チートスキルと無限HP!〜いじめられっ子は最弱職業だが、実は地上最強〜

ボルメテウス

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第5章崩れゆく世界

57 異国からの来訪者

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「行こうか火憐」
「うん」


 俺たちは一歩一歩、足を進めた。
 俺と火憐はダンジョン攻略部隊へ参加する為に、集合場所として指定されているグラウンドに向かっていたんだ。


「ここが会場か」


 そして、そのグラウンドが一望できる位置に立った時に何よりも感じたことがあるんだ。
 それは、集まった人数が思ったより少ないって事と、集まった人達の性別・年齢がバラバラだって事。
 中には外国人までいたんだ。


「ねぇ蓮。私たちみたいな学生は少ないね」
「そうだな」


 俺は火憐との会話に合わせてそう言ったけど、まぁ当たり前だよな。
 危険と言われているダンジョンを攻略しろって言ってるんだから。
 相当な覚悟が必要だ。


 ここに集まっている人達は相当な変人か、はたまた大きな志(こころざし)を持っているか、自暴自棄になっているか、これらの内のどれかだろう。


「よし! 私達も頑張らなきゃ!」


 張り切って目を輝かせる火憐を横目に、俺の心境は複雑だった。
 火憐は大きな志(こころざし)を持っている人に分類されるんだろうけど、俺は何だろうな。ってさ。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「こちらに集まってください!」


 自衛官らしき人物が誘導している。
 ダンジョン攻略部隊の参加希望者はグラウンドの中央に集められているようだった。
 その周辺に立っているのは緑色の軍服を着た自衛官数十人。大所帯だ。


「こっちの方向でいいんだよね」
「うん。誘導してる方向はこっちだし」


 その方向に向かって俺と火憐は歩いていた。
 人だけではなく戦車も何台か見える為、ダンジョン攻略部隊に関する集会と言う事はすぐに分かるからな。


「なぁ火憐。あの人達もダンジョン攻略部隊に参加するのかな?」


 俺はグラウンドに突っ立ているサラリーマン達を指差して言った。5人組のサラリーマンだ。
 髪型はバーコードで、テカッたおでこをハンカチでふきふきしているその姿はどうも頼りない。
 俺がポカーンとしていると、火憐は冷静に答えてくれた。


「そうなんじゃない? じゃないと高校のグラウンドにいる意味が分からないわ」
「はは。それもそうだな」


 驚いたよ。火憐の見た目はハッキリ言ってギャルに近い。
 俺はあのおっさんを見て爆笑すると思っていたのに、冷静な反応が来たから苦笑いをしてしまった。
 心の中で火憐に謝ったよ。偏見だったよ、ってね。
 それに、その後も火憐は真面目な顔で俺に向かって話しかけてきたんだ。


「でもさ……」
「ん? どうした?」


 火憐は俺が思っていたより真面目だった。
 周りの事ではなく、この攻略部隊について考えていたのだ。彼女は腕を組んで考えていたのだ。


「どうやって選考するのかな~と思ってね」
「あ。ここに来たら、ダンジョン攻略に参加ってわけじゃないのか!」
「当たり前でしょ! 選考に参加するだけよ」


 考えてもいなかった。
 たしかに危険すぎるダンジョンに無闇に人を投入するわけにいかないからな。
 俺も火憐の真似をするように腕を組んだ。


「選考か~」
「当たり前でしょ! あんな危険な場所に、選考もせず突入させたら死人が出るわ」
「なるほど。それで火憐はその選考が心配なの?」
「そうなの。もし戦闘形式の選考だったら私、今、不利になっちゃうし」


 火憐はそう言うと悲しげに下を向いた。以前ダンジョン内で負った傷が癒えてないのだ。
 今も松葉杖(まつばづえ)をついて、やっと歩いている状態。
 そんな彼女を見ていると、悪いけどダンジョン攻略なんて暫(しばら)くは無理だと思う。


 こんな体じゃ……化け物との戦闘なんてもたないよって。
 そう思うと俺は無意識に火憐の頭に手を乗せて微笑んだんだ。


「俺が、自衛隊の人みたいに、みんなを助けるからさ。火憐は暫く休んでいてくれ」
「……」


 俺が頭を撫でると火憐は下を向いたまま黙ってしまった。
 しばらくすると動いたけどさ。
 酷いんだぜ?


「ねぇ蓮」
「なに?」


 俺がニッコリとした顔で微笑むと、対照的に火憐からはギラッと光った目が見えた。
 この目は諦めていない目だ。


「私を……舐めないでよね!」
「痛っ!!!」


 火憐は右手で俺の顔を殴ってきたのだ。
 まだ自分の力は健在だと示したいのだろう。結構痛かった。


「私は帰らないわよ。元々、私は魔導師。体が動かなくても何とかなるわよ」


 俺は殴られた頰をさすりながら力なく答えた。


「あぁ……そうだったね」
「ほら。分ったなら早くいくわよ。受付しないとダメだろうし」
「受付?」
「ほら! 戦車の前にテーブルがあるでしょ。多分あれよ!」
「……」


 俺は火憐と目を合わせた後、戦車前に向かって歩き出した。確かに受付のようだ。
 戦車前のテーブルの上には何かを記入するような紙が置いてある。
 よし!これでひとまずダンジョン攻略部隊には、応募できそうだ。


 火憐、本当に大丈夫なんだろうか?


 そんなふうに考えながら俺はテーブルの近くにいた自衛官に話しかけた。
 でも、俺以外に受付をしたかった人がいるらしい。
 自衛官への質問がちょうど重なってしまった。


「あの! ダンジョン攻略部隊に応募したいんですけど!」
「ここが受付なのかしら?」

「「あっ!」」


 俺とした事が周りを確認せずに質問をしてしまった。
 謝ろうと重なってしまった声の方を向くと、そこには綺麗な外国人の女性がいた。


 俺と同じくらいか少し高い目線だったので、170cmはあるのかな?
 少なくとも横にいる火憐よりは背が高い。


 まぁそんな事どうでもいい、綺麗だったんだ。
 外国人特有のスラリとしたスタイル……俺は、謝るよりも湧き上がってくる疑問を抑えられなかった。この人も一緒に参加するのかって疑問にさ。


「あなたも、ダンジョン攻略部隊に応募するんですか?」
「そうデース! グリーシャと言いマース! よろしくデース!!!」


 アホみたいな話し方とは対照的に姿は綺麗であった。
 ボブカットをした淡い青色の髪に透き通った白い肌、金色の目。
 日本人離れしたスタイルの女性は、俺を見つめながら元気に質問に答えてくれた。


 でもこの時は思いもしなかったんだ。


 まさか、この人がロシアから来た軍人だった。なんてさ。

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