チートスキルと無限HP!〜いじめられっ子は最弱職業だが、実は地上最強〜

ボルメテウス

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第5章崩れゆく世界

55 攻略部隊

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 ダンフォールさんとの会談。
 そこで、俺が知った事は化物達が街に現れるかもしれないって事。
 化物達あいつらが街に出て人を襲う。そんな恐ろしい事が起きないように、俺はダンジョンへ再び挑戦する覚悟を決めた。
 自衛隊が募集している、ダンジョン攻略部隊に参加する事を。


 ■□■□■□


「ではさらばじゃ。少年よ」


 ダンフォールさんの別れの言葉、それが終わると視界が白くぼやけてきた。
 恐らく俺はこの夢から醒めるんだろう。
 そう思っていると目の前が真っ白になった。


「うっ」


 そして徐々に視界に色が戻ってくる。
 いや、視界だけじゃない。体の感覚が戻ってきたみたいだ。右手から温もりを感じる。
 さっきのぬるい紅茶なんかより、ずっと温かいものが俺の手を握っている。そんな気がした。
 意識が現実へと引き戻されていく。


「ん」


 俺がゆっくり目を開けると真っ白な天井が視界に入った。
 どうやらここは教室じゃないみたいだ。
 天井が見えるという事は俺は仰向けになっていると言う事を意味している。
 そう。俺はベッドに横たわっている。


「一体なんなんだ?」


 ボヤけている目を擦(こす)ってから俺は右を向いた。
 右手の温もりの正体を確かめるために。
 意識を完全に取り戻してもやはりまだ暖かいんだ。しかもこの感触は人の手。
 誰が俺の手を握っているんだ?


 なんて疑問に思っていたんだ。
 でもね。薄々気づいてはいたよ。誰が俺の手を握っているのか……。


「やっぱりお前か」


 俺は思わず微笑んでしまった。
 視線の先にいたのは、俺の手を握りながらスヤスヤと眠る火憐だったから。


「おーい……」
「スー……スー………」


 俺が声をかけても気づかないし、握っている手を左右に動かしてもピクリともしない。
 そんなスヤスヤと寝ている火憐を眺めていた。


「黙っていると綺麗なんだけどな。怒ると鬼みたいにならなるけど」
「……悪かったわね」
「え?……」
「鬼みたいな顔で悪かったわねぇえ!!」


 俺はボソッと呟いたつもりだったのに。
 どうやら彼女、最初から起きていたらしい。俺をビックリさせようと寝たふりをしていたんだと。


「ごめん火憐!」
「全く……人の顔を鬼呼ばわりして」
「怒った時だけだから」
「へぇ……じゃ、じゃあ。怒った時以外の顔は?」


 火憐は口を膨らませてこちらを睨みつけている。
 これは答え方を間違えたら殴られるな。そう思った。


「き……綺麗かな?」


 俺が緊張のあまり口を歪ませているのとは対照的に、火憐はニッコリとした顔で微笑んでくれた。
 どうやらこの答え方は正解だったらしい。でも、またすぐに強気な口調になった。


「ふっ。まぁいいわ。保健室でいっぱい寝たせいで頭が回ってないんでしょうし!」


 言葉では許してくれているが、火憐は頰(ほお)を膨らませながらそっぽを向いている。
 どうやら、まだ少し怒っているようだ。


「俺、そんなに寝てた?」
「もう授業終わったわよ」
「結局、間に合わなかったか」
「ふふり安心しなさい! 授業の内容は私が教えてあげるわ」


 落ち込んでいる俺を見た火憐の態度が変わった。
 ニコニコしながら胸に手を当て、自信満々といった様子で話しかけてくる。
 突然の彼女の変貌ぶりに俺は驚いて言葉を発せなかった。


「え?」
「遠慮しないで。今から教えてあげるわ」


 そう言うと火憐はブランド物のバッグの中から、プリントを数枚取り出した。
 これは英語の課題だ。


「げ。英語かよ」
「ほら! 出来る範囲でいいから、この英文を和訳してみなさい!!」


 火憐はプリントをだして俺に差し出してきた。
 でも俺は英語が大の苦手だ。出来る範囲と言っても、私は、とか、彼は、とかの主語しか理解できない。


「分かりません」


 俺は情けない声を出した。
 1枚目のプリントからこの感じでは先が追いやられる。火憐も口を膨らませている様子だし、怒られるのかな?
 そう思った矢先だ。


「蓮! あなた出来るじゃない!」
「へ?」


 予想外の反応だ。俺はただ、分かりません、と白旗を上げただけなのになぜ?
 そう思っていると火憐が言葉を続けた。


「I don't know! 分かりません。で合ってるわ!!」


 火憐は、答えの用紙を見ながらキャッキャしている。
 どうやら本当に偶然合っていたようだ。俺は鼻が高い気分になっていた。


「ほら! プリントの次の行も訳すから待ってて」
「うん。蓮って頭いいんだね!?」


 火憐が俺の顔に近づいてニコニコしている。
 もう、さっきのように拗ねている様子はない。俺がホッとしていると保健室の扉が開いた。


【ガララ……】


 火憐との会話の途中に保健室の先生が入ってきたのだ。なぜか、手にはバッグを持ち白衣は着ていない。
 どうやら帰宅する途中に保健室へ寄ったらしい。


「おーい、お前ら~。起きたならさっさと帰れよ。もうとっくに帰宅命令が出てるぞ」
「あっ。ごめんなさい先生! 私達すぐに帰りますから。ね? 蓮」
「うん」


 火憐が俺に目配せをしてきた。一旦、英語の課題はお預けということだ。
 先生も俺たちの言葉を聞いて安心した様子でニッコリとした。


「よし! 気をつけて帰れよ」


 そう言うと先生は保健室を出て行った。
 帰宅命令って何だろうか?また前みたいに早く帰れって事だと思うけど。
 そう思って視線を窓に向けると、外はまだ明るい。昼過ぎくらいだろうか。
 俺が外を眺めていると、何かを思い出したかのように火憐が話しかけてきた。



「あっ! そういえば蓮は行くの?」
「どこに?」


 俺がボケっとした表情をしていると肩を掴んで勢いよく近づいてきた。


「ダンジョン攻略部隊の募集よ! 今日の午後、うちの高校のグラウンドで集合らしいの」
「うちの学校であるのか」
「その通りよ! で、どうする? 行くの?」
「う~ん。今すぐか……」


 鮫島との戦闘で疲れが残っている。
 体はダルいし、本調子とは言えないからだ。でも火憐の圧に俺は逆らえなかった。


「行きましょうよ。自衛隊が私達を助けてくれたみたいに、私達も助ける側にまわるの」
「……」
「なにブツブツ言ってるのよ……ほら!」
「え……ちょっ」


 火憐は俺の手を掴んで引っ張ってきたのだ。
 無理矢理にでも俺を連れて行くつもりなのだろう。
 でも、まぁいいか。元々ダンジョン攻略部隊には応募するつもりだったんだ。
 まさか、今日とは思わなかったけどね。
 俺はすぐにベッドから出て、ダンジョン攻略部隊の集合場所に指定されているグラウンドへと向かった。
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