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第4章過去との決別
35ダンジョン後
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俺はダンジョンから帰った後も急(せ)かされる朝を迎えた。
幼馴染が外で待っている!と母親に怒鳴られ起きる朝。
俺はそんな日常を再び開始しようとしていた。
リビングのソファから飛び起きた俺は急いで二階に駆け上がり自らの部屋に入る。制服に着替えるためだ。
昨日のダンジョンの件もあるし高校はズル休みをしてもいいと思っていたのに。そんな表情をしながら素早く制服に着替える。
しかし口元の口角は少し上がっていた。
幼馴染と再び会える事。いや、そもそもこの場に生きている事が嬉しいのだ。
ダンジョン内では何度も絶望を命の危険すらも感じたし、自身のスキルに気づく事が出来た。
そういえば?と彼は胸に手を当てて自身のステータスを確認する。
俺は【ALL CHANGE】っていうスキルで最強になったんだよな。多分だけど。
いや多分じゃないな。ダンジョンのボスも俺が倒したんだし、あれは夢じゃない。
でも……。
俺の目に映し出されたステータスは最強とは程遠いものだった。
――――――――――――――――――――――――――
●基本ステータス
・名前…市谷蓮
・性別…男
・年齢…17歳
●能力ステータス
・Lv.1
・職業→『奴隷(スレイヴ)』
・魔法攻撃→『0』
・物理攻撃→『0』
・魔法防御→『10』
・物理防御→『10』
・知力→『1』
↓↓↓↓↓
――――――――――――――――――――――――――
最弱のステータスに戻っていたからだ。
なんだよ。もしかして昨日のダンジョン探索って丸々夢だったのか。
今日、火憐が学校に来てから一度確認してみよう。
俺が悲しそうに顔を下に向けたその時であった。老人の声が頭に響いたのは。
(少年よ。何をそんなに落ち込んでいるのじゃ)
(………ダンフォールさんの声? って事は昨日のスキルも現実なのか)
(まだ、寝ぼけておるのか少年よ。昨日の出来事は全て現実じゃ)
(で、でも、さっきステータスを見たら元に戻っていたんですけど)
(あぁ、戦闘が終わったり、自分の集中力が切れれば元の数値に戻るからな)
(そうなんですか! じゃあ本当に俺は、強くなれるんですね)
(う~ん。少年、というよりも儂が強いんじゃけどな)
(ま、まぁ良かったです)
俺の顔は笑顔に戻った。
人間というものは一つだけでも自信を持てる物、それさえあれば明るくなるものだ。
勉強でもいい、スポーツでも、絵だっていい、少年の場合は、それがチートスキルだったという事になる。
しかし、笑顔でいるのは良い事なのかもしれないが、少年は忘れていないだろうか。
幼馴染を外で待たせている事を。
「蓮っ! いつまで氷華ちゃんを待たせるつもりなの!」
「……」
近所にも響くかのような大きな怒鳴り声、俺は母親の声に対して何も答える事が出来なかった。
代わりに今度は大きな足音で、階段を駆け下りる音が家中に広がる。
「ごめん! もう準備できたから!」
上手く制服の上着も着ていない、いわば着替えの途中のような格好で彼は降りてきた。
なにせ時間がない。母親になんと言われようが、登校途中で整えるつもりなのだ。
階段から降りると、玄関とドアを開けたまま待ってくれている母親と氷華のもとに向かう。
母親は俺に怒っているようだ。
「蓮! あんたみっともない格好して」
「登校途中で着替えるから! じゃ!」
俺が急いで外に出ると少し離れた所で氷華が待っていた。腰に手をつけて前かがみになるようにして少し睨んでいる。
家を出るのが遅すぎたのだ。
この時間帯だと確実に遅刻は免れない。彼女は口をつぐんで言葉を向ける。
「蓮、遅すぎ。今日は駆け足で登校するよ」
「分かったよ……」
今から走るのか。キツイ。
正直、足が筋肉痛で走りたくはない。というよりも全身が痛いんだ。
多分だけど、ダンジョン内での戦闘が響いているのかな。
俺は了承はしたものの顔が曇っていた。走りたくても走れないのだ。
氷華がダンジョン内でどのような敵と対峙してきたのかは分からないが、今日まで残るダメージは負っていないようである。
「もう、先に行くわよ!」
「え」
彼女は少し駆け足で先に走ってしまった。俺はそれを悲しそうに見つめていた。
そんな少年の頭の中で、また声が語りかけてくる。
緊迫したような声ではなくまるで呆れているかのような気の抜けた声で。
(少年よ。スキルを使うのじゃ。異世界と構造が同じなら物理攻撃・防御値を上げれば筋力に反映されるはず)
(ありがとうダンフォールさん)
俺も気になっていたんだ。戦闘時ではなく日常でもしスキルを発動したらどうなるのかと。
俺は一度、深呼吸をしてから心の中でこう唱えた。
(スキル……発動……)
すると俺の目の前にあの表示が再び現れたのだ。
