますか……)


 俺は閉じた目を開けて恐る恐る目の前の老齢な自衛官に尋ねた。正直、こんな事を聞くなんて常識はずれだとは思う。けどこんな機会じゃないと聞けないからな。


「あの自衛官さん。あなたの『職業』ってなんですか?」
「急にどうした?……わしは、『騎士(ナイト)』じゃよ」
「そう……ですか……」


 返答する態度が明らかにおかしかった。
 高齢な自衛官は一度目を斜め上に逸らしてから考えていたのだ。その反応を確認すると俺は少し微笑んでしまった。
 もしかしたらこの自衛官も俺と同じく、異世界からの魂と会話できるのかもしれない。
 そう感じたからだ。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

処理中です...