【ALL CHANGE発動……します……】
チートスキルの発動画面が目の前に浮かんだ。
幼馴染が外で待っている!と母親に怒鳴られ起きる朝。
俺はそんな日常を再び開始しようとしていた。
リビングのソファから飛び起きた俺は急いで二階に駆け上がり自らの部屋に入る。制服に着替えるためだ。
昨日のダンジョンの件もあるし高校はズル休みをしてもいいと思っていたのに。そんな表情をしながら素早く制服に着替える。
しかし口元の口角は少し上がっていた。
幼馴染と再び会える事。いや、そもそもこの場に生きている事が嬉しいのだ。
ダンジョン内では何度も絶望を命の危険すらも感じたし、自身のスキルに気づく事が出来た。
そういえば?と彼は胸に手を当てて自身のステータスを確認する。
俺は【ALL CHANGE】っていうスキルで最強になったんだよな。多分だけど。
いや多分じゃないな。ダンジョンのボスも俺が倒したんだし、あれは夢じゃない。
でも……。
俺の目に映し出されたステータスは最強とは程遠いものだった。
――――――――――――――――――――――――――
●基本ステータス
・名前…市谷蓮
・性別…男
・年齢…17歳
●能力ステータス
・Lv.1
・職業→『奴隷(スレイヴ)』
・魔法攻撃→『0』
・物理攻撃→『0』
・魔法防御→『10』
・物理防御→『10』
・知力→『1』
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最弱のステータスに戻っていたからだ。
なんだよ。もしかして昨日のダンジョン探索って丸々夢だったのか。
今日、火憐が学校に来てから一度確認してみよう。
俺が悲しそうに顔を下に向けたその時であった。老人の声が頭に響いたのは。
(少年よ。何をそんなに落ち込んでいるのじゃ)
(………ダンフォールさんの声? って事は昨日のスキルも現実なのか)
(まだ、寝ぼけておるのか少年よ。昨日の出来事は全て現実じゃ)
(で、でも、さっきステータスを見たら元に戻っていたんですけど)
(あぁ、戦闘が終わったり、自分の集中力が切れれば元の数値に戻るからな)
(そうなんですか! じゃあ本当に俺は、強くなれるんですね)
(う~ん。少年、というよりも儂が強いんじゃけどな)
(ま、まぁ良かったです)
俺の顔は笑顔に戻った。
人間というものは一つだけでも自信を持てる物、それさえあれば明るくなるものだ。
勉強でもいい、スポーツでも、絵だっていい、少年の場合は、それがチートスキルだったという事になる。
しかし、笑顔でいるのは良い事なのかもしれないが、少年は忘れていないだろうか。
幼馴染を外で待たせている事を。
「蓮っ! いつまで氷華ちゃんを待たせるつもりなの!」
「……」
近所にも響くかのような大きな怒鳴り声、俺は母親の声に対して何も答える事が出来なかった。
代わりに今度は大きな足音で、階段を駆け下りる音が家中に広がる。
「ごめん! もう準備できたから!」
上手く制服の上着も着ていない、いわば着替えの途中のような格好で彼は降りてきた。
なにせ時間がない。母親になんと言われようが、登校途中で整えるつもりなのだ。
階段から降りると、玄関とドアを開けたまま待ってくれている母親と氷華のもとに向かう。
母親は俺に怒っているようだ。
「蓮! あんたみっともない格好して」
「登校途中で着替えるから! じゃ!」
俺が急いで外に出ると少し離れた所で氷華が待っていた。腰に手をつけて前かがみになるようにして少し睨んでいる。
家を出るのが遅すぎたのだ。
この時間帯だと確実に遅刻は免れない。彼女は口をつぐんで言葉を向ける。
「蓮、遅すぎ。今日は駆け足で登校するよ」
「分かったよ……」
今から走るのか。キツイ。
正直、足が筋肉痛で走りたくはない。というよりも全身が痛いんだ。
多分だけど、ダンジョン内での戦闘が響いているのかな。
俺は了承はしたものの顔が曇っていた。走りたくても走れないのだ。
氷華がダンジョン内でどのような敵と対峙してきたのかは分からないが、今日まで残るダメージは負っていないようである。
「もう、先に行くわよ!」
「え」
彼女は少し駆け足で先に走ってしまった。俺はそれを悲しそうに見つめていた。
そんな少年の頭の中で、また声が語りかけてくる。
緊迫したような声ではなくまるで呆れているかのような気の抜けた声で。
(少年よ。スキルを使うのじゃ。異世界と構造が同じなら物理攻撃・防御値を上げれば筋力に反映されるはず)
(ありがとうダンフォールさん)
俺も気になっていたんだ。戦闘時ではなく日常でもしスキルを発動したらどうなるのかと。
俺は一度、深呼吸をしてから心の中でこう唱えた。
(スキル……発動……)
すると俺の目の前にあの表示が再び現れたのだ。
【ALL CHANGE発動……します……】
チートスキルの発動画面が目の前に浮かんだ。
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